分岐図(系統関係)の最新ニュース

 ティラノサウロイデア(いわゆるティラノサウルス上科)といえば、ジュラ紀の小型種から、白亜紀後期の大型種まで、1億年にもわたる多様なクレードです。

 今回、その系統関係について再検討した論文が報告されています。

 新たに発見されたタクソンを加えた28種と4種の外群からの366の形質(解剖学的特徴)について、従来の最大節約法の他に、初めてベイズ(Bayesian)分析を行ったもの。

 なお、ナノティラヌス(Nanotyrannus lancensis)については、著者らが、T.rex の幼体で無効名という論文を出していることもあり、データセットには含まれてはいません。

 また、最大節約法は、形質の変化が最も少なくなる関係を求める方法ですが、ベイズ分析は、単系統群の出現頻度である事後確率(posterior probability)が最大となる関係を求めます。

 その結果ですが、最大節約法とベイズ分析を比較すると、2つの結果は非常に類似したコンセンサスツリーとなっています。  幾つかの相違点はありますが、両方のツリーの全体的な構造は同じです。

 今回の結果から、巨大なボディープランは、断片的に進化したことを示し、また、議論されているように、北米大陸西部での、南北で明確な種の区別があるわけではないとされています。

 さらに、おそらく、T.rex はアジアから北米へ移ってきたとしています。 

 図は、ベイズ分析の結果に地質年代をあてはめたもの(Stephen L. Brusatte & Thomas D. Car, 2016)。拡大図はこちら

 分岐点(ノード)の数字は、それぞれのクレードの事後確率(%、単系統群の出現頻度)を示しています。

 最節約法と比較すると、基盤的な位置などで、多分岐が少ないですね。最も基盤的(最古)なのは、単独でグアンロン(Guanlong)です。

 後で述べますが、Xiongguanlong と白亜紀後期の大型種の間には、化石が見つかっていない長いブランクがあります。


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 ベイズ分析は、分子系統学的研究では標準で、より広範な形態学的研究において使用されるようになっているそうです。  

 ティラノサウロイデアの進化や生物地理学的分布を理解するうえで、化石証拠が欠けていることによる3つのバイアスをあげています。  

 そのひとつは、白亜紀後期の大型種のクレードと、そのボティプランの兆しが最初に出現した白亜紀前期晩期の姉妹群、Xiongguanlong の間には、少なくとも2000万年、おそらく4500万年のギャップがあることです。  

 2つめは、アジアの大型ティラノサウロイデアの多様性が過小評価されていること。特に、カンパニアンの化石発見が期待されています。  

 そして、3つめは、北米大陸東部(アパラチア)について、ほとんど知られていないことです。



  1. References:
  2.  
  3. Stephen L. Brusatte & Thomas D. Carr (2016) 
  4. The phylogeny and evolutionary history of tyrannosauroid dinosaurs. Scientific Reports 6, Article number: 20252 (2016) 
  5. doi:10.1038/srep20252
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 遼寧省にある白亜紀前期の熱河生物相からは、さまざまな鳥類の化石が見つかっています。

 今回、アプチアンの九仏堂層(Jiufotang Formation)で発見された基盤的鳥類が記載され、Chongmingia zhengi (チョングミンギア・チェンギ)と命名されています。

 チョングミンギアの叉骨は固く、その結果として、飛行にはより大きな力が必要だったとされています。

 一方、長い前肢と、上腕骨にある大きな三角筋稜(deltopectoral crest)からすると、十分な力を発揮できたと考えられています。

 三角筋稜は、肩の筋肉を上腕の骨に固定するための突起です。

 チョングミンギアには、モザイク状のユニークな特徴の組み合わせが見られることから、鳥類が力強い飛行を試みた初期進化の段階では、さまざまな進化上の実験が試されたことを示すとされています。

 胃石も見つかっており、基盤的鳥類では、植物食が一般的だったとされています。

 ただし、この時代、翼竜や、鳥類を捕食する非鳥類型獣脚類との競争に直面しており、植物食の鳥類の生態的な競争力は弱かったと考えられています。

 系統関係については、基盤的アヴィアラエ(Avialae) の位置づけですが、2つの異なるデータマトリックスを使っての解析から、異なる位置が示されています。

 図は、系統関係(Min Wang et al., 2016) 。

 コエルロサウリアのデータマトリックスを使うと、鳥胸類(Ornithothoraces)の姉妹群の基盤的なアヴィアラエ( Avialae)とされ (p2)、中生代の鳥類のデータマトリックスを使うと、始祖鳥を除いて、最も基盤的なアヴィアラエとされています(p1) 。




 srep19700-f7.jpg




  1. References:
  2.  
  3. Min Wang, Xiaoli Wang, Yan Wang & Zhonghe Zhou (2016) 
  4. A new basal bird from China with implications for morphological diversity in early birds. 
  5. Scientific Reports 6, Article number: 19700 (2016) むdoi:10.1038/srep19700
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 テスケロサウルスの頭部構造/"ヒプシロフェドンティダエ"は側系統(2014年11月)では、ヒプシロフェドンティダエは側系統の可能性があると紹介しましたが、従来の"基盤的な鳥脚類"や"ヒプシロフォドンティダエ"の関係は、あいまいなままでした。

 今回、このあたり、鳥盤類の系統関係について解析した論文が報告されています。

 それぞれの系統の末端タクサにあたる65のタクサの255の特徴という最大のデータセットを使用して解析したもの。

 その結果、恐竜の起源が南米であり、鳥盤類の初期の多様化がゴンドワナで起こったことを支持するとされています。

 また、かつて、ヒプシロフォドンティダエとされたほとんどのタクサは、パルクソサウリダエに含まれ、ヒプシロフォドンティダエは、ヒプシロフォドン(Hypsilophodon foxii ) のみです。

 図は、系統関係に地質年代を当てはめたもの(Clint A. Boyd, 2015)。 2つに分けて、一部を紹介しています。

 黒線が、化石記録のないゴースト系統です。白いボックスは、各端末のタクサの出現期間です。推測であって、必ずしも化石が見つかっているわけではありません。

 ノードの番号は、以下のクレード(又はサブクレード)を示しています。

  1.  
  2. 1, Ornithischia (鳥盤類) 
  3. 2, Heterodontosauridae 
  4. 3, Genasauria 
  5. 4, Thyreophora (装盾類) 
  6. 5, Neornithischia (新鳥盤類) 
  7. 6, Parksosauridae (パルクソサウリダエ) 
  8. 7, Orodrominae 
  9. 8, Thescelosaurinae 
  10. 9, Elasmaria 
  11. 10, Cerapoda (角脚類) 
  12. 11, Marginocephalia (周飾頭類) 
  13. 12, Ornithopoda (鳥脚類) 
  14. 13, Hypsilophodontidae (ヒプシロフォドンティダエ) 
  15. 14, Iguanodontia (イグアノドンティア) 
  16. 15, unnamed Gondwanan clade 
  17. 16, Dryomorpha 
  18. 17, Dryosauridae 
  19. 18, Ankylopollexia.


