Elliot Formation (Late Triassic-Early Jurassic)の最新ニュース

 基盤的鳥盤類、Lesothosaurus diagnosticus (レソトサウルス)の新しい標本について報告されています。 

 南アフリカにあるジュラ紀前期の地層(Elliot Formation)で発見されたもので、少なくとも3個体とされています。

 今回、複数個体が見つかったことから、初期の鳥盤類が、小さな集団で行動していたのではないかとされています。 

  今までに発見されている標本に比べて、ボティサイズは大きく、サイズ的には、Stormbergia dangershoeki(ストルンベルギア)に似ているとされています。

 ストルンベルギアについては、南アフリカの鳥盤類(2005年10月)で記載論文を紹介しています。 

 ただし、"ファブロサウリダエ"の形態(2009年5月)で紹介しているように、ストルンベルギアは、レソトサウルスの成体で同一種あり、両者の相違は個体発生的な違いとする論文も報告されています。

 そもそも、レソトサウルスの記載が成体に基づいてないためから混乱しているようですが、今回の標本からは、両者を識別する部分は見つかっていないようです。



  1. References:
  2.  
  3. Paul M. Barrett, Richard J. Butler, Adam M. Yates, Matthew G. Baron & Jonah N. Choiniere (2016) 
  4. New specimens of the basal ornithischian dinosaur Lesothosaurus diagnosticus Galton, 1978 from the Early Jurassic of South Africa. 
  5. Palaeontologia Africana 50: 48-63
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デジタルプレパレーション

 今年最初のニュースは、南アフリカのジュラ紀前期の地層(Elliot Formation)で発見されている鳥脚類、レソトサウルス(Lesothosaurus diagnosticus)について。

 いくつかの頭部が見つかっていますが、いずれも不完全で変形しているか、プレパレーションが完全ではないとされています。 

 今回、頭部をCTスキャンして、3Dで再現して解析した論文が報告されています。

 タイトルでは、デジタルプレパレーションと表現されていますが、それぞれの骨を単離して解析しています。骨格の3D情報が、 論文データとなる日もやってきそうですね。  


 その結果、縫合形態や内部構造など、以前に未記載のいくつかの特徴が明らかになったとされています。  

 また、いままで、レソトサウルスの一種(Lesothosaurus sp.)とされていた2つの標本は、Lesothosaurus diagnosticus ではないかとされています。


  1. References:
  2.  
  3. Laura B. Porro, Lawrence M. Witmer & Paul M. Barrett (2015) 
  4. Digital preparation and osteology of the skull of Lesothosaurus diagnosticus (Ornithischia: Dinosauria). 
  5. PeerJ 3:e1494 
  6. doi: https://doi.org/10.7717/peerj.1494D
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 南アフリカにある三畳紀後期からジュラ紀前期のエリオット層(Elliot Formation)といえば、竜脚形類の初期進化を探るには、世界中でも貴重な地層の一つです。

 しかし、その下部層で発見されたタクソンについては、まだ十分に解析されていないようです。

 今回、この下部層で発見された竜脚形類、Eucnemesaurus(エウクネメサウルス)属の新種が記載され、E. entaxonis と命名されています。 

  この属としては、E. fortis のみが記載されていましたが、この系統は単系統とされています。

 エウクネメサウルスは、その属名の意味が、「優れた脛骨のとかげ」の意味が示すように、E. entaxonis も比較的頑丈な足の構造をしています。 

 そのことから、三畳紀後期の基盤的な竜脚形類のクレード、Massopoda 内では、準グラビポータル(subgraviportal)といった移動形式の、初期的な試みを行っていたと考えられています。  

 グラビポータルとは、重い体重の動物が、ゆっくり歩くといった歩行形態です。


 


  1. References:
  2.  
  3. Blair W. McPhee, Jonah N. Choiniere, Adam M. Yates & Pia A. Viglietti (2015) 
  4. A second species of Eucnemesaurus Van Hoepen, 1920 (Dinosauria, Sauropodomorpha): new information on the diversity and evolution of the sauropodomorph fauna of South Africa's lower Elliot Formation (latest Triassic). 
  5. Journal of Vertebrate Paleontology (advance online publication) 
  6. DOI:10.1080/02724634.2015.980504
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 竜脚類は、なぜあのように巨大化したのか。大雑把な説明はできそうですが、一つ一つの小さな事実を解明していくことも重要です。

 例えば、竜脚類が、高いところのエサを食べようと、食べる範囲を上へ上へと伸ばしていったことは、竜脚類のボディプランの起源という点で重要な促進要因だったとされています。  

