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 スピノサウルスは、細長い吻部を持つことから、魚食性だったのではないかと考えられています。  しかし、暴れまわる大きな魚を保持できるほど、その吻部の構造は、しっかりしていたのでしょうか。

 そのあたり、現生のクロコダイル類と比較して、生体力学的に考察した論文が報告されています。 全文がフリーです。

 結果として、ねじれに対する抵抗性は比較的低く、スピノサウルスが魚を採ることができたのは、細長い吻部のおかげというより、単にサイズが大きかっただけではないかとされています。


 コンピュータ断層撮影(CT)データに基づいて吻部を復元し、比較したもの。  

 その結果、サイズを考慮した場合、アフリカ産の吻部の細いクロコダイルやアリゲーターに比べて、特に、ねじれに対する抵抗性が低い結果とされています。  

 このことから、スピノサウルスが、魚のように大きくて動き回るエサを採ることができたのは、その細長い吻部構造のおかげというより、単にそのサイズが大きかっただけではないかと考察されています。


  1. References:
  2.  
  3. Andrew R. Cuff and Emily J. Rayfield (2013) 
  4. Feeding Mechanics in Spinosaurid Theropods and Extant Crocodilians. 
  5. PLoS ONE 8(5): e65295. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0065295



 モデル解析によって、絶滅動物の軟組織や機能を解析した報告は多いのですすが、そのモデルや使用するパラメータによって、様々な結果が得られます。

 今回、アロサウルスの頭部や首の筋骨格系の解析から、摂食時の頭部の動きについて推測されています。

 特に、骨密度と気管の直径が大きな影響を与えたとしています。オハイオ大プレスリリースに動画があります。

 結果として、アロサウルスがエサを採る時の頭部の動きは、頭部を横に振るティラノサウルス類型というより、上下に動かす鳥類型と推定されています。


 マルチボディダイナミクスモデル(multibody dynamics model)を使ったもの。当然のことながら、骨や軟組織、空間スペースなどの解剖学的パラメータが機能に影響を与えます。  

 特に、骨密度が頭部の慣性特性に大きな影響を与え、また、気管の直径が、首が背腹方向に動く慣性モーメントに強く影響するとされています。  

 結果として、アロサウルスがエサを採る時の頭部の動きは、クロコダイル類やティラノサウルス類に見られるような、左右に首を振る(lateroflexive shake-feeding)スタイルよりは、鳥類やラプトルのように頭部を後ろに引くスタイルがありうるとしています。

 

  1. References:
  2.  
  3. Eric Snively, John R. Cotton, Ryan Ridgely, and Lawrence M. Witmer (2013) 
  4. Multibody dynamics model of head and neck function in Allosaurus (Dinosauria, Theropoda). 
  5. Palaeontologia Electronica Vol. 16, Issue 2; 11A 29p 



 角竜の多様なツノや剣竜のプレートなど、恐竜には派手な特徴が多いですね。

 一体それらはなぜ進化したのか、いろいろな説が多いのですが、今回、その進化は、"種認識仮説"では説明できないとする論文が報告されています。

 種認識仮説(species recognition hypothesi)とは、非鳥類型恐竜で見られるツノやトサカなどの様々な誇張された特徴は、主に種のなかでお互いを認識するために機能したという仮説です。

 このような特徴は、現生種でもありそうですが、現生種の場合、性選択であって、種の認識としての証拠が見当たらないそうです。 
 
 この仮説には性的二型がなく性選択の可能性を無視し、また、サンプルサイズも限られるとしています。

 
 また、飾りたてられた構造は、同所的(近縁種が近くにいる)であることから支持されるというのも誤っているとしています。 飾りたてられた恐竜種は、時々、飾りのない近縁種がいないところにいるそうです。  

 結局、種の認識は、非鳥類型恐竜の誇張された構造が現れたことと、それを維持させた進化的なメカニズムではないと結論づけています。  


  1. References:
  2.  
  3. D. W. E. Hone & D. Naish (2013) 
  4. The 'species recognition hypothesis' does not explain the presence and evolution of exaggerated structures in non-avialan dinosaurs. 
  5. Journal of Zoology (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1111/jzo.12035



