機能や生態の最新ニュース

 かつて、竜脚類は首を高く持ち上げて復元されていましたが、ここ20年で、一部の竜脚類では、そういった首の姿勢は疑問視されてきています。

 首が水平に復元されるディプロドクスと、傾斜したブラキオサウルスにおける骨学的な違いは、それらのライフスタイルやエサを食べるスタイルが異なっていることを示唆しています。

 それらの脊椎の違いのひとつが、2股になった神経棘です。2股になった神経棘の有無にかかわらず、竜脚類は同じ首の姿勢を示すように復元されてきました。 

 最近では、神経棘に伴って靭帯の存在が示されており、今回、2股になった神経棘の生物学的メカニズムを理解するために、現生動物を参考に、靭帯などの軟組織について解析した論文が報告されています。

 モンタナ州立大が紹介しています。

 その結果、以前は、二股になった分岐部分のくぼみは、完全な空間か、空気室か筋肉がある復元でした。

 逆に、今回の研究では、二股の神経棘の頂点は、別れた項靱帯(nuchal ligament)が固定される場所であり、分岐部分のくぼみは、棘間にある靭帯で埋められていたとされています。  

 靭帯には、エネルギー効率の高い弾性反発があり、頚椎にある対になった靭帯は、水平面(すなわちエサを食べる時)に伸びて、首が横方向に移動するには役立ったようです。



  1. References:
  2.  
  3. D. Cary Woodruff (2016) 
  4. Nuchal ligament reconstructions in diplodocid sauropods support horizontal neck feeding postures. 
  5. Historical Biology (advance online publication) 
  6. DOI:10.1080/08912963.2016.1158257
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 基盤的竜脚形類、Melanorosaurus thabanensis (メラノロサウルス・タバネンシス)について再記載されています。

 その結果、メラノロサウルスではなく、新たに、Meroktenos(メロクテノス)属が提唱され、Meroktenos thabanensisとされています。

 メロクテノスは2足歩行と考えられていますが、その大腿骨の断面は偏心しており、これは、後に、大型竜脚類としてが獲得する特徴です。

 つまり、竜脚類として重量が増える前から、重力移動(graviportalism)と4足歩行へのカギとなる適応が見られるわけです。

 この「竜脚類様」大腿骨は、三畳紀としては初めてで、メロクテノスはこの特徴を持つ初めての基盤的竜脚形類のひとつとされています。

 南アフリカの近く、レソト王国にあるエリオット層(Elliot Formation)で発見されたのですが、層序位置が見直され、下部エリオット層からであり、ジュラ紀初期ではなくて、三畳紀後期とされています。  

 ホロタイプの大腿骨は、そのサイズから、幼体のものではないかとされています。  


 


  1. References:
  2.  
  3. Claire Peyre de Fabrègues &, Ronan Allain (2016) 
  4. New material and revision of Melanorosaurus thabanensis, a basal sauropodomorph from the Upper Triassic of Lesotho. 
  5. PeerJ 4:e1639
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 脊椎動物の進化において、歯の形と食物の関係は重要です。歯の機械的特性は、その形状だけでなく内部構造によっても影響されます。

 今回、シンクロトロン透過X線顕微鏡を用い、系統別に、恐竜の歯の内部微細構造を調べた論文が報告されています。 

  その結果、竜盤類の歯の内部の微細構造は、進化した鳥盤類の歯とは非常に異なっており、これは、歯の進化戦略の違いを反映しているとされています。

 派生した鳥盤類の歯では、マントル象牙質は大いに減少しているか消失しており、マントル象牙質の違いは、鳥盤類と竜盤類の歯の主な違いとされています。

 歯の化石だけでも、その内部構造から、鳥盤類と竜盤類程度は識別できそうですね。

  一方、有蹄類を超える複雑な歯の構造/トリケラトプス(2015年6月)では、派生したケラトプシアでは固いマントル象牙質(mantle dentine、HMD)が見られると紹介しています。

 
 竜盤類にみられる象牙質エナメル質境界近くの3つの組織の組成(エナメル-マントル象牙質?バルク象牙質)は、恐竜の原始的な歯の状態を表しています。  

 一方、派生した鳥盤類の歯では、マントル象牙質は大いに減少しているか消失しています。  このマントル象牙質の有無が、鳥盤類と竜盤類の歯の主な違いです。  

 マントル象牙質の消失は、鳥盤類の派生した植物食摂食に関連しているようですが、興味深いことに、マントル象牙質は、植物食でも、竜盤類の竜脚類では保持されています。  

 鳥盤類で、マントル象牙質の消失を伴う歯の進化は、象牙質エナメル質境界から伸びたエナメル紡錘のエナメル特性の変化に関連するとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Chun-Chieh Wang, Yen-Fang Song, Sheng-Rong Song, Qiang Ji, Cheng-Cheng Chiang, Qingjin Meng, Haibing Li, Kiko Hsiao, Yi-Chia Lu, Bor-Yuan Shew, Timothy Huang & Robert R. Reisz (2015) 
  4. Evolution and Function of Dinosaur Teeth at Ultramicrostructural Level Revealed Using Synchrotron Transmission X-ray Microscopy. 
  5. Scientific Reports 5, Article number: 
  6. 15202 (2015) doi:10.1038/srep15202
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 足が長いほうが速く走れるというのは、単純な法則です。

 足の長さといっても、現生動物では、大腿骨の長さはほとんど関係がなく、膝から下の下肢が長い動物は速く走れるとされています。 

 そして、獣脚類の場合、図に示すように、小型で体重が軽いほど、下肢は長くなります(W. Scott Persons IV, et al., 2016 )。

 図で、Aは遠縁のタクサ、Bは近縁、Cは同一タクサでの成長段階の違いです。いずれもも右の小型のほうが、下肢が長めです。



srep19828-f1.jpg

 しかし、今回紹介する獣脚類の走行性に関する論文では、 これは体重によるアロメトリック(allometric、非比例)な影響であって、必ずしも、走行性が高いわけではないと、報告されています。

