古生物全般の最新ニュース

 羽毛恐竜の血を吸った最古の巨大ノミ(2012年3月)翼竜に寄生したのか、新種のノミ(2013年8月)で、中国で見つかったノミの化石について紹介しました。

 今回、それらの「ノミ」とされる発見について考察した論文が報告されています。

 以前報告された「ノミ」は、吸血昆虫である Siphonaptera (fleas)の特徴を示していないとされています。

 よって、現在利用可能なデータからは、それらのノミ(fleas)又は、ステムノミ(stem-fleas)としての分類学上の位置付けは、外部寄生虫や血を吸うという生態学的分類と共に、支持されないとされています。




  1. References:
  2.  
  3. Katharina Dittmar , Qiyun Zhu, Michael W. Hastriter & Michael F. Whiting (2016) 
  4. On the probability of dinosaur fleas. 
  5. BMC Evolutionary Biology (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1186/s12862-015-0568-x
----------  コメント(0)



 Current Biology の最新号(25(19))は、History of Life on Earth articles(生命史特集号)。 

 興味深い論文をいくつか。いずれもPDFはフリーです。

 


  1. References:
  2.  
  3. The Cambrian explosion(カンブリア爆発) 
  4. Derek E.G. Briggs 

  5. 以下はレビューです。 

  6. The Origin and Diversification of Birds(鳥類の起源と多様化) 
  7. Stephen L. Brusatte, Jingmai K. O'Connor, Erich D. Jarvis 

  8. The Evolutionary Origin of a Terrestrial Flora(陸上の花の進化的起源) 
  9. Charles Francis Delwiche, Endymion Dante Cooper 

  10. Morphological Phylogenetics in the Genomic Age(ゲノム時代の形態学的系統学) 
  11. Michael S.Y. Lee, Alessandro Palci
----------  コメント(0)



 定期的なのか、「最新学説」として、羽毛まみれのティラノサウルス(T.rex)の映像が出まわったりします。例えば、DeviantArt です。

 実際、T.rex の羽毛化石が見つかっているわけでもなく、違和感があるのか、「ありえない」とか「わからない」との意見が多いようです。

 一方、毛の痕跡が全く見つかっていないながら、太古の哺乳類が毛だらけで復元されても違和感がないのは、なぜでしょうか。

 それは、毛の起源うんぬんより、毛だらけのネズミを見慣れていて、哺乳類には毛が生えているものと思い込んでいるからでしょう。

 一方、最初の羽毛恐竜である中華竜鳥が見つかったのが1996年て、20年も経っていないのですから、広く認知が進んでいないのは無理もありません。

 しかし、現在、羽毛の生えた鳥類しかいないのですから、その祖先の恐竜に羽毛が生えていても、すんなり受け入れられる時代が来るのかもしれませんね。


 そもそも、T.rex の祖先や他の複数の系統で羽毛の痕跡が見つかっていることを考えれば、羽毛遺伝子は、かなり以前に獲得され、発現していたはずです。

 皮膚という基本的な部位の遺伝子に組み込まれていたとすれば、暑い寒いといった環境や、小型大型というサイズごとに、羽毛が生えたり生えなかったり、というのは考えにくいですね。

 ですから、白亜紀にもなると、獣脚類では羽毛がない方が珍しく、T.rex にも羽毛が生えていた可能性は高いでしょう。フサフサかどうかは不明ですが。


 そうなると、よりさかのぼって、恐竜の共通祖先が、羽毛に似た複雑な外皮構造を持っていたのではないか、と考えても不思議ではありません。

 実際、非鳥類型恐竜化石から、みごとに保存された外皮のフィラメントや羽毛の痕跡が見つかることから、そういう仮説があるそうです。

 しかし、厳密には確認されていませんでした。

 
 今回、表皮構造の系統分布とその進化の歴史を解明するため、恐竜の皮膚痕の包括的なデータベースに最大尤度法を適用し、解析した論文が報告されています。

 その結果、恐竜の祖先に原羽毛があることについては、何の説得力を見つけることはできなかったとされています。

 よって、最初の頃の恐竜の外皮構造は、羽毛ではなく、ウロコだったと考えられています。

 FT Magazine は、たいていの恐竜はウロコだった、と紹介していますが、今回の研究は、祖先に原羽毛があったかどうかであって、全体の話ではありませんね。



  1. References:
  2.  
  3. Paul M. Barrett, David C. Evans & Nicolás E. Campione (2015) 
  4. Evolution of dinosaur epidermal structures. 
  5. Biology Letters 11: 20150229 
  6. DOI: 10.1098/rsbl.2015.0229
----------  コメント(0)