Time-calibrated phylogeny of Ornithischia.jpg

  
Time-calibrated phylogeny of Ornithischia-2.jpg


 図に示すように、新鳥盤類(Neornithischia)は、パルクソサウリダエ (Parksosauridae、科)と角脚類(Cerapoda)に分岐しています。 パルクソサウリダエ歯、2002年に定義されたクレードですが、再定義されています。  

 角脚類は、周飾頭類(Marginocephalia)と鳥脚類(Ornithopoda)に分岐し、鳥脚類は、ヒプシロフォドンティダエ(Hypsilophodontidae)とイグアノドンティアに分岐します。  

 ヒプシロフェドンティダエは、クレード名として残っています。ただ、かつて、ヒプシロフォドンティダエとされたほとんどのタクサは、パルクソサウリダエに含まれ、鳥脚類ではありません。  

 イグアノドンティアに含まれない鳥脚類(基盤的鳥脚類)のヒプシロフォドンティダエは、ヒプシロフォドンのみです。  

 ここ最近の15年の発見で、パルクソサウリダエの多様性が大きく増加した一方で、角脚類 から分岐した基盤的な位置には、4000万年ほどの化石が見つかっていないゴースト系統があります。  

 これは、この系統の初期の仲間がまだまだ見つかっていないことを示すとされています。




  1. References:
  2.  
  3. Clint A. Boyd (2015) 
  4. The systematic relationships and biogeographic history of ornithischian dinosaurs. 
  5. PeerJ 3:e1523 
  6. doi: https://doi.org/10.7717/peerj.1523
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 日本語で"鳥類"とは言っても、そのクレードにはいろいろあって、しかも名称に一貫性がなくて煩雑です。

 包括的なグレードから順に、Paraves(パラベス)、Avialae(アヴィアラエ)、Aves(鳥類)、Ornithuromorpha(真鳥形類) 、Ornithurae(真鳥類)、Neornithes(新鳥類)、Neoaves (ネオアベス)などです。

 例えば、"Neornithes" を「新鳥類」と訳すと、"Neoaves"の日本語訳が難しいですね。

 今回、現生鳥類を含む系統のみからなるクレード、新鳥類(Neornithes)の起源や初期進化についての論文が報告されています。

 ちなみに、Neornithes の定義は、「ダチョウ( Struthio camelus )とイエスズメ( Passer domesticus )の最も新しい共通の祖先から派生する全ての子孫」です。

 化石記録だけからの年代推定は難しいため、現生鳥類DNA配列データと、鳥類化石の組み合わせから解析したもの。 

 その結果、現生鳥類の最も新しい共通祖先は、約9500万年前の南米大陸が起源とされています。

 そして、大陸移動(プレートテクトニクス)と環境の変化という地球の歴史が、新鳥類の多様化に影響を与え、特に、世界的に地球が寒冷化する期間に、多様化したとされています。
 

 図は、新鳥類の初期の系統関係に時間軸をあてはめたタイムツリーの一部(Santiago Claramunt et al., 2015)。

 現生鳥類(新鳥類)の共通祖先は約9500万年前に出現したとされ、しだいに3つの大きなクレードに分岐します。

 最初は、9150万年前に、ダチョウなどの走鳥類が属する古顎類(Palaeognathae)と新顎類(Neognathae)に、8510万年前に新顎類がキジカモ類(Galloanseres)とネオアベス(Neoaves)に分岐します。

 いずれの系統も、白亜紀末以降、爆発的に多様化しています。
 



Neornithes.jpg

 論文では、ほとんどの系統を代表する現生鳥類230種の時計様遺伝子のDNA配列の違いと、すべての系統の130の鳥類化石を用いています。  

 その結果、現生鳥類の最も新しい共通祖先は、約9500万年前の白亜紀後期早期に、南米(ゴンドワナ大陸西部)に棲んでいたとされています。  

 しかし、白亜紀末までにはあまり多様化せず、新生代になってようやく、新鳥類は世界中に広がり、多様化したのです。  

 そして、ゴンドワナ大陸から世界への鳥類の放散には、主に2つのルートがあったとされています。  

 暁新世の間に北米を通り旧世界に到達するルートと、古第三紀の間に南極経由でオーストラリアとニューランド近くのジーランディア(Zealandia)に達するルートです。  

 正味の多様化率は、世界的な寒冷化期間中に増加しています。  これは、熱帯雨林が隔離され、熱帯生物群系が少数の集団に断片化されることで、分化を刺激したことを示唆するとされています。  

 つまり、二つの基本的な地球のダイナミクスの特徴であるプレートテクトニクスと環境の変化に、鳥類進化が影響された影響されたとしています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Santiago Claramunt and Joel Cracraft (2015) 
  4. A new time tree reveals Earth history's imprint on the evolution of modern birds. 
  5. Science Advances 1(11): e1501005 
  6. DOI: 10.1126/sciadv.1501005
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 "ラプトル"の名で知られる、ほとんどのドロマエオサウリダエ(Dromaeosauridae、科)は、比較的小型から中型の獣脚類です。

 デイノニコサウリア(Deinonychosauria)の系統であり、鳥類へと進化したアヴィアラエ(Avialae)とは、既にジュラ紀後期に分岐している(分岐図 )のですが、小型化と羽毛は、この系統でも空へとチャレンジしていたようように思えます。

