骨格図の最新ニュース

 ケラトプシア(角竜)の新種化石、最近たくさん報告されているようですが、それは、白亜紀もカンパニアンの後期、約7700万年前以降の話です。

 ケラトプシアは、白亜紀後期のチューロニアン(約9000万年前)に近縁の姉妹群が登場してから、多様化が開始する約7700万年前までの間の、初期の化石記録は乏しく、7種のタクサが記載されているのみだそうです。 

 図は、ケラトプシアの系統関係に地質年代を当てはめたもの(David C. Evans et al., 2015)。ピンクの範囲(9000万年前から7700万年前)が、化石記録が乏しいとされる期間です。

 7000万年代はともかく、この図を見る限り、9000万年前から8000万年前の間は全くの空白期間ですね。


Phylogenetic relationships of Wendiceratops pinhornensis.jpg


  今回、カナダ・アルバータ州にある白亜紀後期(カンパニアン中期、7800万から7900万年前)の地層(Oldman Formation)で発見された新種のケラトプシアが記載されています。 

  Wendiceratops pinhornensis(ウェンディケラトプス・ピンホルネンシス)と命名されています。属名は、最初に化石を発見したウェンディ・スロボダ(Wendy Sloboda)にちなんでいます。

 ケラトプシダエ(Ceratopsidae、科)は、セントロサウリネ(亜科)とカスモサウリネ(亜科)の2系統に大別されるのですが、今回の新種は、基盤的なセントロサウリネの系統で、シノケラトプス( Sinoceratops zhuchengensis)の姉妹群とされています。 図の赤線の位置です。

 

 下の図は骨格図(David C. Evans et al., 2015)。発見されている部分はブルーです。 眼窩の上のツノは近縁種からの類推でしょう。



Wendiceratops pinhornensis.jpg

 不完全ですが、鼻先には、大きくて直立した鼻角(nasal horn)があり、このはっきりした鼻角は、ケラトプシアで最も古いとされています。  

 鼻角は、姉妹群のシノケラトプスやより派生的なセントロサウルスなどと比べて、眼窩に近い位置にあるのが特徴です。 

 上の系統図に、側面から見た鼻の形態が示されています。 ケラトプシダエの外群と基盤的なセントロサウリダエは、鼻飾り(nasal ornamentation)を欠いていることに注目ですね。  

 系統的な位置からして、こういった鼻飾りは、過渡的な形態ではないかと考えられています。  

 また、大きな鼻角は、ケラトプシアでは、少なくとも2回独立して進化したとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. David C. Evans & Michael J. Ryan (2015) 
  4. Cranial Anatomy of Wendiceratops pinhornensis gen. et sp. nov., a Centrosaurine Ceratopsid (Dinosauria: Ornithischia) from the Oldman Formation (Campanian), Alberta, Canada, and the Evolution of Ceratopsid Nasal Ornamentation. 
  5. PLoS ONE 10(7): e0130007. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0130007
----------  コメント(0)



 後方に扇状の独特のトサカを持つ Olorotitan arharensis (オロロティタン・アルハレンシス)の頭部構造などについての報告があります。

 ロシア極東部にある白亜紀後期の地層で発見され、2003年に記載されたランベオサウルス類(lambeosaurine)です。

 ロシアでは最も完全な恐竜化石で、また、北米以外では最も完全なランベオサウルス類とされています。

 属名は、"gigantic swan(巨大なアヒル)" の意味です。

 

 今回は頭部と骨格について記載し、また、ランベオサウルス類の系統関係についても論じています。

 ランベオサウルス類は、頭部のトサカが特徴的で、近縁のランベオサウルスやコリトサウルスなどが目の上にトサカがあるのに対し、オロロテイタンでは後方に広がっています。

 

 図は、頭部復元図。

 後方に大きく広がるのは、鼻骨(Nasal)です。ランベオサウルスのトサカは、前上顎骨(Premaxilla)と鼻骨を大きくして形成しているのですね。

 しかし、実際は、鼻骨後ろの部分は完全に壊れているそうで、扇状のプレートの復元は推定です。

 

Olorotitan_arharensis.jpg 下は、ランベオサウリネ(lambeosaurine)の系統関係。

 オロロテイタンは赤線で示しています。

 分岐点(Node)Aが、ランベオサウリニ(lambeosaurine)で、Hがパラサウロロフィニ(Parasaurolophini) 、K がコリトサウリニ(Corythosaurini)です。