 そこで、アロメトリックな効果を排除するため、体重を考慮した指数が用いられています。

 今回の指標では、同じ下肢のプロポーションなら、体重が重いほど、走行性は高くなります。

 そのせいもあるのか、比較的小型の獣脚類の走行性能は低く、ティラノサウリロイデア(上科)のような大型獣脚類では、高くなっています。 

  アルバータ大は、T.rex はライオンで、ナノティラヌスはチーター、と紹介しています。しかし、実際の速度にはボディサイズがからむので、最高速度そのものを示しているわけではありません。


 53種の獣脚類について、実際の下肢長と、大腿骨(体重)から予測される下肢長との比率を調べたもの。成長に伴う変化についても考察されています。 

 その結果、初期の獣脚類は遅く、獣脚類は、時間をかけて、走ることに適応していったとされています。

 一方、進化したティラノサウロイデアは速く、また、T.rex とナノティラヌスの比較では、走行性の適応に大きな差があり、ナノティラヌスの種としての有効性と、T.rex とは異なる生態系に住んでいたことが示唆されています。


 獣脚類の四肢のプロポーションに関しては、体重のアロメトリックな効果が問題となります。  体重増に伴い、場所によって、プロポーションの異なる成長が見られるのです。

 このアロメトリックな影響と走行適応圧は競合し、四肢の形態に反対の影響を与えるのです。   

 例えば、走行性の進化圧を受けている系統であっても、同時に、体重増加と走行性圧を超えるアロメトリックな選択圧を受けていれば、四肢プロポーションには変化がみられないか、下肢の割合 はあえて小さくなります。  

 逆に、体重が減少する系統では、下肢の割合が大きくなりますが、それは、走行性志向の選択圧ではなくて、単にアロメトリックな圧から開放されただけなのです。

 
 そこで、今回は、走行性の指標として、走行性肢比率(CLP、Cursorial-limb-proportion)スコアを算出しています。  

 CLP = (真の下肢長/予測下肢長 - 1) ×100 で、真の下肢長と、大腿骨(体重)から予測された下肢長の百分率比の差です。 

 大腿骨(体重)から予測された下肢長( l )は、 l = 4.178 × f ^ 0.8371 で示されます。f  は、大腿骨長です。一般的に、大腿骨の長さは体重と相関するため、体重の指標として用いられています。

 また、 f ^ 0.8371 なので、同じ下肢長/大腿骨比の場合、大きくなるほど、CLPスコアは大きくなります。
 
 具体的に、下の表に示すように、同じプロポーションの小型種と大型種で、走行性をシミュレーションしてみました。

 小型種、大型種で、プロポーション(大腿骨長/下肢長(実際)の比率)は同じですが、走行性は大型種が高くなります。



 
 
小型種
大型種
大腿骨長
20.0
100.0
下肢長(実際)
50.0
250.0
下肢長(計算)
51.3
197.3
走行性
-2.5
26.7
 

 
 また、以下に論文で計算されたCLPスコアの一部を示します。T.rex の場合、その体重より予測された下肢長より実際は 11.5%長く、スコアが高いほど、速く走ることに適応していたというのです。

 


  1. CLP スコア:
  2.  
  3. Sinornithoides youngi:40.6 
  4. Nanotyrannus:35.8,32.7(2つの標本から) 
  5. Sinosauropteryx prima:17.8 
  6. Tarbosaurus baatar:14.2 
  7. T.rex:11.5 
  8. Troodon formosus:7.6 
  9. Deinonychus antirrhopus:-2.2 
  10. Allosaurus fragilis:-7.9 
  11. Velociraptor mongoliensis:-13.2 
  12. Sinornithosaurus millenii:-20.4
 


 同じ獣脚類種の中では、複数の標本や成長段階によらず、CLPスコアは一貫性のあるものとされています。 

  初期の獣脚類のCLPスコアは低く、コエルロサウリアであるティラノサウロイデアやコンプソグナシダエ(科)になると、高いとされています。    

 デイノニコサウリアの系統では、トロオドンチダエは比較的高く、ヴェロキラプトルやデイノニクスを含む多くのドロマエオサウリアのスコアは低いとされています。  

 これは、全てのドロマエオサウリアが、特に走行性に適していたわけではないとされています。  

 興味深いのは、成長に伴うCLPスコアの変化です。ティラノサウロイデアの中でも、アルバートサウルスやゴルゴサウルスでは、幼体のCLPスコアは成体のスコアの範囲内とされています。  

 一方、ナノティラヌスのスコアは、T.rexの範囲外です。よって、ナノティラヌスの長く伸びた足は、T.rex の幼体というわけではなく、両種は形態的に異なるとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. W. Scott Persons IV & Philip J. Currie (2016) 
  4. An approach to scoring cursorial limb proportions in carnivorous dinosaurs and an attempt to account for allometry. 
  5. Scientific Reports 6, Article number: 19828 (2016) 
  6. doi:10.1038/srep19828
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系統で異なる恐竜の前肢姿勢

 最近の恐竜の全身骨格、かつての図鑑のような「まな板の鯉」姿勢ではなくて、いきいきとした形で復元されるようになってきました。

 一方、さまざまな恐竜の大きさなどを比較するときには、「まな板の鯉」状態の標準姿勢が参考になります。

 しかし、恐竜が静止している時、肩甲骨ブレードはどのような傾きだったのか、定量的に調べられてはいなかったそうです。

 今回、恐竜が静止している時の肩甲骨ブレードや前肢の向きを調べた論文が報告されています。

 その結果、例えば、半月状の手根骨を持つ獣脚類以外の二足歩行の恐竜では、静止時の肘の向きは直角に近いとされています。

 また、半月状の手根骨を持つ獣脚類では、静止時、肘と手首はフレックスで、手首はほぼ直角で、ヒジは大きく鋭角とされています。

 図は、今回の結果で示された静止時の肩帯と前肢(Phil Senter & James H. Robins, 2015) 。A-Gの恐竜は以下のとおり。肘や手首などの角度が大きく異なっていますね。