 一方、小数ですが、先祖返りしたような大型種も知られています。「大型」の基準があいまいですが、論文では、4種とあります。推定全長を5メートル超に絞ると、2種ですね。

 今回、ユタ州にある白亜紀後期(マーストリヒチアン)のヘル・クリーク層から、推定全長5.5メートルほどの大型種が発見・記載され、Dakotaraptor steini (ダコタラプトル・ステイニ)と命名されています。

 ヘルクリーク層には、小型のマニラプトラと大型のティラノサウリダエがいたわけですが、ダコタラプトルは、そのギャップを埋めるボディサイズです。

 系統的には、ヘル・クリーク層でもっとありふれたドロマエオサウリダエ、(Dromaeosaurus albertensis)の姉妹群とされ、両者からなる群がユタラプトル(Utahraptor ostrommaysorum )の姉妹群の位置づけです。

 ユタラプトルは、ユタ州にある白亜紀前期(バレミアン、約1億2500万年前)の地層(Cedar Mountain Formation)で発見されており、系統的には近いのですが、時代はずいぶん違います。

 尺骨には、大型種としては初めての羽軸突起(quill knob)があり、前肢に長い羽毛があった証拠とされています。

 しかし、飛べそうにはない大型種であり、ディスプレイか、二次的に飛ばなくなった羽根の名残りとも考えられます。

 また、大腿骨が脛骨より短めで、そのプロポーションから、走るスピードは速く、大きなカギツメなどとあいまって、手ごわいプレデターだったようです。

 図は、ホロタイプ(PBMNH.P.10.113.T)からの復元骨格。右上は見つかっている部分で、その他は、他の近縁種からの推定です。

Dakotaraptor steini.jpg

 論文はカンザス大が発行するオンライン専用のオープンアクセスの雑誌です。  

 論文で示されている4種の大型ドロマエオサウリダエは以下のとおり。推定全長はWikipedia などから。全長1.5メートルのブイトレラプトルは大型といえるのかどうか、微妙です。


  1. Buitreraptor gonzalezorum (ブイトレラプトル、南米、白亜紀後期、全長1.5メートル)
  2. Deinonychus antirrhopus (デイノニクス、北米、白亜紀前期、推定全長3.4メートル)
  3. Achillobator giganticus (アキロバトル、モンゴル、白亜紀後期、全長5から6メートル)
  4. Utahraptor ostrommaysorum (ユタラプトル、北米、白亜紀前期、全長7メートル)
 
 なお、ユタラプトルの種小名、記載論文ではostrommaysi でしたが、複数形に改められています。  

 図は、ドロマエオサウリダエの分岐図(Robert A. DePalma et al., 2015)。5種の大型種は赤線で示しています。 


Dakotaraptor steini-2.jpg

 今回の標本は、2005年に四肢や尾の一部が発見されたもの。歯などは別の場所から見つかっています。同時に、サウロルニトレステス(Saurornitholestes)やアケロラプトル(Acheroraptor)といった他のドロマエオサウレダエの標本も見つかっています。

 尺骨には、大型種としては初めての羽軸突起があります。羽軸突起は、腰にコブのあるカルカロドントサウルス類(2010年9月)で紹介していますが、飛ぶことができる現生鳥類にみられ、次列風切羽が、靭帯により骨に固定されていた時の小さな突起です。  

 大型のドロマエオサウリダエでも、ユタラプトルは大腿骨:脛骨比が1:1で、中足骨は短く、がっしりした骨格あり、獲物を追いかけるプレデターとしての能力は劣っていたようです。  

 一方、ダコタサウルスの大腿骨は脛骨より17%短く、小型種に比べて相対的に中足骨は長めです。よりスピードが出せそうなプロポーションだったわけですね。


 


  1. References:
  2. Robert A. DePalma, David A. Burnham, Larry D. Martin†,Peter L. Larson and Robert T. Bakker (2015) 
  3. The first giant raptor (Theropoda: Dromaeosauridae) from the Hell Creek Formation. 
  4. Paleontological Contributions 14 (16 pp.) PDF 
  5. URI: http://hdl.handle.net/1808/18764
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 最近は新発見もありますが、アフリカの白亜紀の恐竜の化石記録は、まだかなり貧弱です。

 獣脚類では、主に北アフリカの白亜紀中頃(アピチアン-セノマニアン)の地層から知られています。

 今回、そのひとつ、モロッコにある白亜紀後期早期(セノマニアン)の地層で発見され、1996年に記載された獣脚類、シギルマッササウルス(Sigilmassasaurus brevicollis)の系統的位置などについて、再評価されています。

 Bite Stuff で紹介していますが、頚椎が気になるようですね。

 論文は、頚椎などの新たな標本に基づいたもの。ただし、化石ディーラーから購入したため、ケムケム単層(Kem Kem Beds)は確かですが、発見場所や標本の関連性などは不明です。

 この恐竜、モロッコ産、 Sigilmassasaurus brevicollis 再記載(2013年5月)では、カルカロドントサウリダエではなくて、テタヌラエ(テタヌラ類)に含まれるとしていました。

 特に、スピノサウリダエ(スピノサウルス科)に近縁とされ、同じ層序から見つかり、シギルマッササウルスと同じ文献で記載されたスピノサウルス・マロッカヌス(Spinosaurus maroccanus ) の主観的シノニム(異名)ではないかという説もあります。

 今回の論文では、シギルマッササウルスは、有効なタクソンで、系統的には、スピノサウリダエとされています。

 モロッコのケムケム単層には、スピノサウルス・マロッカヌスとあわせ、少なくとも2種のスピのサウリダエがいたことになります。

 図は、今回示された系統関係(Serjoscha W. Evers et al., 2015)。枠で囲んだ部分がスピノサウリダエです。

 シギルマッササウルスは、テタヌラエのスピノサウリダエの中で、スピノサウルスなどともに多分岐となっています。



Sigilmassasaurus.jpg


 新たに報告された椎骨は、シギルマッササウルスとスピノサウルス・マロッカヌスの間の中間の特徴を示しており、シギルマッササウルスは、有効なタクソンとされています。  

 スピノサウルス・アエジプティアクスSpinosaurus aegyptiacusのシノニムでもないわけです。


 