 トリケラトプスからも軟組織発見(2013年2月)などで紹介していますが、中生代の恐竜化石からでも、保存状態が良ければ、軟組織が発見される場合があります。

 では、保存状態が優れているわけではない化石からは見つかるのでしょうか。

 今回、そのあたりを、調べた論文が報告されています。

 ナノ分析技術を用いて、カナダの恐竜公園で発見された普通の保存状態の8つの白亜紀の恐竜の骨化石を調べたもの。

 その結果、一部の化石からは、コラーゲンや赤血球に似た構造が確認されています。

 以前から考えられていたよりも軟組織の保存は一般的で、絶滅動物の関係や生理機能、その行動の解明に役立つと結ばれています。

 しかしながら、コラーゲンや赤血球からどんな情報が得られるのか・・・、残念ながら、今までの研究においては、断片的な保存のこともあり、恐竜の機能や生態について、たいした知見が得られていません。

 軟組織が珍しくないのなら、珍しさ自体に騒ぐこと無く、その先の研究が重要ですね。


 今回の結果では、一つのサンプルでは、内因性のコラーゲン繊維と一致する構造を観察しています。67nmほどで、これはオリジナルの4次元構造が保存されている可能性があるとされています。  

 また、赤血球の残渣らしき組織も観察されています。質量分析では、現生のエミューに類似しているそうです。  

 今回の解析から、普通の保存状態でも、軟組織といった生物学的構造が、地質学的スケールで保存されることがわかったとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Sergio Bertazzo, Susannah C. R. Maidment, Charalambos Kallepitis, Sarah Fearn, Molly M. Stevens & Hai-nan Xie (2015) 
  4. Fibres and cellular structures preserved in 75-million-year-old dinosaur specimens. 
  5. Nature Communications 6, Article number: 7352 doi:10.1038/ncomms8352 
  6. doi: 10.1038/ncomms8352
----------  コメント(0)



 コープの法則とは、同一系統では、時代が新しくなるほどボディサイズが大きくなるというルールです。鳥類との競合がコープの法則の促進要因/翼竜(2014年4月)などで紹介しています。 

 今回、この法則が、海生生物で適用できるかを調べるため、過去5億4200万年にわたる17208属のボディサイズを調べた論文が報告されています。

 その結果、カンブリア紀以来、平均生物容積(biovolume)は、属間で150倍となり、一方、最低生物用量の減少は、10倍より小さく、最大は10万倍以上となったとされています。

 初期の小さな容量からの中立変異(Neutral drift)ではこのパターンは説明できず、その代わりに、サイズの増加のほとんどは、それぞれのクラスでの異なった多様性を反映しているとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Noel A. Heim, Matthew L. Knope, Ellen K. Schaal, Steve C. Wang, and Jonathan L. Payne (2015) 
  4. Cope's rule in the evolution of marine animals. 
  5. Science 347 (6224): 867-870 
  6. DOI: 10.1126/science.1260065: 867-870
----------  コメント(0)



 多くの雨が降ったところと、乾燥地帯。白亜紀前期晩期の東アジアには、こういったモザイク環境があったようです。

 今回、恐竜の歯化石の炭素と酸素同位体組成を分析し、東アジアの古環境を推定した論文が報告されています。

 このモザイク環境が、多様な恐竜が進化するゆりかごとして働き、やがて白亜紀後期に、ヨーロッパや北米に放散していったとされています。

 
 熱河生物相があった中緯度環境は、平均気温が 10±4°C と低く、森林環境があった話とあう年間降水量は600mmとされています。東京の年平均気温(1981-2010年)が16.3 ℃ですから、結構、低いですね。