  1.  
  2. A. 半月状の手根骨を持たない獣脚類 (Dilophosaurus wetherilli
  3. B. 半月状の手根骨を持つ獣脚類(カウディプテリクスをのぞく、Velociraptor mongoliensis
  4. C. カウディプテリクス(Caudipteryx sp.) 
  5. D. ケラトプシダエ(Styracosaurus albertensis)
  6. E. 基盤的竜脚形類(Plateosaurus engelhardti) 
  7. F. ハドロサウリアではない鳥脚類(Thescelosaurus neglectus
  8. G. ハドロサウリダエ(Parasaurolophus walkeri)


Pectoral girdles and forelimbs.jpg

  1. References:
  2.  
  3. Phil Senter & James H. Robins (2015) 
  4. Resting Orientations of Dinosaur Scapulae and Forelimbs: A Numerical Analysis, with Implications for Reconstructions and Museum Mounts. 
  5. PLoS ONE 10(12): e0144036 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0144036
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スピノサウルスの帆の機能

 T.rex より大きいスピノサウルス(Spinosaurus aegyptiacus)、半水棲生活をしていたとされていますが、背中にある帆の機能は謎のままです。

 その機能については、今まで3つの仮説が提唱されています。体温調節と、猫背スタイルのエネルギー貯蔵(humpback storage)、そして、ディスプレイです。

 エネルギー貯蔵とは、ラクダのコブのように、脂肪を蓄えたのではないかという仮説です。筋肉組織よりも、帆を軽くできるメリットもあったようです。

 今回、4つ目となる新たな仮説が提唱されています。ただし、データ等はなく、論文などからの推測です。

 その仮説によると、水に浸かった帆は、スピノサウルスの運動性を改善するとされています。

 具体的には、大きな帆は流体力学的に抵抗があり、水中で動きにくいことから、支点となって体軸を安定化し、首や尾を力強く動かすことができたとされています。

 これは、獲物を採る時や、力強く加速して泳ぐには有効だったようです。帆が支点となるので、尾を動かすことで、首を動かすことができそうですね。

 また、水中で、魚を囲い込むスクリーンとしても使ったのではないかとされています。

 大きな尾ビレのあるバショウカジキや、体の半分ほどもある長い尾が特徴のオナガサメ(thresher shark)を参考にしています。 

 バショウカジキの背ビレは普段折りたたまれていますが、獲物を追い急旋回する時などに大きく広げます。
 

 図は、帆の比較(Jan Gimsa et al., 2015)。上から(a)は水中を歩くスピノサウルスと、帆をあげたバショウカジキ(b)。

 一番下の(c)は、泳ぐスピノサウルス。うねらせて推進力を向上させるため、尾には、クロコダイルに似た角質のウロコが描かれています。



spinosaurus_sail.jpg

 



  1. References:
  2.  
  3. Jan Gimsa, Robert Sleigh and Ulrike Gimsa (2015) 
  4. The riddle of Spinosaurus aegyptiacus' dorsal sail. 
  5. Geological Magazine (advance online publication) 
  6. DOI: http://dx.doi.org/10.1017/S0016756815000801
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 恐竜はどこまで口を開くことができたのか? 口を開く角度は、その食性に関係していると考えられます。

 今回、3種の獣脚類について、アゴの開口角度について調べた論文が報告されています。T.rex とアロサウルス(Allosaurus fragilis)、そして、テリジノサウリアで、獣脚類ながら植物食のエルリコサウルス( Erlikosaurus andrewsi )です。

 3Dデジタルモデルを使い、頭部にある多くの筋肉の緊張限界などを、現生の鳥類やクロコダイルと比較し、解析したたもの。 ブリストル大にビデオがあります。

 解析結果として2種類のデータが示されています。図は、口を6度開いた時の安静筋肉長から求めた、最適と最大開口角度(Stephan Lautenschlager , 2015)。

 棒グラフは、緊張因子(筋肉長の伸長/弛緩比)。いずれかの筋肉の伸びが、最適か最大緊張限界に達しています。

 今回の解析は筋肉の伸びがメインで、関節強度などは考慮されていないようですが、T.rex やアロサウルスはアゴが外れそうですね。


Gape angles.jpg
 


 結果として、口を3度開いた時の安静筋肉長(muscle resting length)と、6度開いた時の安静筋肉長から、口を開く角度と緊張因子(strain factor、筋肉長の伸長/弛緩比)の関係が示されています。  

 T.rex とアロサウルスについて、いずれかの筋肉が最適緊張限界に達する角度は、いずれも3度の安静筋肉長から求めた値は28.0度、6度からは32.0度と32.5度とされています。  

 また、いずれかの筋肉が最大緊張限界に達する最大角度は、アロサウルスでは 79.0度(3度)及び92.0度(6度)、T.rex では、70.5度(3度)及び80度(6度)とされています。  

 一方、獣脚類ながら植物食のエルリコサウルスの最適角度は、3度の安静筋肉長からは20.5度、6度からは24.0度とされ、最大角度は43.5度(3度)及び49.0度(6度)とされています。  