  1. References:
  2.  
  3. Serjoscha W. Evers, Oliver W.M. Rauhut, Angela C. Milner, Bradley McFeeters & Ronan Allain (2015) 
  4. A reappraisal of the morphology and systematic position of the theropod dinosaur Sigilmassasaurus from the "middle" Cretaceous of Morocco. 
  5. PeerJ 3:e1323 
  6. doi: https://dx.doi.org/10.7717/peerj.1323
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 ヨロイリュウとして知られるアンキロサウリアの系統は、アンキロサウリダエ(いわゆるアンキロサウルス科)とノドサウリダエ(ノドサウルス科)の系統に大別されます。

 今回、アンキロサウリダエについてレビューした論文が報告されています。

  系統関係を見ると、アンキロサウリアの登場は、ジュラ紀中期から後期(カロビアン-オックスフォーディアン)で、アンキロサウリダエの分岐は、白亜紀前期(オーテリビアンからバレミアン)、そして、アンキロサウリナエ(亜科)の分岐が白亜紀中頃(アプチアンからアルビアン)ですね。

 白亜紀前期、アジアにノドサウリダエはいた証拠があるのですが、白亜紀中頃に、アジアのノドサウリダエは、アンキロサウリナエに置き換わります。

 北米大陸では、白亜紀中頃にアンキロサウリダエは絶滅したようです。しかし、アンキロサウリナエが、白亜紀中頃のアルビアンから後期のカンパニアンの間に、アジアから北米に移り、そこで、アンキロサウリニ(族)として多様化したとされています。

 なお、アンキロサウリダエは、アジアと北米に完全限定/モンゴルの新種(2014年10月)で紹介しているように、アンキロサウリダエのゴンドワナからの証拠は無く、完全にアジアと北米大陸に限られていたようです。

 また、種の再検討により、Crichtonpelta(クライトンペルタ)属が提唱されています。タイプ種は、2007年に、Crichtonsaurus benxiensis として記載された Crichtonpelta benxiensis です。  

 属名は、ジュラシックパークの原作者、マイケル・クライトンにちなんで命名されました。

 さらに、ミンミ(Minmi paravertebra)を含め、いくつかの種は、疑問名(nomina dubia)とされています。



  1. References:
  2.  
  3. Victoria M. Arbour & Philip J. Currie (2015) 
  4. Systematics, phylogeny and palaeobiogeography of the ankylosaurid dinosaurs. 
  5. Journal of Systematic Palaeontology (advance online publication) 
  6. DOI:10.1080/14772019.2015.1059985
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魚竜の系統関係

 三畳紀前期に出現した魚竜は、鳥類以外の恐竜が絶滅する前の白亜紀後期(セノマニアン末、約9300万年前)には絶滅してしまいます。

 今回、先に紹介した論文から、魚竜の系統関係、特に魚竜のクレードについて簡単に説明します。

 図は、系統関係に時間軸を当てはめたもの(Ryan D. Marek, et al., 2015)。

 ちなみに、魚竜の系統は、イクチオプリギア(Ichthyopterygia、原魚竜)の、イクチオサウリア(Ichthyosauria)です。

 三畳紀中期から始まっており、三畳紀前期のイクチオプテリギアであるウタツサウルス(Utatsusaurus hataii )は含まれていません。


  Ichthyosauria-Time-calibrated.jpg

 図で、一番原始的な魚竜は、スイスで発見されたMikadocephalus gracilirostris です。

 また、図で、もっとも基盤的なクレードは、P(Parvipelvia)です。"わずかな骨盤"という意味で、海に進出したものの、骨盤の痕跡は残っていたようです。  

 やがて、N(Neoichthyosauria、新イクチオサウリア)となり、E(Eurhinosauria、真リノサウリア)やT(Thunnosauria)に分岐しています。 

 さらに進化すると、B(Baracromia)や O(Ophthalmosauridae、オフタルモサウルス科)となります。  そして、ジュラ紀前期晩期(トアルシアン、約1億8000万年前)を過ぎると、ほとんどが、O(Ophthalmosauridae)となります。  

 しかし、すべてではなく、Malawania のように、別系統も残っています。  

 白亜紀の魚竜は、かつては、ジュラ紀以降衰退した生き残りと考えられていましたが、最近では、ジュラ紀末から白亜紀初期にかけて、魚竜の多様性を示す化石が発見されています。



  1. References:
  2.  
  3. Ryan D. Marek, Benjamin C. Moon, Matt Williams and Michael J. Benton (2015) 
  4. The skull and endocranium of a Lower Jurassic ichthyosaur based on digital reconstructions. 
  5. Palaeontology (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1111/pala.12174
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 ケラトプシア(角竜)の新種化石、最近たくさん報告されているようですが、それは、白亜紀もカンパニアンの後期、約7700万年前以降の話です。

 ケラトプシアは、白亜紀後期のチューロニアン(約9000万年前)に近縁の姉妹群が登場してから、多様化が開始する約7700万年前までの間の、初期の化石記録は乏しく、7種のタクサが記載されているのみだそうです。 

 図は、ケラトプシアの系統関係に地質年代を当てはめたもの(David C. Evans et al., 2015)。ピンクの範囲(9000万年前から7700万年前)が、化石記録が乏しいとされる期間です。

 7000万年代はともかく、この図を見る限り、9000万年前から8000万年前の間は全くの空白期間ですね。


Phylogenetic relationships of Wendiceratops pinhornensis.jpg


  今回、カナダ・アルバータ州にある白亜紀後期(カンパニアン中期、7800万から7900万年前)の地層(Oldman Formation)で発見された新種のケラトプシアが記載されています。 

  Wendiceratops pinhornensis(ウェンディケラトプス・ピンホルネンシス)と命名されています。属名は、最初に化石を発見したウェンディ・スロボダ(Wendy Sloboda)にちなんでいます。

 ケラトプシダエ(Ceratopsidae、科)は、セントロサウリネ(亜科)とカスモサウリネ(亜科)の2系統に大別されるのですが、今回の新種は、基盤的なセントロサウリネの系統で、シノケラトプス( Sinoceratops zhuchengensis)の姉妹群とされています。 図の赤線の位置です。

 