 一方、平均気温が20〜25℃の亜熱帯地域では、年間降水量が1200mmのタイのように季節的な降水量が多いところか、中国南部のように400mm程度の乾燥地域だったとされています。  

 この違いは、中国南部の東端には大きな山脈があって、太平洋からの湿った空気の流入を防ぐ"雨遮蔽効果(rain shadow effect)"があったとしています。  

 白亜紀前期晩期の東アジアにおけるこういったモザイク環境が、多様な恐竜の進化を促したとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Romain Amiot, Xu Wang, Zhonghe Zhou, Xiaolin Wang, Christophe Lécuyer, Eric Buffetaut, Frédéric Fluteau, Zhongli Ding, Nao Kusuhashi, Jinyou Mo, Marc Philippe, Varavudh Suteethorn, Yuanqing Wang & Xing Xu (2014) 
  4. Environment and ecology of East Asian dinosaurs during the Early Cretaceous inferred from stable oxygen and carbon isotopes in apatite. 
  5. Journal of Asian Earth Sciences (advance online publication) 
  6. doi:10.1016/j.jseaes.2014.11.032
----------  コメント(0)



恐竜の起源

 恐竜が地球上に現れたのはいつ頃で、それはどこなのか。最近の論文をまとめた総説が報告されています。オープンアクセスです。

 恐竜形類の出現はより早かった(2010年10月)で、ポーランドで発見された足跡化石(Sphingopus )を紹介しましたが、これが、恐竜らしき化石記録としては最古とされています。

 年代的には、三畳紀前期(2億4600万年前、オレネキアン)です。 総説では、先祖にあたる恐竜形類は、ペルム紀の大量絶滅後少なくとも500万年以内に登場し、ポーランドの足跡化石が確実に恐竜のものであれば、100万年以内に現れたとされています。

 もっとも、確実に恐竜とされる体化石は、三畳紀後期(カーニアン)になってからで、南米などの発見場所から、パンゲア南西部が恐竜の起源と考えられています。  

 また、大進化的には、恐竜の出現は、以前考えられていたよりは緩やかだったとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Max C. Langer (2014) 
  4. The origins of Dinosauria: much ado about nothing. 
  5. Palaeontology (advance online publication) (全文・PDF) 
  6. DOI: 10.1111/pala.12108
----------  コメント(0)



白亜紀末の地球寒冷化の証拠

 南極の氷が溶ける映像を流しながら、地球が悲鳴をあげていると伝えられたりしますが、中生代は長い間もっと暖かく、逆に、全球が凍結していた時代もありました。

 人為的で急速な温暖化を歓迎するわけではないのですが、地球はそんな簡単に悲鳴をあげたりはしないでしょうね。

 さて、その中生代、1億4000万年間にわたり温暖な気候が続いたのですが、白亜紀後期にかけて、寒冷化したとされています。

 今回、白亜紀後期の低緯度地域の海面水温を解析した論文が報告されています。オープンアクセスです。

 その結果、北緯35°の北大西洋では、マーストリヒトになると、28℃と7℃ほど低下し、以前より、寒冷化したとされています。 寒冷化とは言っても、冷え込んだわけではありません。

 ちなみに、全球 年平均海面水温(気象庁)によると、そのあたりの現在の平均海面水温は、25℃ほどです。冷却パターンは地球規模で、これは、大気中の二酸化炭素が減少したためと考えられています。


 西部北大西洋棚の堆積物の古温度測定法(TEX86)により、白亜紀後期のカンパニアンからマーストリヒチアン(8300万年前から6600万年前)にかけての、低緯度地域の海面水温を解析したもの。  

 その結果、北緯35°の北大西洋では、カンパニアン最初期こそ、最高で35℃と、比較的暖かかったのですが、カンパニアンの間に次第に低下し、マーストリヒチアンになると、7℃ほど低下したとしています。



  1. References:
  2.  
  3. Christian Linnert, Stuart A. Robinson, Jackie A. Lees, Paul R. Bown, Irene Pérez-Rodríguez, Maria Rose Petrizzo, Francesca Falzoni, Kate Littler, José Antonio Arz & Ernest E. Russell (2014) 
  4. Evidence for global cooling in the Late Cretaceous. 
  5. Nature Communications 5, Article number: 4194 
  6. doi:10.1038/ncomms5194
----------  コメント(0)