 これらの相違は、食餌スタイルや食べるものを特殊化したことによる違いとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Stephan Lautenschlager (2015) Estimating cranial musculoskeletal constraints in theropod dinosaurs. 
  4. Royal Society Oepn Science 2: 150495 
  5. DOI: 10.1098/rsos.150495
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 猛暑だと熱中症が増えたりしますが、一般に、内温性動物では、代謝で体温を上げることは容易でも、下げる能力は劣るのです。

 体温を気温より下げることは難しいため、体温を維持するためには、体温は気温より高めに設定しておく必要があります。
 
 なかでも鳥類の体温は36-43℃と哺乳類より高めです。これは、空を飛ぶ大きなエネルギーを得るため、普段から代謝を高めているのだそうです。

 つまり、体温から、内温性か外温性か、またはその中間段階なのか、その動物の代謝形態がある程度わかったりするのです。

 では、鳥類の祖先にあたる羽毛恐竜の体温はどれくらいだったのでしょうか。

 今回、オヴィラプトロサウリダエ(オヴィラプトル科) など、白亜紀後期の2種類の恐竜の卵殻化石から、メスの排卵期の体温を推定した論文が報告されています。

 卵殻は、体内深部にある卵管下部で産生されるため、中核の体温を反映しており、獣脚類の直接的な体温測定は初めてとされています。

 その結果、オヴィラプトロサウリダエの体温は意外と低く、現生鳥類に見られるような内温性はなかったとされています。

 一方、Basoendothermy(基底内温性)や中温性(mesothermy) といった、内温機能が備わった中間型の形態だった可能性が示唆されています。

 常に豊富なエサを必要とする現生鳥類型の内温性は、環境によっては必ずしも優れたシステムではなく、高めの体温を維持する内温性は、飛行に関与した系統のみで進化したのかもしれませんね。


 図は、体重(X軸)と体温(Y実)の関係(Robert A et al., 2015)。 ピンクは現生鳥類で、赤は現生哺乳類、緑は外温性動物(当然、体温には幅があります)。

 ■で示されたのが、今回の測定結果です。オヴィラプトロサウリダエ(赤の■)は、外温性動物の位置ですね。


body_temp.jpg

 恐竜が内温性 (温血)か外温性 (冷血)か、は古くからのテーマです。もちろん、興味があるのは温度ではなくて、その行動や生態です。  

 より進化した鳥類が内温性であることから、どのあたりで進化したのかは気になるところです。  

 最近では、内温性と外温性と2分するのではなく、その中間の形態も提唱されてきています。 中間とはいっても、自らの代謝で熱を発生させる内温機能は備わっていたのです。

 例えば、Basoendothermy は、体温が35℃未満の内温性として定義され、中温性は代謝で体温を上げるのですが、内温性のように明確な体温は設定されていない形態です。 

 中温性については、恐竜は中間的な成長速度/内温性と外温性を併用か(2014年6月)で紹介しています。    
 
 今回の論文は、恐竜と現生鳥類や爬虫類の卵殻に含まれる炭酸カルシウムの炭素同位体(C13)と酸素同位体(O18)比率から推定したもの。  

 低い温度だと重い同位体は凝集しやすく、高い温度だとランダムになり、凝集の比率から温度がわかるのです。      

 その結果、図に示したように、アルゼンチンにある約8000万年前のティタノサウリダエ(科)の体温は、37.6±1.9℃と推定されています。 

 これは、大型の内温性動物と同程度です。ただ、これは、巨大さゆえの慣性恒温性(Gigantothermy)を反映している可能性もあります。  

 竜脚類の体温は人間並み(2011年6月)で、歯のエナメル質の同位体比から推定した体温、36-38℃に似てますね。 図では▲で示されています。 

 一方、モンゴルにある7500-7100万年前のオヴィラプトロサウリダエの体温は、31.9±2.9℃と推定されています。  

 この体温で内温性だとすると、30℃を超えるような季節は、体温を下げるほうが大変です。  

 よって、現生鳥類のような体温制御機構はなかったとされていますが、周囲の環境の温度は、26.3℃とされ、卵殻のほうが高いことから、ある程度の体温調節はできたとされています。  

 ただし、鳥類ほどではないにしろ、その中間的な、自分の代謝で体温を上げることができた内温性だったのか、日光浴なので調節できた外温性なのかは不明です。  

 今回調べた2種が内温性又は外温性とする強力な証拠はないとされています。  

 非鳥類型恐竜に、ある程度の体温調整機能はあるものの、全てが現生鳥類のような高めの体温(36-43℃)だったわけではないと考えられています。  




  1. References:
  2.  
  3. Robert A. Eagle, Marcus Enriquez, Gerald Grellet-Tinner, Alberto Pérez-Huerta, David Hu, Thomas Tütken, Shaena Montanari, Sean J. Loyd, Pedro Ramirez, Aradhna K. Tripati, Matthew J. Kohn, Thure E. Cerling, Luis M. Chiappe & John M. Eiler (2015) 
  4. Isotopic ordering in eggshells reflects body temperatures and suggests differing thermophysiology in two Cretaceous dinosaurs.
  5.   Nature Communications 6, Article number: 8296 doi: 10.1038/ncomms9296
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 最近は、骨の組織学的研究が増えていますが、少量の試料からの不完全な化石の解析は、多くの場合、統計的効力を欠くとされています。

 今回、今までで最大とされる標本数の組織学的解析について報告されています。

 年をとると2足から4足歩行へ/マイアサウラ(2015年7月)で紹介した論文と同じく、ウッドワード(Holly N. Woodward)とジョン・ホナーらが、マイアサウラ(Maiasaura peeblesorum) の50本の脛骨の組織学的解析から、年間成長率などについて解析したもの。

 その結果、3年間で体重は平均的な成体体重の36%(1260kg)に達し、その後、成長速度は減速したとされています。ということは、成体の体重は、3.5トンになりますね。