 しかし、この仮説では、ジュラ紀初期のほとんどで、その多くが初期の竜脚類と並ぶほどのサイズであった(竜脚類ではない)竜脚形類が、数的に優位を保っていたということが説明できません。  


 竜脚類の初期進化は、まだよくわかっていないままで、特に、ジュラ紀初めの2000万年ほどは、明確な竜脚類のタクソンが不足しているのです。

 今回、南アフリカにあるジュラ紀前期(トアルシアン)の地層(Elliot Formation 上部)で発見された新種の基盤的竜脚類が記載されています。著者の一人、Matthew F. Bonnan がブログ(The Evolving Paleontologist)で紹介しています。

  図は、見つかっている化石と復元図(Blair W. McPhee et al., 2015)。推定全長が8メートルほどと比較的小型です。

 先祖が前脚を使ってエサを集めたのに対し、前脚は体重を支える4足歩行型へ。その分、首がフレキシブルに。首は比較的短めで、低い位置の植物を食べていたようです。

 この基盤的竜脚類と、高い樹木をエサとする(竜脚類以外の)竜脚形類との間で、植物を食べ分けるニッチ分割されていたのではないかとされています。




Pulanesaura eocollum.jpg


 学名は、Pulanesaura eocollum (プラネサウラ・エオコルム)です。化石発掘時は、土砂降りだったらしく、属名の"Pulane" は、"雨を降らす人(rain-maker/bringer)"の意味。もし晴れていたら、別の属名だったのでしょうね。

 ニ足歩行ながら、四足歩行へとシフトしていった初期の過渡的な仲間である竜脚型類(sauropodiform)に属する竜脚類です。

 なお、新種の竜脚"型"類/南アフリカ(2015年6月)で、同じエリオットそうで発見された竜脚型類、 Sefapanosaurus zastronensis (セファパノサウルス・ザストロネンシス)を紹介しています。


 プラネサウラにある派生的な特徴の組み合わせは、基盤的な竜脚類であり、そして、エリオット層の竜脚形類とは大きく異なるとされています。  

 これらの特徴は、歯のエナメル質のシワや体軸、前足の変化で、主にエサを採る器官の変化にみられます。これは、竜脚形類と竜脚類の境界で生じた機能的な違いではないかとされています。




  1. References:
  2.  
  3. Blair W. McPhee, Matthew F. Bonnan, Adam M. Yates, Johann Neveling & Jonah N. Choiniere (2015) A new basal sauropod from the pre-Toarcian Jurassic of South Africa: evidence of niche-partitioning at the sauropodomorph-sauropod boundary? Scientific Reports 5, Article number: 13224 (2015) doi:10.1038/srep13224
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 最も保存状態の良いヘテロドントサウリダエ(Heterodontosauridae、科)、 Heterodontosaurus tucki (ヘテロドントサウルス ツキイ)の頭部以降の解剖学的特徴について報告されています。

 論文は、フリーです。南アフリカにあるジュラ紀前期の地層(Elliot Formation)で発見された基盤的な鳥盤類です。

 1962年にほとんど完全な頭部から記載され、ホロタイプにあった頭部以降の骨格化石は、紛失したそうです。

 ヘテロドントサウリダエ、ヘテロドントサウリナエ(亜科)については、新種のヘテロドントサウルス類と、同類のレビュー(2012年10月)で紹介しています。



  1. References:
  2.  
  3. Peter M. Galton (2014) 
  4. Notes on the postcranial anatomy of the heterodontosaurid dinosaur Heterodontosaurus tucki, a basal ornithischian from the Lower Jurassic of South Africa. 
  5. Revue de Paléobiologie 33 (1): 97-141 ISSN 0253-6730(pdf)
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尾に病気痕/竜脚形類

 南アフリカで発見された基盤的竜脚形類の尾に、病気の痕が見つかったとする報告があります。

 ジュラ紀前期のエリオット層上部で、発見されたもので、 外傷により切断されたのではないかとされています。
 
 

  1. References:
  2.  
  3. Richard J. Butler, Adam M. Yates, Oliver W. M. Rauhut & Christian Foth (2013) 
  4. A pathological tail in a basal sauropodomorph dinosaur from South Africa: evidence of traumatic amputation? 
  5. Journal of Vertebrate Paleontology 33(1): 224-228 
  6. DOI:10.1080/02724634.2012.710691
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 南アフリカでジュラ紀前期の地層で、 竜脚形類(sauropodomorph) のMassospondylus(マッソスポンディルス)の営巣地の跡が発見され、PNASに報告されています。