恐竜の体重の進化

 初期の大部分の恐竜の体重は、10-35キロ程度で、T.rex になると、7.7トンで、アルゼンティノサウルスは、90トン・・・。

 およそ1億7000万年かにわたる恐竜の体重の進化について、総説した論文が報告されています。 オープンアクセスで、冒頭で紹介したように、主な恐竜の体重一覧表もあります。

 614-622種の鳥類を含む恐竜について、四肢の長さを元に、体重を算出し、まとめたもの。 三畳紀の初期の進化と、鳥類へとつながるマニラプトル類での変化が急激だったとされています。

 


  1. References:
  2.  
  3. Benson RBJ, Campione NE, Carrano MT, Mannion PD, Sullivan C, et al. (2014) 
  4. Rates of Dinosaur Body Mass Evolution Indicate 170 Million Years of Sustained Ecological Innovation on the Avian Stem Lineage. 
  5. PLoS Biol 12(5): e1001853. 
  6. DOI: 10.1371/journal.pbio.1001853
----------  コメント(0)



 最近、羽毛化石からメラノソームが見つかったとし、そこから、体の色や行動まで推測する報告があります。

 一方、以前から、それらは細菌由来だとする説もあります。メラノソームと微生物が作り出すバイオフィルムは、そのサイズや分布、形態が似ているのです。

 今回、ノースカロライナ州立大の研究チームが、それら2つの仮説を検証し、両者を識別する基準を提案した論文を報告しています。オープンアクセスです。

 解析では、白亜紀前期の鳥類、Gansus yumenensis (甘粛鳥)でメラノソームと報告された微小体は、微生物由来としています。

 また、甘粛鳥化石から、ユーメラニンそのものの証拠(2011年10月)で紹介した化学分析は、解像度が低いとしています。

 今後は、微小体をメラノソームと考えるには、微生物ではないとするデータが必要ですね。


 解析は、走査電顕など、3つの異なる顕微鏡を用い、羽毛化石や、細菌が増殖した現生のニワトリの羽毛を観察したもの。  

 メラノソームは、形態的に異なるケラチンマトリックスに埋め込まれ、常に内部にあるのに対し、微生物は、連続して層をなす羽毛の表面で成長するとされています。  

 微生物が表面にある状態は、公表された羽毛化石の映像と一致しているとしています。  

 そして、白亜紀前期の鳥類、Gansus yumenensis の羽毛化石に関する公表論文と新しいデータについて分析したところ、雌型状の印象(Mouldic impressions)は、羽毛だけでなく、 堆積粒子からも見つかり、微小体は、微生物由来としています。  

 また、銅イオンなどの存在からメラノソームの存在を示唆した報告もありますが、それらの元素は細菌にも含まれるとしています。



  1. References:
  2.  
  3. Alison E. Moyer, Wenxia Zheng, Elizabeth A. Johnson, Matthew C. Lamanna, Da-qing Li, Kenneth J. Lacovara & Mary H. Schweitzer (2014) 
  4. Melanosomes or Microbes: Testing an Alternative Hypothesis for the Origin of Microbodies in Fossil Feathers. 
  5. Scientific Reports 4: 4233 
  6. doi:10.1038/srep04233
----------  コメント(0)



恐竜の起源と大進化

 恐竜の大進化、その起源や多様化について、考察した論文が報告されています。オープンアクセスです。

 生物学でいう進化は、大進化と小進化に大別されます。もちろん、恐竜がらみでは、大進化です。

 大進化の定義(解説)はいろいろありますが、この論文での大進化は、「種レベル以上の進化で、生命の歴史の大規模なパターンとプロセス」とされています。



  1. References:
  2.  
  3. Benton MJ, Forth J, Langer MC 2014 
  4. Models for the rise of the dinosaurs. 
  5. Curr Biol 24(2): R87-R95
----------  コメント(0)