 この変化は、性的成熟の開始で、生殖にエネルギーを使うためと考えられています。そして、成体になるのは、骨格の成熟し老化が始まる8年後とされています。

 アリゲーターと比較して、マイアサウラは、初期に急速な皮質増加を示し、一方、アリゲーターの皮質の成長ははるかに低く、成長段階をとおして遅延しているとされています。

 最初の年の死亡率は、89.9%と高いのですが、そこを過ぎるとその後7年の平均は12.7%とされています。成熟した8年後の死亡率は44.4%に増加したとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Holly N. Woodward, Elizabeth A. Freedman Fowler, James O. Farlow and John R. Horner (2015) 
  4. Maiasaura, a model organism for extinct vertebrate population biology: a large sample statistical assessment of growth dynamics and survivorship. 
  5. Paleobiology (advance online publication) 
  6. DOI: http://dx.doi.org/10.1017/pab.2015.19
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 弓なりになったしなやかな尾を振り回すアンキロサウリア・・・なんて復元は、誤りなんですね。 
 
 ヨロイリュウとして知られるアンキロサウリアは、アンキロサウダエ(科)とノドサウリダエ(科)の系統に分岐しますが、白亜紀後期になると、アンキロサウリダエの系統だけが、尾にコブ状のノブを発達させます。 

  このようなアンキロサウリダエの尾全体は、クラブ(tail club)と呼ばれています。「こん棒」の意味で、こん棒の長い柄である、尾椎が連なったハンドル(handle)と、その先端にあるコブ状のノブ(knob)からなっています。

 尾はつけ根が動く程度で、尾椎が連なったハンドルは内部で骨同士がロックされ、柔軟性はなくて固く、棒のように真っ直ぐなのです。

 ですから、コブのあるアンキロサウリダエで、しなやかな尾を振り回す復元は誤りですね。

 ノブのなかには幅が60センチを超える巨大なものあって、陸上の4足動物の尾としては、最も極端な変化とされています。

 さて、このようなクラブ、いつからどのように進化したのか、謎でした。

 今回、このクラブは段階的に進化し、白亜紀前期に進化を開始したとする論文が報告されています。

 ファーストオーサーのブログ、Pseudoplocephalusで紹介されています。最初に、こん棒の柄であるハンドルから進化していたのです。


 先端のノブ、白亜紀後期の約2000万年ほどの派生的な仲間にしかみられないのですが、ハンドルは、アンキロサウリダエの系統で、ノブが発達する前の少なくとも4000万年には進化を開始したとされています。  

 一方、先端にノブのないノドサウリダエの系統の尾椎はハンドルのように固くなることはなく、比較的しなやかだったようです。  

 クラブは、2つの異なった骨格システムから形成されています。尾椎内部の内骨格(endoskeleton)と、尾のオステオダームを形成する皮骨です。    

 ジュラ紀の尾はフレキシブルだったのですが、柔軟性を失ったハンドルの始まりは少なくとも1億2200万年前のアンキロサウリダエ、Liaoningosaurus paradoxus(リャオニンゴサウルス・パラドクス)とされ、そして9200万年前のアンキロサウリナエ、ゴビサウルス(Gobisaurus domoculus)が続いたとされています。 なお、尾椎がハンドルタイプではない種も混在しています。  

 リャオニンゴサウルスについては、腹部に大きな骨質の板/遼寧省で新種のアンキロサウルス類の幼体化石を発見(2001年7月)で紹介しています。  遼寧省で発見され、記載時は、尾にノブを持たないノドサウリダエの系統でした。  

 しかし、アンキロサウルス類の系統関係(2011年7月)で紹介している論文では、基盤的なアンキロサウリダエとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Victoria M. Arbour and Philip J. Currie (2015) 
  4. Ankylosaurid dinosaur tail clubs evolved through stepwise acquisition of key features. 
  5. Journal of Anatomy (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1111/joa.12363
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 マイアサウラ(Maiasaura peeblesorum)は、白亜紀後期のハドロサウリダエです。
  
 4足歩行で復元されることが多いのですが、今回、若い時は2足歩行で、年をとると4足歩行へと、成長に伴って変化したとする論文が報告されています。

 怪我や病気から骨が治癒した後の骨のモデリング(増大)の解析からです。

 治癒すると、骨化したコブのような外骨腫(exostose)ができるのですが、その位置について、生体力学的に、歩行時の力のかかり方などが関与しているのです。


 成長段階の異なるマイアサウラの50標本の脛骨に残された外骨腫を解析したもの。  

 外骨腫は、足の腓骨が骨折した後、もう1本の骨である脛骨が過度に歪んだ結果であり、生体力学的に適応した骨のモデリングの例とされています。  外骨腫は、動く時に生じるストレスの方向に、最大曲げ強度を増加させます。  

 おそらく1歳の2足歩行の時は脛骨の前側面にあり、少なくとも4歳の4足歩行の時は脛骨の後方位置にあります。  

 このことから、若い時は2足歩行で、年をとると4足歩行になったと考えられています。


  1. References:
  2.  
  3. Jorge Cubo, Holly Woodward, Ewan Wolff & John R. Horner (2015) 
  4. First Reported Cases of Biomechanically Adaptive Bone Modeling in Non-Avian Dinosaurs. 
  5. PPLoS ONE 10(7): e0131131. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0131131
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翼竜の機能卵巣は2つ

 体を軽くするためか、ほとんどの鳥類では機能している卵巣は1つです。機能卵巣は1つ/基盤的鳥類(2013年3月)で紹介していますが、基盤的な鳥類でも同様だったようです。

 一方、同じように空を飛んだ翼竜はどうだったのでしょうか。

 しかし、翼竜の卵化石自体、非常に稀で、新種の翼竜コロニー/新疆ウイグル自治区(2014年6月)で紹介している例を合わせると、今まで、5例の報告しかありません。

 今回、翼竜には2つの機能卵巣があったとする報告があります。

 中国にあるジュラ紀後期の地層( Tiaojishan Formation )で発見された非プテロダクチロイドデアとされる標本から、2つめの卵化石が見つかったもの。