 卵や胚の化石のほか、小さな前脚の足跡も残されているそうです。 Discovery NewsAFPPB などに映像があります。 

 年代は、約1億9000万年前とされ、恐竜の営巣地(nesting site)としては、従来を1億年以上さかのぼり世界最古としています。
 単なる卵化石は、1億年も後ではない時代の地層から見つかっていますが、巣作りをした営巣地としては最古ということでしょう。

 最も完全な巣からは、卵化石がぎっしりつまったかたまりとして、少なくとも34個の卵化石が見つかっており、それぞれの容積は180mlほど、かたまり全体で6010ml になるととしています。



  1. References:
  2.  
  3. Robert R. Reisz, David C. Evans, Eric M. Roberts, Hans-Dieter Sues, and Adam M. Yates Oldest known dinosaurian nesting site and reproductive biology of the Early Jurassic sauropodomorph Massospondylus PNAS, published ahead of print January 24, 2012, doi:10.1073/pnas.1109385109
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 南アメリカにあるジュラ紀初期(約億9000万年前)の地層で発見された竜脚形類が記載され、Arcusaurus pereirabdalorum と命名されています。

 属名の由来は、"歩くサウルス"ではなくて、"Rainbow Reptile"。

 民主化後の初代大統領、ネルソン・マンデラ氏が就任した時、南アフリカを希望あふれる国にしようと、「Rainbow Nation(虹の国)」と呼んだことにちなんでいます。 

 著者の一人、Matthew F. Bonnan のブログ、Jurassic Journeysy で紹介されています。

 

 以下の図は、Arcusaurus pereirabdalorum の頭部。スケールは5センチですから、全長は15センチほど。

 

 

Arcusaurus_pereirabdalorum_skull.jpg   下は、系統関係。

  系統的には、プラテオサウルス類の外群で、 Efraasia と他の全ての派生する竜脚形類の姉妹群とされています。

 Efraasia はドイツにある三畳紀(Norian、約2億1000万年前)の地層から見つかっており、 上部 Elliot Formation (ジュラ紀初期)で発見されたアルクサウルスとは、2000万年ほどのギャップがあります。

 この年代のギャップと、アルクサウルスにはプラテオサウルス類の特徴もあることから、系統的な位置を疑問視する意見もあります。

 

 

Clad_Arcusaurus.jpg   

 

  1. References:
  2.    
  3. Adam M. Yates; Matthew F. Bonnan; Johann Neveling
  4. A new basal sauropodomorph dinosaur from the Early Jurassic of South Africa
  5. JVP, 31(3), Pages 610 - 625
  6. DOI: 10.1080/02724634.2011.560626
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 恐竜や鳥類の気嚢が話題になりますが、実は、私たちヒトにも似たような含気性構造があります。We are all air-heads(cosmos) で、Mathew Wedel が紹介しています。

 "長い間、鳥類にある空気で満たされた含気性の骨構造は、体を軽くするためと思われてきたが、その進化の起源は、恐竜にあるらしい"、とあります。

 ここで混同してはいけないのは、頭部にある空洞と、頭部よりうしろにある空洞(PSP)です。

 

ヒトの頭部にある含気性構造

 ヒトにある含気性構造は、副鼻腔(sinuses)です。鼻の周りの頭蓋骨にはいくつもの空洞があるのです。しかし、副鼻腔のはっきりした機能はわかっていないそうです。

 副鼻腔という頭部にある含気性構造は、哺乳類にもあるわけですが、恐竜で問題になるのは、頭部にある含気性構造ではなくて、PSP なのです。

 

問題は、頭部ではなくて、頭部より後ろのPSP

 PSPといえば、プレイステーションポータブル・・・ではなくて、古生物の世界では、頭蓋より後ろ、脊椎や尾椎にある含気性骨格構造(Postcranial skeletal pneumaticity 、PSP)のこと。

 PSPは、頭部にある含気性骨格構造と違って、呼吸システムに深くかかわっているのです。

 そのPSPですが、長い恐竜の歴史のどのあたりで進化したのか、竜脚形類なのか、獣脚類や現生鳥類につながるシステムなのか、などいろいろと疑問があります。

 

竜脚形類にPSP

 ADAM M. YATES らが、5つのタクサの基盤的竜脚形類について比較した論文を報告しています。新しい標本を解析し、含気性構造の起源、竜脚形類から竜脚類の変遷について探っています。

 ドイツにある三畳紀後期の地層で発見された Plateosaurus engelhardti と、南アフリカの三畳紀後期-ジュラ紀前期のエリオット層で発見された Eucnemesaurus fortis, Aardonyx celestae, Antetonitrus ingenipes とまだ未命名のタクサです。

 竜脚形類の骨の位一部から、含気性のfossae(フォッサ、骨にある窪みや空洞)やsubfossae (fossaの中にあるfossae )が確認されています。

 

