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白亜期後期の恐竜の多様性

 マーストリヒチアン後期における恐竜の生物学的多様性を推定した論文が報告されています。

 種数面積関係を用いて推定したもので、当時は、鳥類以外に、623種から1078種の恐竜が生息していたとしています。

 最大で、既に発見されている種の10倍以上と多く、恐竜絶滅については、この数字に基づいて議論すべきとされています。

 また、白亜紀後期、多様な恐竜がいたわけで、それだけ多くの種が絶滅したのは、隕石衝突という突然の出来事だったのではないかとされています。

 
 2010年まで、マーストリヒチアン後期における非鳥類型恐竜種は、未命名種を含め、104種になるとされています。  

 しかし、タフォノミー(化石化の過程)の偏りや陸上化石が稀なこともあり、実際の生物学的多様性は不明確とされています。  

 論文では、種数はその生息面積とともに増加するという種数面積関係(species-area relationship)を用いて推定しています。  

 その結果、623種から1078種の非鳥類型恐竜が生息していたとしています。  

 白亜紀後期の古生物地理学は複雑なので、恐竜絶滅についての議論は、単一地域の見かけの多様性ではなくて、このグローバルな規模で推定された多様性に基づくべきとしています。  


 また、それぞれの恐竜が平均770万年間生息したとすると、白亜紀後期(マーストリヒチアン後期は280万年)に多数の恐竜がいたということは、白亜紀末に、それらのほとんどの系統が途絶えたということだしています。  

 つまり、今回示された恐竜の多様性は、その絶滅が隕石衝突という突然の出来事だったことを支持する結果とされています。


  1. References:
  2.  
  3. Jean Le Loeuff (2012) 
  4. Paleobiogeography and biodiversity of Late Maastrichtian dinosaurs: how many dinosaur species went extinct at the Cretaceous-Tertiary boundary? 
  5. Bulletin de la Société Géologique de France 183(6): 547-559 
  6. doi: 10.2113/gssgfbull.183.6.547



 巨大隕石の衝突後、恐竜は以前考えられていたよりも早く絶滅し、また、隕石衝突だけが絶滅の原因ではなかったとする論文が、Science に報告されています。

 ナショジオReuter などが紹介しています。 

 巨大隕石衝突後、およそ3万2000年の間の影響を、アルゴン同位体(40Ar/39Ar)の放射年代測定法により解析したもの。

 その結果、衝突が起きたのは6603万8000年前で、その後、3万3000年後までには、恐竜は絶滅していたとしています。これは、従来の30万年よりかなり早いことになります。

 また、隕石衝突時には、すでに生態系は、デカン高原での火山噴火によって衰退状態にあったと言います。

 

  1. References:
  2.  
  3. Paul R. Renne, Alan L. Deino, Frederik J. Hilgen, Klaudia F. Kuiper, Darren F. Mark, William S. Mitchell III, Leah E. Morgan, Roland Mundil, and Jan Smit (2013)
  4. Time Scales of Critical Events Around the Cretaceous-Paleogene Boundary. 
  5. Science 339(6120):. 684-687 
  6. DOI: 10.1126/science.1230492



 白亜期末の大量絶滅は、デカン高原の噴火が原因とする説が、アメリカ地球物理学連合(AGU Meeting)の年会で報告されています。

 iO9などが伝えているところでは、白亜期末の境界層に残されたプランクトン化石の変化という新たな証拠を示したものだそうです。 しかし、ニュースからだけでは、大量絶滅との関係が不明確ですね。

 そもそも、プランクトンとは、水の中で浮遊する水生生物の総称です。今回、プランクトンの化石を調べた結果では、その種が徐々に衰退しているそうです。

 一方、ほとんどの種が絶滅した後、 Guembilitriaという新しい種が生まれ、エジプトやスペイン、テキサスなどで発見されています。  Guembilitria は、海洋堆積物で見つかる化石の80-98%を占めるそうです。  

 大量絶滅の原因としては、噴火の後、気候は寒冷化し、酸性雨からのイオウ成分が、骨形成などに必須な成分のカルシウムと結合し奪ったためではないかと考えられています。



 ペルム紀末の大量絶滅は、2回のパルス(突然の大変動)が原因とする論文が報告されています。 

 2006年に提唱された大量絶滅に関する"プレス/パルス(press / pulse)" モデルでは、大量絶滅は、生態系に対する長期間の苦難(press)と、その期間終盤にかけての突然の大変動(pulse)という2つのタイプの要因が必要とされています。