 以前、報告なしに、ダーウィノプテルス(Darwinopterus)ではないかとされていた標本ですが、今回の再分析からは、仮ですが、クンペンゴプテルス(Kunpengopterus)属とされています。

 組成分析から、炭酸カルシウムからなる固い外層がないことがわかっています。  また、組織切片解析から、大腿骨は骨髄骨を欠き、骨が成熟する前に生殖機能が成熟に達したようです。  

 今回のことから、翼竜は以前考えられていたよりも小さな卵を産み、鳥類よりは、基盤的な爬虫類に似た繁殖戦略を持っていたと考えられています。  

 なお、翼竜が、ヒナの世話をしたのかどうかについては、議論の余地があるところとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. WANG, XIAOLIN; KELLNER, ALEXANDER W. A.; CHENG, XIN; JIANG, SHUNXING; WANG, QIANG; SAYÃO, JULIANA M.; RODRIGUES, TAISSA; COSTA, FABIANA R.; LI, NING; MENG, XI; ZHOU, ZHONGHE (2015) 
  4. Eggshell and Histology Provide Insight on the Life History of a Pterosaur with Two Functional Ovaries. 
  5. Anais da Academia Brasileira de Ciências (advance online publication) 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.1590/0001-3765201520150364
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 カメレオンのように舌を使った翼竜(2015年7月)では、翼竜で見つかった舌骨器官を紹介しました。

 現生鳥類の舌の中にも硬い舌骨があり、そのためか、舌は細く硬く、あまり動かすことはできません。

 ちなみに、哺乳類では、舌の付け根あたりに舌骨がありますが、舌の中には骨がありません。

 鳥類の舌骨器官(hyobranchial apparatus)には、パラグロッサリア(paraglossalia、側舌骨)という軟骨からなる特徴的な骨があります。

 図は、ダチョウ(Struthio camelus )の舌-喉頭器官(linguo-laryngeal apparatus)を背側からみたものMartina R Crole and John T Soley, 2012)。

 赤い部分は骨で、ブルー系は軟骨で、上の方にあるPで示されているのがパラグロッサリアです。


 今回、アンキロサウリアで発見されたパラグロッサリアについて報告されています。これは、クラウングループ鳥類(Aves)以外では初めての発見です。

 筋肉質の舌があったとされ、その機能やパラグロッサリアの起源についても考察されています。

 白亜紀後期のアンキロサウリダエのピナコサウルス(Pinacosaurus grangeri ) の幼体や、ノドサウリダエのエドモントニアで見つかったもの。



paraglossalia.jpg

 アンキロサウリアのパラグロッサリアは、かなり鳥類のそれに似ていますが、比較的大きな筋肉の痕があり、筋肉からなる舌を持っていたと考えられています。  

 アンキロサウリアは、歯の組織像に示されるように、減少した、ゆっくり交換する歯を持っていました。  このことから、エサを食べるときには、かなり舌と舌骨(hyobranchia)に頼っていたようです。 

  今回の解析から、パラグロッサリアは、恐竜の共通祖先に存在し、高度に派生した鳥類の器官は、三畳紀に生じたのではないかとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Robert V. Hill, Michael D. D'Emic, G. S. Bever and Mark A. Norell (2015) 
  4. A complex hyobranchial apparatus in a Cretaceous dinosaur and the antiquity of avian paraglossalia. 
  5. Zoological Journal of the Linnean Society (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1111/zoj.12293 
  7.  
  8.  
  9. Martina R Crole and John T Soley, 2012 
  10. What prevents Struthio camelus and Dromaius novaehollandiae (Palaeognathae) from choking? A novel anatomical mechanism in ratites, the linguo-laryngeal apparatus 
  11. Frontiers in Zoology 2012, 9:11 
  12. doi:10.1186/1742-9994-9-11
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 生きたエサしか食べないカメレオンは、長い舌をのばしたり、目にもとまらぬ速さで動かして、虫を捕まえます。

 舌を素早く動かすメカニズムですが、長い舌をまきつけた舌骨を、筋肉で奥に引っ張っておき、獲物を見つけると、弓を射るように舌骨を放つのだそうです。

 今回、翼竜で見つかった舌骨器官(hyoid apparatus)が、カメレオンの舌骨器官に似ていることから、同じように長い舌を使って獲物を捕まえたのではないかとする論文が報告されています。

 翼竜の舌骨器官は、少数ですが、ダーウィノプテルス(Darwinopterus) やルドダクチルス(Ludodactylus) などで、今までも報告されています。

 今回は、遼寧省にある白亜紀前期の地層で発見されたプテロダクチロイデア、リャオキシプテルス(Liaoxipterus brachycephalus)の下アゴから、保存状態が良く、ほぼ完全な状態で見つかったもの。

 舌骨器官は、舌を支持し動かす器官で、その長い舌突起(processus lingualis)は、長い舌で獲物をとらえるカメレオンに似ており、リャオキシプテルスが似たような摂食行動をとったのではないかと考えられています。

 また、特殊な形態の歯から、魚食性というより昆虫食だったとされています。  


  翼竜の摂食行動は、さまざまなグループで異なっています。  

 歯の形態や化石として残された胃の内容物から、摂食習慣は、魚や昆虫、小さな水生生物をフィルタリングしたり、殻のあるカニやカタツムリ、果物を食べていたようです。  

 カメレオンのように、長い舌を使っていた翼竜がいたとしても不思議ではありませんね。ただし、舌そのものや筋肉などが見つかっていないので、カメレオンのように、素早く飛ばしたかどうかは不明です。