 

lambeosaurine.jpg 

  1. References:
  2.  
  3. Pascal Godefroit, Yuri L. Bolotsky, and Ivan Y. Bolotsky, 2011
  4. Osteology and relationships of Olorotitan arharensis, a hollowcrested hadrosaurid dinosaur from the latest Cretaceous of Far Eastern Russia
  5. Acta Palaeontologica Polonica in press available online 09 Sep 2011 doi:10.4202/app.2011.0051
  6.   
  7. Godefroit, Pascal; Bolotsky, Yuri; and Alifanov, Vladimir, 2003
  8. A remarkable hollow-crested hadrosaur from Russia: an Asian origin for lambeosaurines
  9. Comptes Rendus Palevol 2 (2): 143-151.
  10. doi:10.1016/S1631-0683(03)00017-4
----------  コメント(0)



 南アメリカにあるジュラ紀初期(約億9000万年前)の地層で発見された竜脚形類が記載され、Arcusaurus pereirabdalorum と命名されています。

 属名の由来は、"歩くサウルス"ではなくて、"Rainbow Reptile"。

 民主化後の初代大統領、ネルソン・マンデラ氏が就任した時、南アフリカを希望あふれる国にしようと、「Rainbow Nation(虹の国)」と呼んだことにちなんでいます。 

 著者の一人、Matthew F. Bonnan のブログ、Jurassic Journeysy で紹介されています。

 

 以下の図は、Arcusaurus pereirabdalorum の頭部。スケールは5センチですから、全長は15センチほど。

 

 

Arcusaurus_pereirabdalorum_skull.jpg   下は、系統関係。

  系統的には、プラテオサウルス類の外群で、 Efraasia と他の全ての派生する竜脚形類の姉妹群とされています。

 Efraasia はドイツにある三畳紀(Norian、約2億1000万年前)の地層から見つかっており、 上部 Elliot Formation (ジュラ紀初期)で発見されたアルクサウルスとは、2000万年ほどのギャップがあります。

 この年代のギャップと、アルクサウルスにはプラテオサウルス類の特徴もあることから、系統的な位置を疑問視する意見もあります。

 

 

Clad_Arcusaurus.jpg   

 

  1. References:
  2.    
  3. Adam M. Yates; Matthew F. Bonnan; Johann Neveling
  4. A new basal sauropodomorph dinosaur from the Early Jurassic of South Africa
  5. JVP, 31(3), Pages 610 - 625
  6. DOI: 10.1080/02724634.2011.560626
----------  コメント(0)



鳥類の解剖学アトラス

 「Anatomical Atlas of Domestic Birds」 は、1976年にルーマニアで発行された鳥類(家禽)の解剖学アトラスです。著者は、Ghetieです。 

 恐竜や鳥類の頭部、最近では、嗅球などの研究で知られるオハイオ大の WitmerLab でLarry Witmer が紹介しています。

 数年前に"発見"したというお宝本とありますが、科博の對比地さんが、その研究室に留学中にくたびれたコピーを持っていたのを見つけたのだとか。

 なんとかオリジナルを見つけ、全頁PDF化したそうです。上記サイトからダウンロードできます。15.6MB, 295ページあります。

 ニワトリやアヒルなどについて、骨や筋肉だけでなく、内臓や血管系、神経系などのイラストも豊富です。イラストと名称(英語)のみで、解説はありません。

 家禽ですから、多少、人間の好みに合わせた種だけを選別してきたきらいはありますが、獣脚類の血をひいているはずですから、参考になるでしょう。

 

 下のイラストはその一部。一見ニワトリに似ていますが、ガチョウの全身骨各イラストです。

skeleton_goose.jpg 

 

 下の図は、七面鳥の翼。肩と手首にあるのは膜(21、membrana patagialis)です。どういう機能を発揮しているのでしょうね。

     wing_turkey.jpg

----------  コメント(0)



 アクロカントサウルスは、白亜紀前期の北米大陸に生息した大型獣脚類です。しかし、その系統については、アロサウロイデア(上科)とする説とカルカロドントサウリダエ(科)とする説がありました。

 今回、Acrocanthosaurus atokensis の頭部の解剖学的な特徴について調べ、アロサウロイデアの系統関係についての論文が報告されています。

 ここでは、アクロカントサウルスを、より大型のカルカロドントサウリダエの系統においています。この位置づけで、白亜紀前期に、カルカロドントサウリダエが世界各地に広がっていたこを示すとされています。

 

 下の図は、復元イラストと骨格図。 口蓋コンプレックスと内側表面、つまり内部の変更なので、外観的には以前とあまり変わらないと思います。

 首のあたりから太くなっているのは、ここから背中にかけて長い神経棘があり、帆のようになっているため。

 