 下の図は骨格図(David C. Evans et al., 2015)。発見されている部分はブルーです。 眼窩の上のツノは近縁種からの類推でしょう。



Wendiceratops pinhornensis.jpg

 不完全ですが、鼻先には、大きくて直立した鼻角(nasal horn)があり、このはっきりした鼻角は、ケラトプシアで最も古いとされています。  

 鼻角は、姉妹群のシノケラトプスやより派生的なセントロサウルスなどと比べて、眼窩に近い位置にあるのが特徴です。 

 上の系統図に、側面から見た鼻の形態が示されています。 ケラトプシダエの外群と基盤的なセントロサウリダエは、鼻飾り(nasal ornamentation)を欠いていることに注目ですね。  

 系統的な位置からして、こういった鼻飾りは、過渡的な形態ではないかと考えられています。  

 また、大きな鼻角は、ケラトプシアでは、少なくとも2回独立して進化したとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. David C. Evans & Michael J. Ryan (2015) 
  4. Cranial Anatomy of Wendiceratops pinhornensis gen. et sp. nov., a Centrosaurine Ceratopsid (Dinosauria: Ornithischia) from the Oldman Formation (Campanian), Alberta, Canada, and the Evolution of Ceratopsid Nasal Ornamentation. 
  5. PLoS ONE 10(7): e0130007. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0130007
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 カメの起源や初期進化については、色々議論されてきました。

 2013年に理化学研究所は、ゲノム解読から、約2億5000万年前の大量絶滅期(P-T境界)に、ワニや恐竜などのグループから分岐し、独自に進化したと報告しています。

 今回、 約2億4000万年前と、ゲノム解析の年代に近いカメの祖先(stem-turtle)とされる化石が発見されています。恐竜が誕生した頃ですね。  

 ドイツにある三畳紀中期の地層で発見されたもので、新種記載され、Pappochelys rosinae(パッポケリス・ロシナエ)と命名されています。

 全長は20センチほどですが、尾が半分ほどを占めています。

 背中と腹には甲羅はなく、腹側の甲羅(腹甲)の代わりに、ガストラリア(gastralia、腹肋骨)を持っています。どうやら、腹甲は、ガストラリアに由来するようです。


 図は、パッポケリス近辺の系統図(Rainer R. Schoch et al., 2015 、一部追加)。パッポケリスはPantestudines (総カメ類)の基盤的な位置づけです。

 緑色で示したように、現生のカメを含む Testudines (カメ類)以外の原始的なグループは、stem-turtle (基部カメ類)と呼ばれています。もちろん、側系統であり、クレードではありません。 


Pantestudines-2.jpg




 パッポケリスの頭部の眼窩後方には2つの側頭窓があり、カメが、恐竜などと同じく、双弓類であるとされています。  

 構造的にも、時系列的にも、図に示したエウノトサウルス(Eunotosaurus africanus)とオドントケリス(Odontochelys semitestacea)の中間体とされています。  

 エウノトサウルスは、南アフリカにある約2億6000万年前のペルム紀の地層で発見された爬虫類で、甲羅はありません。  

 一方、オドントケリスは、中国にある約2億2000万年前の地層で発見され、腹側に甲羅(腹甲)がありますが、背側の甲羅(背甲)は不完全です。肋骨と脊椎が広がっています。  

 肢帯の機能については、かなりオドントケリスに類似している一方、オドントケリスとは異なり、腹甲の代わりに、強固な対になったガストラリアを持っています。  

 このことから、腹甲の一部は、ガストラリアが連続して癒合し形成された証拠だとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Rainer R. Schoch & Hans-Dieter Sues (2015) 
  4. A Middle Triassic stem-turtle and the evolution of the turtle body plan. 
  5. Nature (advance online publication) 
  6. doi:10.1038/nature14472
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 白亜紀もカンパニアンに入ると、角竜(Ceratopsidae、ケラトプス科)の系統は、2つの系統に分岐します。

 図のように、カスモサウリナエ(カスモサウルス亜科)とセントロサウリナエ(セントロサウルス亜科)です(Caleb M. Brown & Donald M. Henderson, 2015 )

 トリケラトプスに代表されるように、カスモサウリナエの頭部のフリルは、セントロサウリナエに比べて、シンプルです。

 今回、カナダ・アルバータ州にある白亜紀後期(マーストリヒチアン、約6800万年前)の地層( St. Mary River Formation)で発見された新種のカスモサウリナエが記載されています。 

 ほとんど完全で、3次元的に保存された頭部に基づくもので、Regaliceratops peterhewsi (レガリケラトプス・ペテレウシ)と命名されています。

 最も驚くべきことは、カスモサウリナエのトリケラトプシーニ(Triceratopsini)の系統ながら、頭部の飾りが派手なこと。

 この点は、レガリケラトプスが見つかった年代には既に絶滅しているセントロサウリナエの系統に類似しています。

 カスモサウリナエ(特にマーストリヒチアンの型)の頭部の形態がセントロサウリナエに類似しているのは、収斂進化だったとされています。  

 恐竜の系統では初めてとなる、頭部のツノ様ディスプレイ構造での収斂進化とされています。現生や絶滅哺乳類では見られているそうです。  

 初めての収斂進化とのことですが、すでに、カスモサウリナエの基盤的な位置では、頭部に多数のツノがあるコスモケラトプス(Kosmoceratops richardsoni )なども見つかっています。



Regaliceratops peterhewsi.jpg

  1. References:
  2.  
  3. Caleb M. Brown & Donald M. Henderson (2015) 
  4. A New Horned Dinosaur Reveals Convergent Evolution in Cranial Ornamentation in Ceratopsidae. 
  5. Current Biology (advance online publication) 全文(pdf ) 
  6. DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.cub.2015.04.041
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 真鳥形類のヘスペロルナス形類(Hesperornithiformes)は、白亜紀前期晩期から後期にわたり、その地理的分布、ボティサイズや海に潜ることに特化した点で、中生代の鳥類として最も多様なグループの一つとされています。