 一般的に、恐竜の成長速度は速かったと思われていますが、装盾類のステゴサウルスなどでは、比較的遅いとされています。

 この遅い成長速度が装盾類で共通だったのか、より基盤的なケントロサウルスを調べた結果が報告されています。

 その結果、ケントロサウルスの成長速度は速いことがわかり、ステゴサウルスなどの遅い速度は、二次的に獲得された特徴ではないかとされています。


 かなり派生的なステゴサウルス類のステゴサウルスや、基盤的装盾類(thyreophora)のスクテロサウルス(Scutellosaurus)では、骨組織学的な研究から、たいていの恐竜とは異なり、遅い成長速度と考えられています。  

 今回の論文では、より基盤的なケントロサウルスでも成長速度が遅いのか、タンザニアにあるテンダグル単層で発見されたケントロサウルス(Kentrosaurus aethiopicus)の大腿骨化石を、骨組織学的に調べています。  

 その結果、ケントロサウルス類では、速い骨の沈着が観察されたとしています。  

 よって、ステゴサウルスなどの遅い成長速度は、装盾類の系統的な特徴ではなくて、また、装盾類の相似形態でもないとされています。  
 かなり派生的なステゴサウルスで成長が遅いのは、二次的に派生したものか、代替的なものではないかとしています。



  1. References:
  2.  
  3. Ragna Redelstorff, Tom R. Hübner, Anusuya Chinsamy & P. Martin Sander (2013) 
  4. Bone Histology of the Stegosaur Kentrosaurus aethiopicus (Ornithischia: Thyreophora) from the Upper Jurassic of Tanzania. 
  5. The Anatomical Record (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1002/ar.22701



 ミクロラプトル(Microraptor gui )が魚を食べた直接的な証拠が見つかっています。

 たまたま魚を食べていたというより、鋸歯が少なくなった歯などの特徴から、魚食性へ適応していたと考えられています。

 しかし、以前も鳥を食べていたとする論文で議論になりましたが、胃の内容物から、その食性まで言及するには疑問もあるようです。
 
 また、鋸歯がないといった歯の特徴も、マニラプトル形類では一般的ではないかとされています。

 
 ミクロラプトル(Microraptor gui )の魚食性に関する論文で、論文タイトルの"Piscivory"は、本来、主に魚を食べる魚食動物という意味です。 
 論文は、ファーストオーサーの Lida Xing のサイトからダウンロードできます。

 なお、ミクロラプトルについては、M. gui より大型の種、M. hanqingi が2012年に報告されています。今回の標本も大型ですが、M. hanqingi とは異なるようです。  

 2011年に、鳥類をエサとしたミクロラプトル、樹上生活だった? で紹介しましたが、この論文では、胃のあたりから鳥類(エナンティオルニス類)が見つかり、樹上生活者だったのではないかとされていました。  

 今回、最大級の標本の腸のあたりに、硬骨魚類化石が保存されていたもの。    

 鋸歯が少なくなった歯列や、前方の歯が前に突出しているなどの特徴から、魚食性へ適応していたと考えられています。 そして、ミクロラプトルは、樹上や水生微細環境(microhabitat)で、日和見的になんでも食べていたと結論づけられています。

 しかし、前回同様、少数例の胃の内容物だけから、その食性やライフスタイルまで言及するには疑問もあるようです。 

 また、鋸歯がない歯は、マニラプトル形類で一般的で、鋸歯は、派生的なトロオドン類と真ドロマエオサウルス類(eudromaeosaurs)で再び進化したという意見もあります。 
 また、突出した歯も、ドロマエオサウルス類などの基盤的な chuniaoaens では一般的とされています。