羽毛はまれ/恐竜の皮膚

 今でこそ、羽毛恐竜が多く登場していますが、多くの恐竜タクソンの皮膚は、ウロコが主流だったようです。

 もっとも、羽毛はほとんど獣脚類の系統だけですから無理もありませんね。SVP年会で報告された内容で、Nature News が紹介しています。

 プシッタコサウルスなど、鳥盤類の一部でみられる繊維状外皮構造は、それぞれ独自の特徴とされ、獣脚類の羽毛とは別系統だったようです。


 報告は、羽毛の起源を探るため、羽毛状構造が報告されている論文データベースを調べたもの。  

 その結果、羽毛の明白な証拠があるのは、現在のところ獣脚類のみであり、すべての鳥盤類のクレードではウロコであり、竜脚形類では、ウロコやオステオダーム以外の証拠はないとしています。   

 ヘテロドントサウルス類のTianyulong confuciusi やプシッタコサウルスにみられるブラシ状の繊維状外皮構造は、それらの固有派生形質とされ、羽毛と相同とする強い証拠はないとしています。



  1. References:
  2.  
  3. Poster Session III (Friday, November 1, 2013, 4:15 - 6:15 PM) 
  4. DINOSAUR INTEGUMENT: WHAT DO WE REALLY KNOW? 
  5. BARRETT, Paul, The Natural History Museum, London, United Kingdom; EVANS, David, Univ of Toronto at Mississauga, Toronto, ON, Canada
----------  コメント(0)



 恐竜たちの奇妙な姿、かつては、それらに何らかの機能があったとする説が多かったのですが、最近では、さしたる機能が見つからないと、なんでもかんでもディスプレイ(誇示行動)説ですね。

 今回、これらの非鳥類型恐竜の奇妙な構造を説明するのは、性選択より種認識であるとする論文を、ケビン・パディアンとジョン・ホーナーが報告しています。

 一方、恐竜の派手な特徴は"種認識仮説"では説明できない(2013年5月)で紹介しましたが、ディブ・ホーンらは、種認識ではないと主張しています。

 いずれにしてもディスプレイなんでしょうが、恐竜の振るまいという化石の残らない部分だけに、議論は続きそうです。


 恐竜たちの奇妙な構造を説明するために、機械的機能や種内・種間ディスプレイなど、いくつかの仮説が提案されてきています。  

 論文では、機能や性選択といった落ちこぼれた仮説に代わり、種の認識という仮説の証拠や試験結果が提案されてきているとされています。  

 特に化石動物においては、証拠や確認試験なしに、任意の仮説を「デフォルト(規定事実)」として受け入れることは不可能であるとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Kevin Padian & John R. Horner (2013) 
  4. The species recognition hypothesis explains exaggerated structures in non-avialan dinosaurs better than sexual selection does. 
  5. Comptes Rendus Palevol (advance online publication) 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.1016/j.crpv.2013.10.004
----------  コメント(0)



 恐竜が巨大化したのは、当時の大気中の酸素濃度が高くて成長が促進されから、というもっともらしい説があります。

 しかし、高いとされている大気中の酸素分圧(濃度)ですが、信頼性のある推定方法が無いため、色々な方法が試されているのが現状なのだそうです。

 今回、新しく、琥珀などの植物樹脂化石の炭素安定同位体比(δ13C)を使う方法が提案されています。

 その結果、図に示すように、中生代と新生代のδ13Cは高く、酸素分圧は、現在の21%と比較して、10-20%と低かったとされています。

 
 図で、右軸はδ13Cで、左軸は、地質年代です。特に、δ13Cが高く逆相関する酸素分圧が低かったとされる時期は、白亜期中期と始新世初期ですね。


 
13C.jpg
 なぜ、この時期に酸素が少なかったのかというと、この時期、マントル由来の大規模な火山活動で、二酸化炭素濃度が高かったのです。 

 酸素と二酸化炭素の分圧と地球の気温には逆相関があり、酸素分圧が低かった期間は、二酸化炭素分圧が高く、地球温暖化が進み気温も上がっていたとされています。  




  1. References:
  2.  
  3. Ralf Tappert, Ryan C. McKellar, Alexander P. Wolfe, Michelle C. Tappert, Jaime Ortega-Blanco & Karlis Muehlenbachs (2013) 
  4. Stable carbon isotopes of C3 plant resins and ambers record changes in atmospheric oxygen since the Triassic. 
  5. Geochimica et Cosmochimica Acta 121: 240-262  全文(pdf)
  6. http://dx.doi.org/10.1016/j.gca.2013.07.011
----------  コメント(0)