 


  1. References:
  2.  
  3. Lü Jun-chang (2015) The Hyoid Apparatus of Liaoxipterus Brachycephalus (Pterosauria) and Its Implications for Food-catching Behavior.
  4. Acta Geoscientica Sinica 36(3):362-366 全文(pdf)
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初期の翼竜も"直立"4足歩行

 翼竜は空を飛ぶだけの動物と思われがちですが、後期の大型化したプテロダクチロイデア(Pterodactyloidea)になると、異なってきます。
 
 ペリカン型か陸上歩行型か/アズダルコ類翼竜(2013年11月)で紹介しているように、四足歩行で、地上を歩きまわるライフスタイルだったのです。

 しかし、プテロダクチロイデア以外の翼竜が、地上を歩けたかどうかについては、いろいろと議論されています。

 1980年代は2足歩行で、最近では、4足歩行で復元されていますが、ヒジやヒザを曲げて前肢を前方に伸ばした、地面をはうような姿です。

 これは、足跡化石がないことや、初期の翼竜に共通している拡張した腿間膜(uropatagium、翼竜の皮膜パターン(2011年3月)参照)が、歩行や走行時の後ろ足の動きを制限していたのではないか、また、ある種では、大きな後ろ足があったのではないかと考えられてきたためです。

 今回、骨格や姿勢などを新規に評価した論文が報告されています。著者がブログで紹介しています。
 
 その結果、地上を歩くという特徴は、以前考えられていたように、プテロダクチロイデアに限られたものではなく、おそらく翼竜内で深く根付いていたとされています。

 図は、ディモルフォドン(Dimorphodon macronyx)の復元イメージ(Mark P. Witton, 2015)。スケールは100ミリです。比較的長くて、しっかりした四肢を持っています。

 従来と同じ4足歩行スタイルでも、ヒジやヒザをほとんど曲げていないことに注目ですね。

 このように、少なくともいくつかの初期の翼竜では、プテロダクチロイデアのように、四肢で直立に立ち、地上を歩けたと考えられています。

 ヒジやヒザを曲げた姿勢より効率的で、小型翼竜がこういう姿で歩いたり走り回ったりしていると、別の動物のようですね。



 
Dimorphodon macronyx.jpg


 従来の考えには問題が多いとされています。  

 現生の飛行膜を持つ動物でも足の動きの制限には問題ではなく、また、足跡化石が無いからといって、必ずしも機能か生体力学的に制約があったことには結びつかないとしています。  

 翼竜の新規評価で、全てのプテロダクチロイデア以外の翼竜が、前肢を前方に伸ばした姿勢だったわけではなく、その姿勢は、肩周囲の関節の腹側での動きが制限されていた場合に限られていたようです。  

 ディモルフォドンやウコンゴプテリダエ(wukongopteridae)のようないくつかの初期の翼竜は、動きが制限されていない肩関節を持ち、上腕骨の遠位はプテロダクチロイデアのそれに似ています。    

 それらの場合、完全に前肢で直立に立つことができたとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Mark P. Witton (2015) Were early pterosaurs inept terrestrial locomotors? 
  4. PeerJ 3:e1018
  5. doi: https://dx.doi.org/10.7717/peerj.1018
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 ほとんどの植物食哺乳類は、植物を処理するための、咬合した歯列と複雑な組織構造を持っています。

 しかし、植物食爬虫類で、植物を咀嚼するための咬合した歯列を進化させたのはまれでした。

 一方、恐竜においては、いくつかの系統がかむ能力を獲得し、爬虫類の中では目立っています。特に、角竜では、タフでかさばる植物を摂取するために、スライスできる歯列を進化させました。

 今回、トリケラトプスの歯列について報告されています。その歯の構造は以前考えられていたより複雑で、主に5つの骨質組織よりなることがわかったそうです。

 3Dモデルを作成し解析した結果、このユニークで複雑な咬合面の形態は、植物を切り裂き、噛むときの摩擦を低減するのに役立ったとされています。

 この5層の複雑な構造は、今まで最も複雑とされた4つの構造からなる有蹄類の歯冠構造を超えるとされています。

 それは、歯表面のエナメル質(E)、固いマントル象牙質(mantle dentine、HMD)、真正象牙質(orthodentine、O)、血管が入り込んだ血管象牙質(vasodentine、V)、そして歯根をカバーするセメント質(coronal cementum、CC)です。

 図は、ケラトプシアにおける歯の進化(Gregory M et al., 2015)。

 上の5つの構造と、NOは嵌合のない歯列、IOは初期の嵌合、DOは、嵌合、RCは基部のセメント質を示します。 5層がそろうのは、プロトケラトプシダエとケラトプシダエからとされています。

     

 また、爬虫類でのセメント質の発見も、別々に進化させたハドロサウリダエに続いて、2例めとされています。  

 ヒトのセメント質では、歯根膜が入り込んで歯と歯槽骨をつなぎとめ、また、噛んだ時のクッションの役割も果たしています。ただし、トリケラトプスで、クッションの役割を果たしていたかどうかは不明です。    

 ハドロサウルス同様、歯の形態における組織的な変化は、このクレードの生態的多様性に、重要な役割を果たしたとされています。


 Dental tissue evolution in Ceratopsia.jpg 


  1. References:
  2.  
  3. Gregory M. Erickson, Mark A. Sidebottom, David I. Kay, Kevin T. Turner, Nathan Ip, Mark A. Norell, W. Gregory Sawyer & Brandon A. Krick (2015) 
  4. Wear biomechanics in the slicing dentition of the giant horned dinosaur Triceratops. 
  5. Science Advances 1 (5): e1500055 
  6. DOI: 10.1126/sciadv.1500055
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恐竜の中温性に疑問