 今回の報告では、ペルム紀末と三畳紀最初期の2つのパルスが提唱され、それぞれ、57%と71%の海洋生物の種が絶滅したとされています。


 およそ2億5230万年前のペルム紀末の大量絶滅は、海洋生物種の90%以上が絶滅した地球史上最大の危機でした。

 その原因は、シベリアントラップの噴火か巨大隕石衝突という単一イベントの結果と考えられています。

 この論文は、中国にある7箇所の地域から、ペルム紀末を含む45万年間のスパンの、17の海洋生物グループを代表する537種を調べたもの。 その結果、海洋生物の絶滅は、18万年間の回復期間のある2つのパルスからなるとしています。 

 絶滅の最初のステージは、ペルム紀末に起こり、全てのプランクトンや、藻類や四射サンゴ、フズリナ類を含む底生グループの一部の57%の種が絶滅したとされています。

  2番めのステージは、三畳紀最初期に起こり、残存種の71%が絶滅したとしています。これは、2億年続いた海洋生態系の構造を根本的に変えたとされています。  

 2つのパルスは、異なる絶滅選択性なので、それぞれ異なった環境要因と考えられています。

 
 


  1. References:
  2.  
  3. Haijun Song, Paul B. Wignall, Jinnan Tong & Hongfu Yin (2012) 
  4. Two pulses of extinction during the Permian-Triassic crisis. 
  5. Nature Geoscience (advance online publication) 
  6. doi:10.1038/ngeo1649



 植物連鎖の関係(植物網)から、北米大陸での白亜期末の巨大隕石衝突の影響について、解析した論文が報告されています。 

 隕石衝突前に、恐竜が衰退していたという証拠はなく、逆に多すぎる恐竜が、絶滅しやすい環境を作っていたのではないかとされています。Newswise が紹介しています。


 北米大陸における、陸生の10箇所のカンパニアン地域(衝突前の1300万年間)と、7箇所のマストリヒシアン地域(衝突の200万年間)について調べ、隕石の影響による混乱が、食物網を通じてどのように広がるかをコンピュータによりシミュレーションしたもの。 

 北米大陸の一部をカバーしていた浅い海が干上がったことが、一番大きな環境への影響だったとされています。

 白亜期末のマストリヒシアンのコミュニティは、カンパニオンに比較して、植物の生産性(一次生産性)が低いため、植物食恐竜が二次的に危機にさらされ、絶滅しやすい環境だったとされています。  

 注目すべきは、恐竜が豊富になったことが、マストリヒシアンの生態系に ネガティブインパクトを与えたとされています。  




  1. References:
  2.  
  3. ?Jonathan S. Mitchell, Peter D. Roopnarine, and Kenneth D. Angielczyk (2012) 
  4. Late Cretaceous restructuring of terrestrial communities facilitated the end-Cretaceous mass extinction in North America. 
  5. Proceedings of the National Academy of Sciences (advance online publication) 
  6. doi: 10.1073/pnas.1202196109



 恐竜絶滅の原因については、国際研究チームが、巨大隕石衝突とすることで一致したのですが、異論も出ています。

 南極半島セイモア島(Seymour Island)にある白亜紀-古第三紀(K-pg)境界層における、磁気層序学と放射性同位体による年代推定から、推察したもの。

 3回あった主なデカントラップの火山噴火と時を同じくする顕著な温暖化イベントが起きたことと、巨大隕石衝突前に同時に起きた局地的な絶滅が起きたことを見出したとしています。 

 少なくとも高緯度地帯では、大量絶滅は、多くの独立したイベントによる蓄積の結果ではないかと考えられています。 
 
  

  1. References:
  2.  
  3. Thomas S. Tobin, Peter D. Ward, Eric J. Steig, Eduardo B. Olivero, Isaac A. Hilburn, Ross N. Mitchell, Matthew R. Diamond, Timothy D. Raub & Joseph L. Kirschvink (2012) 
  4. Extinction patterns, delta18O trends, and magnetostratigraphy from a southern high-latitude Cretaceous - Paleogene section: Links with Deccan volcanism. 
  5. Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology (advance online publication) 
  6. doi:10.1016/j.palaeo.2012.06.029



 比較的大型の植物食恐竜は、恐竜絶滅前の約1200万年の間に多様性が減少していたとする論文が報告されています。毎日が紹介しています。  

 論文では、7つの恐竜のサブグループの形態学的な違い(解剖学的多様性)を計算したもの。  

 その結果は、地理的に、またクレードによって特有の違いがあったことが判明したとしています。白亜紀後期の恐竜の進化は複雑で、生物多様性の普遍的な傾向はなかったようです。  