 大きな恐竜が大量の糞をしたことは確実ですが、中生代には、フンコロガシなどは稀だったようで、誰がこれを片付けたのか、謎とされています。

 この候補として、絶滅コギブリ(Blattulidae)が考えられていますが、そのあたりを調べた論文が報告されています。オープンアクセスです。

 ゴキブリの腸内には、植物食恐竜の体内にいて糞から移ってきた原生生物などの内部共生体がいて、それが糞の木材を消化していたとされています。

 ところで、朽ちた木材しか食べないシロアリ、ゴキブリの系統なんですね。下等シロアリの体内にいる内部共生体、太古のゴキブリ由来のようです。


 論文では、レバノンにある白亜紀前期(約1億2000万年前)の地層で発見された琥珀化石の中のゴキブリについて、シンクロトロンX線マイクロトモグラフィーを用いて分析しています。  

 その体積の1.06%が滑らかなエッジの木の粒子で満たされており、そのサイズの分布から、外部で事前に消化されたことを示すとされています。  

 大きな木材粒子もあり、木材にダメージがないことから真菌による腐敗の可能性が除かれ、 木材の供給源は植物食恐竜の糞だった可能性が高いとされています。    

 ところで、枯れた植物のみを食べるシロアリは、分子系統学的にはゴキブリの一群とされ、キゴキブリ属 Cryptocercus が最もシロアリに近縁だそうです。  

 そのキゴキブリと下等シロアリは、後腸内に多数の原生生物を保有し、これは、ゴキブリからシロアリが進化する以前(?1.5億年)から共生していたと考えられています。    

 これらは木材のリグニン成分などを直接消化できず、後腸内にいる原生生物の内部共生体が、それを分解するとされています。  

 ちなみに、高等シロアリには内部共生体がいなくて、シロアリ自身がセルロースを分解する酵素を持っています。  

 今回、より小さな粒子はゴキブリが後腸内で消化したと考えられ、これは、ゴキブリが恐竜の糞を食べることで、植物食恐竜の腸内にいた内部共生体が、ゴキブリの腸に転送された可能性を示すとしています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Peter Vrsansky, Thomas van de Kamp, Dany Azar, Alexander Prokin, L'ubomír Vidlicka & Patrik Vagovic (2013)
  4. Cockroaches Probably Cleaned Up after Dinosaurs. 
  5. PLoS ONE 8(12): e80560. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0080560 
  7.  
  8. 本郷 裕一, 2011 
  9. シロアリ腸内原生生物と原核生物の細胞共生 
  10. Jpn. J. Protozool. Vol. 44, No. 2. (pdf)
----------  コメント(0)



 ミツバチと真性双子葉植物(eudicot)は共に、白亜期中期から後期に出現し、そして、ミツバチは白亜期末の大量絶滅の影響を受けたと考えられています。

 しかし、ミツバチの分布自体がまだらであり、そのような化石証拠はなかったそうです。

 今回、そのあたりを、ミツバチ科のクマバチ亜科(Xylocopinae)の4族230種について分子系統解析を利用して分析した論文が報告されています。オープンアクセスです。Phys.org が紹介しています。

 その結果、クマバチ類は、白亜期末の大量絶滅イベントを契機に、その後、急速にその種を増やしていったと考えられています。

 原因には触れられていませんが、花の咲く植物の進化に大きく関係しているようです。

 
 解析の結果、約1億年前に出現したクマバチ類は、その初期段階である程度の多様性を見せます。 その後、長い間、多様化しない時期が続き、さらにその後、4族それぞれで急速に多様化したという結果です。  

 この放散パターンは、長い導火線モデル(long-fuse model、急速な放散までには相当の時間がかかるというモデル)と、白亜期末の大量絶滅イベントの両方で説明できるとされています。  