Acrocanthosaurus_atokensis.jpg 

 今回調べたのは、オクラホマ州にある Antlers Formation Trinity Formation (Aptian-Albian)で発見された標本( NCSM 14345 )です。

 この標本については、2000年にアロサウロイデアに近縁として報告されていますが、さらにプレパレーションを進めて解析したもの。

  頭蓋骨と下顎骨について、口蓋コンプレックスと内側表面についての新たな知見が得られたとされています。

 

 今までに知られた153の形質と、今回新たに得られた24の形質を元に、系統解析した結果、系統的には、カルカロドントサウリダエに位置づけされ、ニジェールで発見された Eocarcharia に最も近く姉妹群としています。

 

 下図はその系統関係。○はカルノサウリア(Carnosauria)で、●はアロサウルロイデア(Allosauroidea)。 

 矢印は、アクロカントサウリダエをアロサウルスの姉妹群の位置に移す(以前の系統関係)には、41ステップが必要なことを示しています。それだけ無理があるということです。

 

Eddy_2011.jpg

 下図は、アロサウロイデア の系統樹(Phylogram):系統解析の概要に、最初にタクソンが出現した時代を当てはめたもの。系統は、層序によく一致するとされています。

 ボディサイズを表示し比較できます。

 代表的な恐竜は、アロサウルス(青)、アクロカントサウルス(赤)、カルカロドントサウルス(緑)で示しています。また、アクロカントサウルスの姉妹群、Eocarcharia は省略されています。

 

 ジュラ紀のアロサウルスが、白亜紀にかけてより大型化しています。最後は、カルカロドントサウルスとマプサウルス、ギガノトサウルスです。

 

Allosauroidea.jpg  

 

 

 

  1. Acrocanthosaurus_2011.jpgReferences:

  2. Eddy, D. R. & Clarke, J. A. 2011.
  3. New Information on the Cranial Anatomy of Acrocanthosaurus atokensis and Its Implications for the Phylogeny of Allosauroidea (Dinosauria: Theropoda).
  4. PLoS ONE 6(3): e17932.
  5. doi:10.1371/journal.pone.0017932
----------  コメント(0)



翼竜の皮膜パターン

 9月にオンラインで原稿が公開された翼竜の皮膜に関する論文が報告されています。図と共に再度紹介します。

  以下の図に示すように、翼竜には、前膜(propatagium、淡い緑色の部分)、側膜(brachiopatagium、灰色)、腿間膜(uropatagium、ピンク色の部分)の3枚の飛膜があったとされています。

 

Elgin2011.jpg

 

 皮膜の残された翼竜化石について報告された論文をレビューし、一番広い主膜(側膜)については、以下の図にある4パターンに分けて考察しています。

 

  1.  A:側膜端が足首まで伸びた伝統的なコウモリ型(traditional Bat-like model)
  2.  B:大たい骨の中ほどまでの鳥型(Bird-like model)
  3.  C:膝あたりまでのプテロダクチルス型(Pterodactylus model)
  4.  D:最近のコウモリ型(more recent Bat-like model) 

 

 Aの古典的なコウモリ型は化石証拠が無いとしています。Bでは皮膜は体のみにつき、足はフリーになっています。Cでは、素膜端は膝辺りです。Dでは、皮膜端は、足首あたりにあります。Pterodactylus では、足首までが最新の考えのようです。

 Aに比較して、B-Dでは皮膜が細長くなっています。つまり、体よりも横幅が長く、グライダーのように、アスペクト比が高い翼になっています。特に、Bの3は、ほとんど皮膜がありません。

 膜の面積だけでなく、足の動きと皮膜がどのように連動するかが鍵となりそうですね。Dのタイプだと、足の動きで、皮膜の向きが大きく変化します。

 

Elgin2011-2.jpg 

 

  1. References:
  2. Ross A. Elgin, David W.E. Hone, and Eberhard Frey, 2011
  3. The extent of the pterosaur flight membrane
  4. Acta Palaeontologica Polonica 56 (1), 2011: 99-111
  5. doi:10.4202/app.2009.0145
----------  コメント(0)



 ユタ州で発見された新種竜脚類、Brontomerus mcintoshi が記載されています。BBC で、で、著者の Mike Taylor が語っています。

 大たい骨は見つかっていませんが、属名は、"thunder thighs(雷の太もも)"の意味。その理由は、大きく特徴的な腸骨にあります。そこに太い脚をささえる大きな筋肉がついていたと推測されています。