 過去2世紀にわたり幅広く発見されているにもかかわらず、系統解析はほとんど行われてきませんでした。

 今回、初めて系統解析した論文が報告されています。記載されたタクサの大部分を含んでいます。

 その結果、ヘスペロルナス形類が単系統であることが支持され、新鳥類(Neornithes)の姉妹クレードとされています。 また、Brodavidae と Hesperornithidae は単系統で、Baptornithidae は多系統とされています。

 ボディサイズが大きくなったことで肺の容量が増え、より深いダイビングが可能になったとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Alyssa Bell & Luis M. Chiappe (2015) 
  4. A species-level phylogeny of the Cretaceous Hesperornithiformes (Aves: Ornithuromorpha): implications for body size evolution amongst the earliest diving birds. 
  5. Journal of Systematic Palaeontology (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1080/14772019.2015.1036141
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 ブロントサウルス(雷竜)といえば、1800年代後半から知られた有名な竜脚類です。モリソン層で見つかったこともあり、米国の懐かしい恐竜グッズには、この名前がよく登場します。

 しかし、その後、アパトサウルスのジュニアシノニム(新参異名)とされ、ブロントサウルスは無効名とされていました。

 ブロントサウルスの記載は1879年、アパトサウルスのわずか2年後だったのです。このあたり、 トリケラトプスは残る/恐竜の学名(2011年9月)で紹介しています。

 今回、アパトサウルス属とは異なり、ブロントサウルス属は有効とした論文が報告されています。 ブロントサウルスの復活ですね。

 ディプロドシダエ(Diplodocidae、ディプロドクス科)について、標本レベルで系統関係を解析したもの。一度はディプロドシダエとされた全てのホロタイプ標本を含んで解析しています。

 
 その結果、ディプロドシダエとしては、15-18種が有効とされています。そのうち、12-15種がモリソン層から見つかっています。

 ディプロドシナエ(Diplodocinae、亜科)としては、7-8属、9-11種が認められ、アパトサウリナエ(Apatosaurinae、亜科)としては、3属、6-7種です。 

 興味深い例として、例えば、ブロントサウルスが、有効属とされています。

 ディプロドシナエの系統内で、ブロントサウルス属(Brontosaurus excelsusB. yahnahpinB. parvus の3種)は、アパトサウルス属(Apatosaurus ajaxA. louisae の2種のみ)と姉妹群とされています。

 また、断片的な標本である Diplodocus longus が疑問名となり、ディプロドクス属のタイプ種は、 D.carnegii に変更されています。 そして、"Diplodocus" hayi は、別の属、Galeamopus とされています。

 

  1. References:
  2.  
  3. Tschopp E, Mateus O, Benson RBJ. (2015) 
  4. A specimen-level phylogenetic analysis and taxonomic revision of Diplodocidae (Dinosauria, Sauropoda) 
  5. PeerJ 3:e857 
  6. https://dx.doi.org/10.7717/peerj.857
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 北米のエドモントサウルスと、東アジア(山東省)産のシャントゥンゴサウルス(Shantungosaurus)は近縁だった・・・。  

 今回、ハドロサウリナエ(Hadrosaurinae、亜科)のエドモントサウリーニ(Edmontosaurini、族)の系統関係を見なおした論文が報告されています。

 エドモントサウリーニというクレードは、エドモントサウルスとロシア産のケルベロサウルス(Kerberosaurus)の最小包括的な(両属の最も新しい共通祖先とその全ての子孫からなる)クレードとして定義されていました。

 今回の論文では、エドモントサウルスとシャントゥンゴサウルスは姉妹群とされ、また、ロシア産のケルベロサウルスは、これら2つの属の姉妹群とされています。

 よって、図に示すように、エドモントサウリーニというクレードは、シャントゥンゴサウルスを含めた3つの属からなるとされています。 

 いずれも白亜紀後期の地層から見つかっており、エドモントサウリーニは、アジアに起源を有し、ベーリング海峡経由で、北米に広がっていったとされています。

 図は、ハドロサウリナエのクラドグラムの一部(XING Hai et al., 2014を改変)。赤丸がエドモントサウリーニです。それぞれの種の後の na は北米産を、 as はアジア大陸産を示しています。




Edomontosaurini.jpg


 また、ズーチェンゴサウルス(Zhuchengosaurus)とフアシアオノサウルス(Huaxiaosaurus)はシャントゥンゴサウルスの、クンデュロサウルス(Kundurosaurus)は、ケルベロサウルスの、それぞれジュニアシノニム(新参異名)とされています。  つまり、これら3種の学名は、無効名となります。

 もちろん、この論文で有効性がないと判断されただけであり、一度、適格とされた学名は、新参異名などで無効(名)とされても、適格(名)のままです。 当然ながら、別の解析評価や新たな標本の発見で、復活する可能性がないわけではありません。


 


  1. References:
  2.  
  3. XING Hai, ZHAO Xijin, WANG Kebai, LI Dunjing, CHEN Shuqing, Jordan C. MALLON, ZHANG Yanxia & XU Xing (2014) 
  4. Comparative Osteology and Phylogenetic Relationship of Edmontosaurus and Shantungosaurus (Dinosauria: Hadrosauridae) from the Upper Cretaceous of North America and East Asia. 
  5. Acta Geologica Sinica 88(6): 1623-1652 (English Edition)
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 先週Scienceに、鳥類のゲノム(全遺伝子情報)解読に関する8つの論文が報告されました。鳥類45種と3種のワニ類のゲノムを解読したというもの。
 
 歯を失ったのは、約1億1600万年前など、進化の一部が解明されているですが、恐竜については、たいした知見が得られていませんね。

 徐星らの、指や呼吸器の進化や羽毛形態の初期進化、4翼飛行などについて解説も、過去の論文をまとめたレビューにすぎません。 

  その中で、系統関係が示されています。もちろん、現生鳥類以外の恐竜の系統関係は、ゲノムからではなく、化石の形態からの推定です。

 最近、鳥類と非鳥類型獣脚類の境がややこしくなってきているので、このあたり、ちょっと、おさらいをしておきましょう。

 図に示すように、鳥類へとつながるクレードは、パラベス(Paraves)、デイノニコサウリア(Deinonychosauria)、アヴィアラエ(Avialae)の順です(Xing Xu et al., 2014、改変)。





paraves.jpg

 パラベスの系統で示されているのは、エピデキシプテリクス(Epidexipteryx hui)ですね。始祖鳥より古い時代の羽毛恐竜/道虎溝 生物相(2012年2月)で紹介していますが、中国にある道虎溝生物相で発見されています。  