  1. References:
  2.  
  3. Lida Xing, W. Scott Persons IV, Phil R. Bell, Xing Xu, Jianping Zhang, Tetsuto Miyashita, Fengping Wang & Philip J. Currie (2013) 
  4. Piscivory in the feathered dinosaur Microraptor. 
  5. Evolution (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1111/evo.12119



 主竜類の大腿骨には第四転子という突起があり、そこに、尾大腿筋という尾椎と大腿骨をつなぐ筋肉がつきます。この筋肉は、後脚の動きに関与し、動く原動力となっています。

 ティタノサウルス類も同様で、今回、系統別に尾大腿筋系の長さなどについて考察した論文が報告されています。 

 派生的になると、長尾大腿筋の長さが短くなったようです。復元するときには、尾の付け根あたりの筋肉の違いに注意が必要ですね。
 

 白亜紀を代表する竜脚類であるティタノサウルス類は、そのボディサイズなど、系統的にも形態的にも多様であり、骨格と軟組織の関係を評価するには、絶好のサンプルとされています。    

 今回、筋肉などの軟組織を復元し、解析したもので、特に、長尾大腿筋(M. caudofemoralis longus)は、尾椎と血道弓にかなり影響したとされています。  

 今回調べたティタノサウルス類の全てのタクサの尾大腿筋系は、以前に報告されている3つの主要な形態のいずれかに含まれるとされています。  

 基盤的ティタノサウルス類では、長尾大腿筋は尾の半分ほどに伸びているのに対し、サルタサウルス類(saltasaurinae)では、より短く、サルタサウルス類ではないリソストロティア類(lithostrotian)では中間型とされています。 

  さらに、第四転子の位置も異なり、これらを含めて、ティタノサウルス類の運動機能の違いになったと考えられています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Lucio M. Ibiricu, Matthew C. Lamanna & Kenneth J. Lacovara (2013) 
  4. The influence of caudofemoral musculature on the titanosaurian (Saurischia: Sauropoda) tail skeleton: morphological and phylogenetic implications. 
  5. Historical Biology (advance online publication) 
  6. DOI:10.1080/08912963.2013.787069



 骨の微細構造の分析から、デスモスチルスは海中生活者で、泳ぎが上手だったとする論文が報告されています。大阪市立自然史博物館の林さんらの研究で、同博物館が紹介しています。

 アフリカ大陸を起源とする束柱類(Desmostylian)は、再び海中に戻り、全てが、海での環境にうまく適応していったと考えられています。
  
 束柱類には、2つのタイプがいたそうで、なかでも、デスモスチルスは、海綿状の骨とすることで体を軽くし、上手に泳ぎまわったと考えられています。

 一方、パレオパラドキシアのように緻密で重い骨をもつタイプは、比較的浅い海で体を安定に保っていたとされています。


 CTスキャンなどにより、骨の微細構造を分析し、現生哺乳類と比較したもの。  

 その結果、全ての束柱類は、陸生や半水生の動物ではなく、海中生活に適応していたとされています。  

 また、似たような体つきの束柱類ですが、2つのタイプがいたことがわかったとされています。  

 ひとつは、ベヘモトプス(Behemotops)やパレオパラドキシア、アショロアのように緻密で重い骨をもつことで、比較的浅い海で体を安定に保つ安定型です。  

 もうひとつは、デスモスチルスのように海綿状の骨をもち、体を軽くすることで、現生のクジラなどのように上手に泳ぎまわる活発型です。 デスモスチルスは、骨を軽くし上手に泳ぐことで、より海に適応していったようです。


  1. References:
  2.  
  3. Hayashi S, Houssaye A, Nakajima Y, Chiba K, Ando T, et al. (2013)
  4. Bone Inner Structure Suggests Increasing Aquatic Adaptations in Desmostylia (Mammalia, Afrotheria). 
  5. PLoS ONE 8(4): e59146
  6. doi:10.1371/journal.pone.0059146



 派生したモササウリナエ(Mosasaurinae)の頭部の動性について解析した論文が報告されています。

 ここでは、カリフォルニアにある白亜期後期(マ?ストリヒチアン)の地層で発見された Plotosaurus bennisoni のホロタイプの頭部化石を用いています。