 具体的には、大型植物食恐竜(角竜類やハドロサウルス類)と、いくつかの北米の分類群は、白亜紀末になりその多様性は減少したとしています。  

 一方、獣脚類や中型の植物食動物、およびアジアの一部の分類群では、多様性の減少はなかったとしています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Stephen L. Brusatte, Richard J. Butler, Albert Prieto-Márquez & Mark A. Norell 
  4. Dinosaur morphological diversity and the end-Cretaceous extinction 
  5. Nature Communications 3, Article number: 804 
  6. doi:10.1038/ncomms1815



 大型種に限定された恐竜の多様性の乏しさが、その絶滅につながったとする論文が報告されています。チューリッヒ大 が伝えています。

 獣脚類の一部は小型化し鳥類として生き延びたのですが、そういえば、小型の竜脚類や鳥脚類はいませんね。

 異なるサイズの恐竜や哺乳類について、サイズ特異的な種間競争定量化モデルを使って解析したもの。

 哺乳類は、多様な種で、さまざまなニッチ(生態学的適所)を占めています。胎生なので大型種のベビーは最初から大型で、しかも哺乳の必要から親元を離れることないため、他のサイズの哺乳類の生態系にあまり影響を与えません。

 一方、恐竜は小さい卵を産み、個体発生的にさまざまな成長段階を経ることで、サイズに違いによるニッチを、数少ない種が独占したのです。

 要因の一つは、恐竜が大きな卵を産めなかったこと。大きな卵だと、胚はより多くの酸素を必要とするため、卵殻を薄くする必要があります。しかし、強度の関係で卵のサイズには限界があるのです。 
 また、哺乳の必要もないことから、大きな恐竜の小さな子供は、他の中小型種の生態系に進出し脅かしたのです。 

 その結果、より中小型の恐竜には、もはやあいたニッチは無かったと考えられています。  

 この種の多様性の乏しさから、大量絶滅により大型種が被害を受けた時に影響したようです。 
 つまり、比較的影響を受けにくい中型以下の種が不十分だったため、大型種が衰えた後のニッチを再占有することなく、鳥類以外の恐竜が絶滅につながったとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Daryl Codron, Chris Carbone, Dennis W. H. Müller, and Marcus Clauss. 
  4. Ontogenetic niche shifts in dinosaurs influenced size, diversity and extinction in terrestrial vertebrates. 
  5. Biology Letters. April 18, 2012
  6. doi:10.1098/rsbl.2012.0240



 白亜紀末のデカン高原の火山活動が大量絶滅を引き起こした新しい証拠が見つかったとする論文が報告されています。

 論文要旨はまだ公開されていませんが、プリンストン大は、ワンツーパンチと解説しています。 

 約50万年にわたりプランクトンが死滅していた証拠がみつかり、チチュルブ小惑星衝突より多い大量の炭酸ガスや亜硫酸ガスが噴出したとされています。

 

 2010年3月に国際研究チームが、恐竜絶滅はユカタン半島への小惑星の衝突が原因と結論づけた論文がScience に報告されました。

 このあたり、恐竜絶滅論争に決着?で紹介しましたが、まだまだ議論は"絶滅"しそうにありません。 

 

  1. References:
  2.  
  3. G. KELLER, P.K. BHOWMICK, H. UPADHYAY, A. DAVE, A.N. REDDY, B.C. JAIPRAKASH and T. ADATTE (2011)
  4. Deccan Volcanism Linked to the Cretaceous-Tertiary Boundary Mass Extinction: New Evidence from ONGC Wells in the Krishna-Godavari Basin.
  5. Journal of the Geological Society of India 78(5): 399-428



白亜紀末には鳥類も絶滅

 白亜紀末、鳥類以外の恐竜は絶滅しましたが、古鳥類もほとんどが絶滅したとする報告があります。従来から考えられていたことですが、化石証拠はあいまいでした。 msnbcが紹介しています。 

 北米で発見されたにあるK-Pg境界(Maastrichtian晩期)の鳥類化石を調べたもの。17種が判明し、そのうち7種は、エナンチオルニス類などの絶滅種としています。

 ほとんどが、隕石衝突の30万年前まで生き延びていたそうですから、徐々ではなく、絶滅は突然だったのです。 

 現生鳥類の系統は、恐竜絶滅後の1500万年後に出現したとされています。 ただ、何が隕石衝突から生き延びた違いになったのかは謎のままです。

 

  1. References:
  2.  
  3. Nicholas R. Longrich, Tim Tokaryk, and Daniel J. Field, 2011
  4. Mass extinction of birds at the Cretaceous-Paleogene (K-Pg) boundary
  5. PNAS 2011 108 (37) 15253-15257; published ahead of print September 13, 2011
  6. doi:10.1073/pnas.1110395108



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