 デイノニコサウリアには、ミクロラプトルやアルゼンチンで発見されたウネンラギア(Unenlagia)、マダガスカルで見つかっているラホナビス(Rahonavis)などが含まれています。  

 ラホナビスは、鳥類とされることもあったのですが、非鳥類型獣脚類の位置づけです。  アヴィアラエから鳥類とすると、始祖鳥やサペオルニス(Sapeornis)、ジェホルニス(Jeholornis)、エナンティオルニス(Enantiornis)などが含まれています。  

 ラホナビスは白亜紀末に絶滅したのですが、この系統が生き延びていたら、鳥類(Avialae)は単系統でなくなり、鳥類のクレードは消滅したことでしょうね。


 


  1. References:
  2.  
  3. Xing Xu, Zhonghe Zhou, Robert Dudley, Susan Mackem, Cheng-Ming Chuong, Gregory M. Erickson, and David J. Varricchio (2014) 
  4. An integrative approach to understanding bird origins. 
  5. Science 346 (6215): 1253293 
  6. DOI: 10.1126/science.1253293
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 北米大陸の角竜といえば、白亜紀後期になってケラトプソイデア(Ceratopsoidea)の仲間が大いに多様化します。

 それ以前の、白亜紀前期といえば、ネオケラトプシア(Neoceratopsia、新角竜類)の脱落歯などが見つかっている程度でした。

 今回、北米の白亜紀前期としては初めて、系統的に識別できるネオケラトプシアの新種が記載されています。

 モンタナにある白亜紀前期晩期(1億900万年前-1億400万年前)の地層(Cloverly Formation)で、1997年に発見されていた化石です。

 学名は、Aquilops americanus(アクイロプス・アメリカヌス)で、属名は、曲がったクチバシに由来し、"Eagle face(ワシの顔)"の意味です。

 図は、角竜の系統関係に、年代と見つかった大陸などを加えたもの(Andrew A. Farke, et al., 2014)。クリックすると、論文にジャンプします。

 アクイロプスは、左下で、この位置では初めての水色(北米産)です。北米最古の角竜であり、基盤的なネオケラトプシアの位置づけで、アジアの原始的な角竜Liaoceratops や Auroraceratops に近縁とされています。
 

 今回の発見から、白亜紀初期の晩期(1億1300万年前までから1億500万年前)には、アジアと北米間を移動していたとされています。

 そのルートは不明ですが、白亜紀前期のヨーロッパにネオケラトプシアがいないことからすると、ヨーロッパ経由ではなく、少なくとも断続的な接続があったベーリング海峡ルートが有力とされています。

 北米でも比較的古い、ニューメキシコ州にある白亜紀後期(約9000万年前)のズニ盆地で発見されたズニケラトプス(Zuniceratops christopheri)は、派生したケラトプソイデアの系統であり、フリルも大きく、アジアと北米の角竜の特徴をかねそなえていました。

 しかし、アクイロプスは、ツノも小さく、アジアの原始的な角竜に似ており、アジアから渡ってきたばかりのようですね。
 
 

 
Aquilops.jpg

 見つかっているのは頭部のみであり、吻部先端と頬骨先端間は84ミリしかなく、推定体長は、せいぜい60センチ程度と小型とされています。  

 アクイロプスの祖先が北米大陸にわたってきたのは、1億400万年前より前で、近縁でより系統的に古い Liaoceratops の年代からすると、図に示すように、早ければ1億2500万年前頃とされています。  



  1. References:
  2.  
  3. Andrew A. Farke, W. Desmond Maxwell, Richard L. Cifelli & Mathew J. Wedel (2014) 
  4. A Ceratopsian Dinosaur from the Lower Cretaceous of Western North America, and the Biogeography of Neoceratopsia. 
  5. PLoS ONE 9(12): e112055. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0112055
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 新鳥盤類から羽毛状構造(2013年11月)で紹介していましたが、シベリアで発見された羽毛状構造を持つ基盤的新鳥盤類(neornithischia)が記載されています。
 
 全長1.5メートルほどの植物食恐竜で、Kulindadromeus zabaikalicus (クリンダドロメウス・ザバイカリクス)と命名されています。

 "羽毛"と紹介しているニュースもありますが、鳥類の羽毛とは異なります。論文のタイトルは、" 羽毛(feathers)"と略されていますが、本文では、単繊維(monofilaments)と、図のように分岐し軸のない羽毛状構造(featherlike structures)とされています。

 図は、複雑な構造の大腿骨付近の羽毛状構造。Eが化石の写真で、Fがそれを説明用に図にしたもの。 bpl は基板(basal plate)です(Pascal Godefroit et al., 2014)。

 剛毛状のウロコ/鳥盤類では初めて(2014年7月)で紹介した構造に似てますね。 これらは、羽毛ではなくて、毛じゃないのかな、という気もしないではありません。




Kulindadromeus-2.jpg

 以前から、鳥盤類でもフィラメント状の外皮構造は報告されています。

 羽毛はまれ/恐竜の皮膚(2014年1月)で紹介していますが、いずれも角脚類のヘテロドントサウルス類のTianyulong confuciusi とプシッタコサウルスで、ブラシ状の繊維状外皮構造は、それらの固有派生形質であって、ごく一部のグループでの特殊な例とされていました。

 しかし、今回、シンプルとやや複雑な羽毛状構造がみつかったことから、それらの構造は、非鳥類型獣脚類の"原羽毛 (protofeathers) "と共通の祖先に由来する相同と考えられています。

 今回の発見から、全ての恐竜が、羽毛状構造を備えていたと考えられています。ただ、その起源はさかのぼるのでしょうが、まだ鳥盤類での発見例は少ないですね。  
 
 クリンダドロメウスでは、もっぱら断熱やディスプレイの意味だったのではないかと考えられています。

 しかし、温暖な気候であったり、ディスプレイとしては、トサカなどのほうがめだったりと、結局、鳥盤類では羽毛はじゃまになって、それほど進化しなかったようにも思えます。



