大量絶滅の最新ニュース

 比較的大型の植物食恐竜は、恐竜絶滅前の約1200万年の間に多様性が減少していたとする論文が報告されています。毎日が紹介しています。  

 論文では、7つの恐竜のサブグループの形態学的な違い(解剖学的多様性)を計算したもの。  

 その結果は、地理的に、またクレードによって特有の違いがあったことが判明したとしています。白亜紀後期の恐竜の進化は複雑で、生物多様性の普遍的な傾向はなかったようです。  

 具体的には、大型植物食恐竜(角竜類やハドロサウルス類)と、いくつかの北米の分類群は、白亜紀末になりその多様性は減少したとしています。  

 一方、獣脚類や中型の植物食動物、およびアジアの一部の分類群では、多様性の減少はなかったとしています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Stephen L. Brusatte, Richard J. Butler, Albert Prieto-Márquez & Mark A. Norell 
  4. Dinosaur morphological diversity and the end-Cretaceous extinction 
  5. Nature Communications 3, Article number: 804 
  6. doi:10.1038/ncomms1815



 大型種に限定された恐竜の多様性の乏しさが、その絶滅につながったとする論文が報告されています。チューリッヒ大 が伝えています。

 獣脚類の一部は小型化し鳥類として生き延びたのですが、そういえば、小型の竜脚類や鳥脚類はいませんね。

 異なるサイズの恐竜や哺乳類について、サイズ特異的な種間競争定量化モデルを使って解析したもの。

 哺乳類は、多様な種で、さまざまなニッチ(生態学的適所)を占めています。胎生なので大型種のベビーは最初から大型で、しかも哺乳の必要から親元を離れることないため、他のサイズの哺乳類の生態系にあまり影響を与えません。

 一方、恐竜は小さい卵を産み、個体発生的にさまざまな成長段階を経ることで、サイズに違いによるニッチを、数少ない種が独占したのです。

 要因の一つは、恐竜が大きな卵を産めなかったこと。大きな卵だと、胚はより多くの酸素を必要とするため、卵殻を薄くする必要があります。しかし、強度の関係で卵のサイズには限界があるのです。 
 また、哺乳の必要もないことから、大きな恐竜の小さな子供は、他の中小型種の生態系に進出し脅かしたのです。 

 その結果、より中小型の恐竜には、もはやあいたニッチは無かったと考えられています。  

 この種の多様性の乏しさから、大量絶滅により大型種が被害を受けた時に影響したようです。 
 つまり、比較的影響を受けにくい中型以下の種が不十分だったため、大型種が衰えた後のニッチを再占有することなく、鳥類以外の恐竜が絶滅につながったとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Daryl Codron, Chris Carbone, Dennis W. H. Müller, and Marcus Clauss. 
  4. Ontogenetic niche shifts in dinosaurs influenced size, diversity and extinction in terrestrial vertebrates. 
  5. Biology Letters. April 18, 2012
  6. doi:10.1098/rsbl.2012.0240



 白亜紀末のデカン高原の火山活動が大量絶滅を引き起こした新しい証拠が見つかったとする論文が報告されています。

 論文要旨はまだ公開されていませんが、プリンストン大は、ワンツーパンチと解説しています。 

 約50万年にわたりプランクトンが死滅していた証拠がみつかり、チチュルブ小惑星衝突より多い大量の炭酸ガスや亜硫酸ガスが噴出したとされています。

 

 2010年3月に国際研究チームが、恐竜絶滅はユカタン半島への小惑星の衝突が原因と結論づけた論文がScience に報告されました。

 このあたり、恐竜絶滅論争に決着?で紹介しましたが、まだまだ議論は"絶滅"しそうにありません。 

 