 両者のモデルについて議論され、大量絶滅の方が説得力があるとしています。  つまり、クマバチ類が急速にその種を増やしていった時期は、白亜期末の大量絶滅イベントが契機と考えられています。  

 なお、クマバチ類以外のミツバチについて、このようなパターンだったかどうかは不明とされています。


  1. References:
  2.  
  3. Sandra M. Rehanl, Remko Leys & Michael P. Schwarz (2013) 
  4. First Evidence for a Massive Extinction Event Affecting Bees Close to the K-T Boundary. 
  5. PLoS ONE 8(10): e76683. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0076683
----------  コメント(0)



 蚊の化石から血液成分とくれば、映画の世界ですが、モンタナで、そんな化石が見つかリ、報告されています。

 残念ながら、時代は約4600万年前(始新世中期)で、DNAなどの高分子は見つかっていないため、血液の主は不明とAFPBBが紹介しています。

 腹部あたりから、血液中にあって酸素を運ぶヘモグロビンのヘム鉄の構成成分ポルフィリンや鉄を発見したもの。

 今回の発見は、複雑な有機化合物が残されるタフォノミー(化石形成過程)の条件があることを示しているとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Dale E. Greenwalt et al., 2013 
  4. Hemoglobin-derived porphyrins preserved in a Middle Eocene blood-engorged mosquito 
  5. PNAS Published online before print October 14, 2013 
  6. doi: 10.1073/pnas.1310885110
----------  コメント(0)



恐竜時代はジュラ紀から

 恐竜の起源については、色々と議論されてきています。化石証拠の不足や系統的考え方の欠如、貧弱な検証可能な仮説などで混乱した時代もありました。

 ケビン・パディアンが、その恐竜の起源という問題について書いています。起源そのものではなくて、その問題についてです。

 歴史的に、3つの次元から説明していますが、結局、それぞれは問題の答えにはなっておらず、時に相反するとしています。

 そして、"恐竜時代"を考える点で、異なる視点を提案しています。

 それは、鳥頸類(Ornithodira)の出現に比べると恐竜の起源は些細なものであり、本当の"恐竜時代"の始まりはジュラ紀からという考え方です。
 
 まあ、一般的には、恐竜の時代は、ジュラ紀から白亜期末までなんでしょうね。なお、最古の恐竜に絡んでは、最古の恐竜化石産地のレビュー(2013年5月)で紹介しています。



  1. References:
  2.  
  3. Kevin Padian (2013) 
  4. The problem of dinosaur origins: integrating three approaches to the rise of Dinosauria. 
  5. Earth and Environmental Science Transactions of the Royal Society of Edinburgh (advance online publication) 
  6. DOI: http://dx.doi.org/10.1017/S1755691013000431
----------  コメント(0)



 傷跡が残された恐竜の皮膚化石について報告されています。獣脚類の攻撃を受けたとされています。要旨だけですが、化石の一部が見られます。

 これは、皮膚病理から恐竜の行動がわかる初めての明確な証拠とされています。  

 白亜紀のハドロサウルス類(エドモントサウルス)の皮膚化石で、普通のウロコのパターンが乱れ、肉芽組織に置換されているそうです。
 ちょっとした切り傷のようですが、傷の収縮がみられるウロコから放射状に広がるシワは、現在のイグアナの傷に似ているとされています。

 

  1. References:
  2.  
  3. Bruce M. Rothschild & Robert Depalma (2013) 
  4. Skin pathology in the Cretaceous: Evidence for probable failed predation in a dinosaur. 
  5. Cretaceous Research (advance online publication) 
  6. http://dx.doi.org/10.1016/j.cretres.2013.01.005   
----------  コメント(0)



3Dプリンターと古生物学

 3Dプリンターは、古生物学の一つの転機と、NewScientist が紹介しています。

 安くて性能の良い3Dプリンターが出てきたおかげで、手軽にレプリカが作れ、内部構造などが解析できるからです。

 もっとも、正確な3次元データを得るためのCTスキャン装置が必要ですが。
 
----------  コメント(0)



カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

2016年5月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

アーカイブ


カテゴリ  ▼(広げる)▲(たたむ)