 北米大陸の竜脚類は、白亜紀になると、ディプロドクスからマクロナリア類が優位になったとされています。

 2011年最初の新種として一旦オンライン版で公表されたのですが、その後、命名法の問題からでしょうか、非公開になってしまいました。今回、再登場です。

 白亜紀前期((Aptian-Albian)の Cedar Mountain Formation で、1997年に化石の一部が発見されていたそうです。北米の白亜紀前期(約1億1000万年前)の地層から発見された竜脚類の属としては、8番目とされています。

 その属名は、ギリシア語で"thunder thighs(雷の太もも)"の意味。米国の俗語では、"太いもも(を持つ太った人)"の意味があります。

 しかし、大たい骨は発見されていません。下の図の白い部分が、発見された化石で、別々の個体の化石です。全体は、カマラサウルス(Camarasaurus grandis)に基づいています。
 


Brontmerus.jpg 図に示された部分しか見つかっていないのに、新種とされたのはその腸骨が特徴的だったからでしょう。

 タイプ標本は、幼体の左腸骨です。 その腸骨ですが、高さが高く、寛骨臼より前の部分(preacetabular lobe、前寛骨臼葉)が、腸骨全体の長さの55%もあり、他のどの竜脚類より長いなどの特徴があります。

 大きな腸骨の下には、大きな筋肉がついていたとされ、そのキック力はずいぶん強力だったとBBCニュースが伝えています。ただ、速く走れたというわけではなく、他の恐竜に蹴りを入れたのではないかとされています。


 下は、腸骨の他の竜脚類との比較。イチョウの葉のようですね。右下が、ブロントメラス。 ブロントメラスは、高さが高く、左側(前部)の部分が多いことがわかります。
 他は、A:マメンチサウス、B:ディプロドクス、C:カマラサウルス、D:ジラフティタン、E:ラペトサウルスです。

 



Ilia_brontmerus.jpg  系統的には、カマラサウルス形類(camarasauromorph)とされていますが、見つかっている化石が少ないためか、このクレード内での位置ははっきりとしていません。

 北米大陸におけるジュラ紀後期と白亜紀前期の最も顕著な違いは、ジュラ紀がディプロドクス類がメインだったに対して、白亜紀になると、マクロナリア類が優勢になったこととされています。

 

  1. References:
  2. A new sauropod dinosaur from the Lower Cretaceous Cedar Mountain Formation, Utah, USA
    Michael P. Taylor, Mathew J. Wedel, and Richard L. Cifelli
    Acta Palaeontologica Polonica 56 (1), 2011
  3. doi:10.4202/app.2010.0073

----------  コメント(0)



 パタゴニアにある白亜紀後期の地層で発見された新種のテイタノサウルス類が記載されています。  

 アルゼンチンにあるネウケン盆地の Plottier Formation (Coniacian-Santonian)から発見され、学名は、Petrobrasaurus puestohernandezi と命名されています。

 "ペトロ・・"からわかるように、属名は、化石産地の保存などに協力している石油会社(Petrobras)にちなんでいます。種小名は発見地由来です。

 なお、石油会社の名前がついた恐竜としては、中国産の獣脚類、Gasosaurus constructusについで2例目のようです。

  アルゼンチンでは、会社名のついた恐竜が多く、ティタノサウルス類のPanamericansaurus schoederi (Panamerican energy and Schoeder)とFutalognkosaurus dukei (Duke energy)、Catharthesaura anaerobica (Anaerobicos S.A.)があります。

  いくつかの特徴は南米から発見されている巨大竜脚類のロンコサウリア(Lognkosauria)に関連があるそうです。

 ロンコサウリアは、2007年に、「Mendozasaurus neguyelap と Futalognkosaurus dukei の最も新しい共通の祖先から派生する全ての子孫」と定義されたクレードです。  しかし、より深い分析が必要で、現状では、位置が不確実なティタノサウルス類とされています。

 画像は、骨格復元と鉛筆状の歯の化石。白い部分が発見されている化石です。スケールバーからすると体長は14メートルほどです。

 

Petrobrasaurus.jpg

  1. References:
  2. A new sauropod titanosaur from the Plottier Formation (Upper Cretaceous) of Patagonia (Argentina).
  3. L. FILIPPI, J.I. CANUDO, J.L. SALGADO, A. GARRIDO, R. GARCIA, I. CERDA, and A. OTERO
  4. Geologica Acta 9 (1): 1-23 (March 2011)(pdf)
----------  コメント(0)



カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

2016年5月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

アーカイブ


カテゴリ  ▼(広げる)▲(たたむ)