  1. References:
  2.  
  3. G. KELLER, P.K. BHOWMICK, H. UPADHYAY, A. DAVE, A.N. REDDY, B.C. JAIPRAKASH and T. ADATTE (2011)
  4. Deccan Volcanism Linked to the Cretaceous-Tertiary Boundary Mass Extinction: New Evidence from ONGC Wells in the Krishna-Godavari Basin.
  5. Journal of the Geological Society of India 78(5): 399-428



白亜紀末には鳥類も絶滅

 白亜紀末、鳥類以外の恐竜は絶滅しましたが、古鳥類もほとんどが絶滅したとする報告があります。従来から考えられていたことですが、化石証拠はあいまいでした。 msnbcが紹介しています。 

 北米で発見されたにあるK-Pg境界(Maastrichtian晩期)の鳥類化石を調べたもの。17種が判明し、そのうち7種は、エナンチオルニス類などの絶滅種としています。

 ほとんどが、隕石衝突の30万年前まで生き延びていたそうですから、徐々ではなく、絶滅は突然だったのです。 

 現生鳥類の系統は、恐竜絶滅後の1500万年後に出現したとされています。 ただ、何が隕石衝突から生き延びた違いになったのかは謎のままです。

 

  1. References:
  2.  
  3. Nicholas R. Longrich, Tim Tokaryk, and Daniel J. Field, 2011
  4. Mass extinction of birds at the Cretaceous-Paleogene (K-Pg) boundary
  5. PNAS 2011 108 (37) 15253-15257; published ahead of print September 13, 2011
  6. doi:10.1073/pnas.1110395108



 鳥類以外の恐竜を絶滅させた巨大隕石は、従来考えられていたバプティスティーナ(Baptistina)ではないとわかったそうです。NASA が紹介しています。

 バプティスティーナは、火星と木星の間にある小惑星帯の小惑星です。

 2007年には、約1億6000万年前に起きたバプティスティーナと他の小惑星の衝突で生じた破片である小惑星群のひとつが、白亜紀末に地球に衝突したと、Nature に報告されました。

 今回、NASAの広域赤外線探査衛星(WISE、Wide-field Infrared Survey Explorer)の観測によると、巨大隕石の衝突は、約8000万年前とわかったそうです。

 小惑星帯を飛び出すにはエネルギーが必要ですが、それにはかなりの時間が必要で、1500万年ほどで地球に衝突したと考えるのは短すぎるようです。

 いずれにしても、小惑星帯からの小惑星に違いはなさそうですが。




 北東アジアの恐竜は、6500万年前の巨大隕石衝突により絶滅したわけではないと、Xinhuaが伝えています。

 中国では最も北にある黒龍江州にあるK-Pg境界(K/T境界)では、その直前で恐竜化石が見つかっているのですが、隕石衝突の証拠とされる高濃度のイリジウムが含まれていないそうです。

 絶滅の理由としては、火山活動などを示唆しています。

 8カ国30人の科学者による共同研究で、黒龍江州の嘉蔭県(かえいけん、Jiayin)で開催された地質学と古生物学のセミナーで発表されたそうですが、詳細は不明です。




恐竜絶滅論争に決着?

 およそ6550万年前の恐竜絶滅は、ユカタン半島への小惑星の衝突が原因だったとする論文が報告されています。

 国際チームが報告したもので、恐竜絶滅論争に決着がつくものと考えられています。Irishtimes 朝日などが伝えています。

 

  1. The Chicxulub Asteroid Impact and Mass Extinction at the Cretaceous-Paleogene Boundary
  2. Peter Schulte et al.
  3. Science, 327(5970), p.1214-1218, 2010

 

 松井孝典さんら、20年以上にわたりこの問題に取り組んでいる12カ国41人の研究者が報告したもの。

  その結果、直径15km程度の小惑星の衝突が、その後の長期間の気候変動などを引き起こし、恐竜絶滅の引き金となったと結論付けています。

 恐竜絶滅については、デカン半島の火山活動の活発化も原因とされていますが、絶滅の50万年前に生態系にわずかな変化を起こしただけ、とされています。




カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

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