 その結果、著しい特徴として、派生したモササウリナエでは、方形骨の前後の可動性(streptostyly)が、制限されているか失われていたとされています。

 この消失は、モササウルス類では初めての報告とされています。頭部の動性が失われるという特徴は、魚食性の食餌の結果と考えられています。

 

  1. References:
  2.  
  3. Aaron R. H. LeBlanc, Michael W. Caldwell & Johan Lindgren (2013) 
  4. Aquatic adaptation, cranial kinesis, and the skull of the mosasaurine mosasaur Plotosaurus bennisoni. 
  5. Journal of Vertebrate Paleontology 33(2): 349-362 
  6. DOI:10.1080/02724634.2013.726675



 貴州省にある三畳紀後期の地層で発見された魚竜の幼体化石について、報告されています。 ほぼ完全な骨格化石が見つかったもので、Guanlingsaurus liangae の幼体とされています。

 この魚竜は短い吻部や歯がないこと、そして舌骨から、プランクトンなどをサクションフィーディング(suction-feeding、吸引方式の食餌)していたと考えられていました。

 しかし、今回の標本の完全な舌骨はかなり小さく、以前は過大に推定されていたようです。

 論文では、魚竜類(ichthyopterygian)のサクションフィーディングについては、さらなる調査が必要とされています 。


 サクションフィーディングは、現生のクジラ類でみられる食餌方法です。  

 例えば、ハクジラ類では肺を利用した吸引は不可能で、かわりに舌や舌骨が発達しており、口を開けると同時に舌を急速に引っ込め、口腔内の圧力を低下させることで、エサを海水ごと吸い込みます。  

 しかし、魚竜類には、サクションフィーディングで知られたクジラ類で発達している石化した舌骨体(ossified hyoid corpus )が無いそうです。    

 これは、 その舌骨がサクションフィーディングできるほど、十分しっかりしたものではなかったと考えられています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Cheng Ji, Da-Yong Jiang, Ryosuke Motani, Wei-Cheng Hao, Zuo-Yu Sun & Tao Cai (2013) 
  4. A new juvenile specimen of Guanlingsaurus (Ichthyosauria, Shastasauridae) from the Upper Triassic of southwestern China. 
  5. Journal of Vertebrate Paleontology 33 (2):-348 
  6. DOI:10.1080/02724634.2013.723082



恐竜も授乳したのか

 恐竜が、子育てのために、授乳(lactation)したのかどうか、その可能性について調べた論文が報告されています。

 授乳は哺乳動物がおこなう行為なんですが、鳥類の一部は、生まれたての雛に哺乳類のミルクに似た、上部消化器官からの分泌物を与えるそうです。

 例えば、ハトやフラミンゴは、それぞれオスもピジョンミルクやフラミンゴミルクという分泌物を出します。 ですから、授乳といっても、乳腺からではなくて、分泌物を与える分泌物給餌です。

 これらの分泌物は、そ嚢や食道内側、前胃といった上部消化器官にある様々な部分から分泌され、脂肪やタンパク質、抗体や成長因子など、雛の成長に欠かせない成分を含むそうです。

 そもそも、鳥類が雛の世話をすることは、恐竜に由来すると考えられています。 

 そこで、この研究では、現生鳥類や哺乳類のように、子供の成長を早めるために、恐竜が何らかの分泌物を与えたのか、その可能性について調べています。  

 その結果、営巣地で子育てする植物食恐竜の一部で、授乳が行われていたとする事例が提唱されているとしています。  

 その場合、孵化から普通のエサまでの間のギャップを埋めるために、分泌物を与えていた可能性があると考えられています。巣で子育てした環境では、親の保護というだけでなく、授乳で免疫力なども強化できたようです。

 


  1. References:
  2.  
  3. Paul L. Else (2013) Dinosaur lactation? 
  4. Journal of Experimental Biology 216: 347-351 
  5. doi: 10.1242/jeb.065383



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