Kulindadromeus.jpg

 今回のクリンダドロメウスは、ジュラ紀中期-後期(約1億6000万年前)の地層(Ukureyskaya Formation)からの発見で、上の図に示すように、基盤的新鳥盤類の位置づけです(Pascal Godefroit et al., 2014)。  

 新鳥盤類とは、ステゴサウルスやアンキロサウルス以外の鳥盤類です。クリンダドロメウスは、角脚類(Cerapoda)の姉妹群ですから、基盤的といってもより進化した仲間ですね。  


 クリンダドロメウスは、3種類のウロコと、3種類の羽毛状構造を持つとされています。後足の遠位まわりは小さなウロコでおおわれ、尾は、より大きなカワラ状のウロコです。  

 一方、頭部や胸部は単繊維(monofilaments)でおおわれ、上腕骨と大腿骨、脛骨はより複雑で分岐し、軸のない羽毛状構造( featherlike structures)でおおわれています。リボン状構造も見つかっています。



  1. References:
  2.  
  3. Pascal Godefroit, Sofia M. Sinitsa, Danielle Dhouailly, Yuri L. Bolotsky, Alexander V. Sizov, Maria E. McNamara, Michael J. Benton & Paul Spagna (2014) A Jurassic ornithischian dinosaur from Siberia with both feathers and scales. Science 345( 6195): 451-455 DOI: 10.1126/science.1253351
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 パタゴニアにある白亜紀前期早期の地層 (Bajada Colorada Formation) で発見された派生的なディプロドクス類が記載され、Leikupal laticauda (レイクパル・ラチカウダ)と命名されています。

 ポイントは、派生的なディプロドクス類が白亜紀に残っていたこと、しかも南米大陸で発見されたことでしょう。

 今回の発見は、白亜紀及び南米初の、いわゆる科レベルのディプロドクス類で、層序的に最も若い記録とされています。南米では、少なくとも、白亜紀前期まで生き延びていたのですね。

 図は、ディプロドクス類の系統関係のひとつ( Pablo A. Gallina et al., 2014)。赤枠で囲った位置が、レイクパルです。

 図に示すように、一口にディプロドクス類といっても、ディプロドコイデア(Diplodocoidea、いわゆる上科)は最も包括的で、レバッキサウルス類などを含みます。  

 そして、ディプロドキダエ(Diplodocidae、科)、ディプロドキナエ(Diplodocinae、亜科)の順に派生的なクレードとなります。

 なお、クレード名の末尾がかつての階級を示す文字であっても、分岐学的系統解析では階級の概念はありません。ただし、複数のクレード名があるとそれらの関係がわかりにくくなるので、便宜上、上科や科などを( )で示しています。


  Leikupal laticauda.jpg
 ディプロドコイデア(上科)の一部は白亜紀にも世界的に分布していたのに対し、ディプロドキダエ(科)になると、ジュラ紀/白亜紀境界以降では、発見されておらず、また、アフリカ以外の南半球では未発見でした。  

 いわゆる科レベルのディプロドキダエは、最も象徴的な竜脚類とされています。  系統的には、派生的なクレードのディプロドキナエ(亜科)とされ、そこにはアフリカのTornieriaも含まれています。  

 また、ディプロドコイデア(上科)の起源が、ジュラ紀中期かそれ以前であることを示唆するとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Pablo A. Gallina, Sebastián Apesteguía, Alejandro Haluza & Juan I. Canale (2014) 
  4. A Diplodocid Sauropod Survivor from the Early Cretaceous of South America. 
  5. PLoS ONE 9(5): e97128. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0097128
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 コープの法則とは、同一系統の進化において、時代が新しくなるにつれて、ボディサイズが大きくなるという法則です。

 今回、翼竜の巨大化とその促進要因について、総合的な新しいデータセットを用い、最尤モデリングによって考察した論文が報告されています。オープンアクセスです。

 その結果、約7000万年の制約された初期進化と、その後に続く、約8000万年にわたる持続的な多系統でのボディサイズの大型化が確認されています。

 図は、地質時間と、翼竜と鳥類の翼開長の関係で、約1億4500万年前のジュラ紀-白亜紀境界を境に、翼竜は大きくなっていきます(Roger B. J. Benson et al., 2014)。

 つまり、鳥類が誕生した時期に、ほとんど全ての小型種は絶滅したとされています。



pterosaurs-size.jpg

 大進化的なボディサイズの大型化は、白亜紀前期における鳥類の適応放散と一致し、鳥類と翼竜の競合があったとする仮説、議論の余地がある仮説ですが、それを支持するとされています。  

 また、この進化的な競合が、地質学的時間という長いタイムスケールで、翼竜の大進化の促進要因になったと考えられています。



  1. References:
  2.  
  3. Roger B. J. Benson, Rachel A. Frigot, Anjali Goswami, Brian Andres & Richard J. Butler, 2014 
  4. Competition and constraint drove Cope's rule in the evolution of giant flying reptiles 
  5. Nature Communications 5, Article number: 3567, Published 02 April 2014 
  6. doi:10.1038/ncomms4567
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3種の新種真鳥形類/甘粛省

 甘粛鳥で発見されている白亜紀前期の鳥類といえば、水かきのあるGansus yumenensis(甘粛鳥)が知られています。

 今回、Gansus と同じ基盤的真鳥形類(ornithuromorph)の系統で、3つの新種が報告されています。 オープンアクセスです。

 白亜紀前期の地層(Xiagou Formation)で発見されたもので、いずれも新属新種の、Yumenornis huangiChangmaornis houi、そして、Jiuquanornis niui です。

 ここの鳥類相(Changma avifauna)においては、真鳥形類と姉妹群の関係にあるエナンチオルニスが小型で樹上性だったのに比較して、これらの真鳥形類は地上性又は水性環境に適応していたと考えられています。

 


  1. References:
  2.  
  3. Ya-Ming Wang, Jingmai K. O'Connor, Da-Qing Li & Hai-Lu You (2013) 
  4. Previously Unrecognized Ornithuromorph Bird Diversity in the Early Cretaceous Changma Basin, Gansu Province, Northwestern China. 
  5. PLoS ONE 8(10): e77693. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0077693
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カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

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