 恐竜は中間的な成長速度/内温性と外温性を併用か(2014年6月)で、恐竜は、内温性と外温性の中間的な代謝(mesothermy、中温性)だったとする論文を紹介しました。
 
 この論文の手法や結果などについて、疑問視するコメントが、Science 誌に2つ報告されています。また、再反論も示されています。
 
 議論になっている主な点は、恐竜の代謝速度(成長率)の推定に関するモデルや統計学的な処理です。

 中温性を示した著者らは自分たちの主張の正当性を示して再反論していますが、恐竜の成長率の研究に改善の余地がある点では、疑問のコメントに同意しています。

 
 最初のコメントでは、恐竜の代謝速度を過小評価しており、また、動物の系統関係などがあいまいと指摘しています。それらを考慮すると、非鳥類型恐竜は、現生哺乳類のように内温性としています。  

 次の論文では、成長率の統計処理などに問題があるとし、中温性に疑問を投げかけています。  

 最後に、中温性を示した著者らは、彼らの反論は、生物学的、統計学的に正当性がないと反論しています。  


 


  1. References:
  2.  
  3. M. D. D'Emic (2015) 
  4. Comment on "Evidence for mesothermy in dinosaurs".
  5. Science 348(6238): 982 
  6. DOI: 10.1126/science.1260061 
  7.  
  8. Nathan P. Myhrvold (2015) 
  9. Comment on "Evidence for mesothermy in dinosaurs".
  10. Science 348(6238): 982 
  11. DOI: 10.1126/science.1260410 
  12.   
  13. John M. Grady, Brian J. Enquist, Eva Dettweiler-Robinson, Natalie A. Wright & Felisa A. Smith (2015) 
  14. Response to Comments on "Evidence for mesothermy in dinosaurs". 
  15. Science 348(6238): 982 
  16. DOI: 10.1126/science.1260299
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 米国にある白亜紀後期の地層( Niobrara Formation)で発見されたモササウリナエ(Mosasaurinae)のクリダステス(Clidastes)の一種とされる小さな頭部化石が報告されています。

 100年以上前に発見され、歯がある鳥類の化石と間違えられていただけあって、モササウルスとしては最小で、当然、クリダステスとしても最小とされています。

 かなり幼い標本が外洋堆積物で見つかったことから、モササウルスは海岸で産卵したのではなく、広い遠洋域に棲んでいて、そこで生まれたのではないかとされています。エール大が紹介しています。

 なお、海生爬虫類の胎生の起源は陸上(2014年8月)で紹介しているように、魚竜やクビナガリュウなどのサウロプテリギア(Sauropterygia、鰭竜類) が陸上の爬虫類から分岐した三畳紀初期から、陸上の爬虫類の間では、胎生は一般的であった可能性が示されています。  

 また、モササウルスの胎生については、卵胎生の新たな証拠/コロンビアのモササウルス(2014年9月)で紹介しています。いわゆる"卵胎生"と真胎生の区別は難しいとの話もあります。


  1. References:
  2.  
  3. Daniel J. Field, Aaron LeBlanc, Adrienne Gau and Adam D. Behlke (2015) 
  4. Pelagic neonatal fossils support viviparity and precocial life history of Cretaceous mosasaurs. 
  5. Palaeontology (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1111/pala.12165
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 かつてゆっくり成長すると考えられていた大型恐竜ですが、骨組織の微細構造の解析から、大型哺乳類に匹敵するか、より速い速度で成熟することがわかってきています。
 
 絶滅恐竜において、成長速度(骨形成速度)を調べるには、成長停止線の数や血管密度といった骨組織の構造が評価基準として使われてきました。

 今回、成長速度を解析するため、骨産生細胞の細胞質表面密度を調べた論文が報告されています。

 その結果、他のどの四肢動物よりも竜盤類において、密な骨細胞表面密度が観察されたとしています。高密度は、三畳紀の基盤的な竜盤類で最初に見られるとしています。


 現生の四肢動物で、生まれた後の成長率が最も高いのは、唯一の鳥盤類の生き残り、現生鳥類です。  

 その鳥類で、例外的な細胞質表面積が発見されたことから、高い成長速度との関係が示唆されています。  

 細胞質表面密度と成長速度の関係を支持するのが、ニュージランドで進化した走鳥類ジャイアントモアの最も低い細胞表面密度で、この場合は、遅い成熟速度となるわけです。    

 なお、遅い成長速度は、哺乳類の捕食者から隔離されて進化したためとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. John M. Rensberger , Ricardo N. Martínez Bone Cells in Birds Show Exceptional Surface Area, a Characteristic Tracing Back to Saurischian Dinosaurs of the Late Triassic. 
  4. PLoS ONE 10(4): e0119083. 
  5. doi:10.1371/journal.pone.0119083
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テリジノサウリアの頭頚部

 頭部の小さなマニラプトラ、テリジノサウリアの頭頚部の筋肉やその機能についての論文が報告されています。オープンアクセスです。

 北米産のFalcarius utahensis (ファルカリウス・ウタヘンシス)と Nothronychus mckinleyi (ノスロニクス・マッキンレイ)について、ティラノサウルスやアロサウルス、現生鳥類をモデルとして解析したもの。

 その結果、ファルカリウスとノスロニクスは、両方ともフラットな後頭関節丘(occipital condyle)が特徴で、浅い関節面を有する椎体が続き、これは、ダチョウ(Struthio camelus) と非常に類似した首の機能だったことを示唆するとされています。

 首の動きは、頚椎個々の最小限の動きを合わせた結果であったとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. David K. Smith (2015) 
  4. Craniocervical Myology and Functional Morphology of the Small-Headed Therizinosaurian Theropods Falcarius utahensis and Nothronychus mckinleyi. 
  5. PLoS ONE 10(2): e0117281. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0117281
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カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

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