 図のAは、Plateosaurus engelhardti の頚椎(左から、C9、C10)と胴椎(D1)。スケールは、20センチ。

  右のBは拡大で、スケールは5センチ。頚椎(C10)表面の含気性のfossae(pneumatic fossa 、pf ) と、内部ラミナ(internal lamina 、il)を示しています。 多くの人が見ていたと思いますが、こういう小さな窪みに、よく気づきますね。

 

AMNH6810.jpg 哺乳類は横隔膜で肺を伸縮できますが、鳥類には横隔膜が無く、肺は比較的小さくて、その伸縮はできません。代わりに気嚢が伸縮し、効率的にガス交換を行います。

 鳥類に見られるような、気嚢によって換気される伸縮しない肺(rigid non-compliant lungs)は、恐竜が誕生する前の、主竜類や恐竜形類で進化していたことを示唆しています。

 

 下図は、竜脚形類の系統関係と、脊椎(尾椎は省略)で、黒い部分は、含気性のfossae 又は invasive infradiapophyseal subfossae です。

 パンティドラコにはありますが、テコドントサウルスにはありません。また、プラテオサウルスは、1種のみに確認され他では見つかっていないそうです。竜脚類になると、黒い部分が増えてきます。

 

 

Diagram_PSP.jpg 

  1. References:

  2. Yates, A.M., Wedel, M.J., and Bonnan, M.F. 2011.
  3. The early evolution of postcranial skeletal pneumaticity in sauropodomorph dinosaurs.
  4. Acta Palaeontologica Polonica in press available online 07 Mar 2011
  5. doi: 10.4202/app.2010.0075
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2種の新種恐竜

 JVPの最新号(29-4)に、2種の新種恐竜が記載されています。  

 最初は、南アフリカのジュラ紀後期の地層で発見された竜脚形類で、Massospondylus 属の新種で、M. kaalae と命名されています。  

 次は、イタリアの白亜紀後期(約7000万年前)の地層で発見されたハドロサウロイデア、Tethyshadros insulari です。  

 関節状態で見つかり最も完全な恐竜化石のひとつとされています。  

 小型で、島で小型化した(insular dwarf)のではないかとされ、学名の意味は、"island of dinosaur Hadrosauroidea Tethys(島に棲んでいたテチス海のハドロサウロイデア)"です。


 


  1. References:
  2.  
  3. A New Basal Sauropodomorph Dinosaur from the Upper Elliot Formation (Lower Jurassic) of South Africa 
  4. Paul M. Barrett 
  5. JVP, 29(4), p.1032-1045, 2009  
  6.  
  7. Tethyshadros insularisA New Hadrosauroid Dinosaur (Ornithischia) from the Upper Cretaceous of Italy 
  8. Fabio M. Dalla Vecchia 
  9. JVP, 29(4), p.1100-1116 2009
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 基盤的鳥盤類、"ファブロサウリダエ(fabrosaurid)"の形態などについての報告があります。南アフリカにある上部エリオット層(下部ジュラ系)で見つかっているヘテロドントサウルス以外の鳥盤類です。  

 骨組織を調べたところ、Lesothosaurus diagnosticus (レソトサウルス)と、2005年に新種とされた Stormbergia dangershoeki は、1つのタクソンの個体発生的な段階としています。4年ほどで成熟したようです。



  1.  
  2. Ontogenetic change and adult body size of the early ornithischian dinosaur Lesothosaurus diagnosticus:Implications for basal ornithischian taxonomy. 
  3. Knoll, F., Padian, K., and de Ricqles, A. 
  4. Gondwana Research, Available online 15 April 2009.
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南アフリカの鳥盤類

 南アフリカとレソト王国にある上部エリオット層(下部ジュラ系)の鳥盤類について再検討した論文が報告されています。

 40年間も発掘されながら、系統上の混乱もある上、ほとんどの標本が未記載のままだそうです。

  1.  
  2. The 'fabrosaurid' ornithischian dinosaurs of the Upper Elliot Formation (Lower Jurassic) of South Africa and Lesotho. 
  3. Butler, R.J. 
  4. Zoological Journal of the Linnean Society, 145, p.175-218, 2005
 

 特に、"ファプロサウリダエ"といわれるヘテロドントサウルス以外の鳥盤類について解析しています。イグアノドン類や角竜につながる系統で、DINOSAUR Mailing List に分岐図があります。  

 "Fabrosaurus australis"は疑問名とし、Lesothosaurus diagnosticus は有効としています。新種として、Stormbergia dangershoeki を記載しています。
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カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

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