鳥類の起源と進化の最新ニュース

 白亜紀末、鳥類でも、絶滅したグループと生き残ったグループがいるのはなぜか。

 白亜紀の小型のマニラプトラの歯の形状の多様性(異質性)の変化について調べた論文が報告されています。

 白亜紀のラスト、1800万年間での4つのグループ(トロオドンチダエ(科)、ドロマエオサウリダエ(科)、リカルドエステシア(Richardoestesia)、鳥類類似種)の3100を超える歯について、形態を調べたもの。

 その結果、どのグループにおいても、白亜紀末の絶滅まで、歯の多様性や摂餌生態には、有意な変化が見られないとされています。

 つまり、これらのグループでは、生態系が安定して持続している間に、突然、絶滅イベントが起きたとしています。  

 そして、歯があるマニラプトラの突然の絶滅と、新鳥類(Neornithes)の生存を説明するために、餌が生存を選別するフィルターになったとしています。  

 歯があるマニラプトラは肉食系で植物食に適応できないことから、歯がない系統の、クチバシによる種子食(granivory) が、いくつかのクラウングループ鳥類の生存に重要な要因のひとつというのです。    

 鳥類の選択的絶滅を種子食と関係づけるには、まだ十分な証拠がないような気もしますが。

 


  1. References:
  2.  
  3. Derek W. Larson, Caleb M. Brown & David C. Evans (2016) 
  4. Dental Disparity and Ecological Stability in Bird-like Dinosaurs prior to the End-Cretaceous Mass Extinction. 
  5. Current Biology (advance online publication) 
  6. DOI: http: // dx.doi.org/10.1016/j.cub.2016.03.039
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 中生代の鳥類化石は豊富に発見されていますが、その飛行能力については、骨格や羽毛の特徴からの解析がメインでした。

 今回、白亜紀初期の鳥類、エナンティオルニスの軟組織の解析について、ルイス・キアッペらが報告しています。

 スペインにある白亜紀前期(約1億2500万年前)の地層で発見された前肢化石の表皮や真皮といった軟組織を解析し、筋肉や腱、靭帯といった、現生鳥類に似た飛行機能に関与するネットワークを確認したもの。

 今回のネットワークは、最古であり、また、系統的にも最初の例とされています。

 単に、骨格や羽毛を進化させただけでは、高度な飛行ができないわけですね。羽毛恐竜でも、こういうネットワークが見つかると、その羽毛はディスプレイではなく飛行のため、というのがはっきりしそうですが。

 また、Protopteryx fengningensisのように、白亜紀初期のエナンティオルニスは、一部に原始的な特徴を残しながらも、その前肢は、十分に飛行に適したように進化していたとされています。

 それらのネットワークや翼の形状などを含め、急襲やダイビング、ピッチやロールといった現生鳥類のような高度な飛行ができたと考えられていますす。


 


  1. References:
  2.  
  3. Guillermo Navalón, Jesús Marugán-Lobón, Luis M. Chiappe, José Luis Sanz & Ángela D. Buscalioni (2015) 
  4. Soft-tissue and dermal arrangement in the wing of an Early Cretaceous bird: Implications for the evolution of avian flight. 
  5. Scientific Reports 5, Article number: 14864 (2015) 
  6. doi:10.1038/srep14864
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リムサウルスの指は進化奇形

 何回か話題になりましたが、鳥類の指は、形態(古生物学)的には恐竜と同じく第1、2、3指で、胚発生からは、第2、3、4指とされています。  

 これは、鳥類が獣脚類の一部から進化したという説の反論のひとつでしたが、最近では、フレームシフト仮説で説明されています。

 一方、恐竜と鳥の指の問題を解くケラトサウリア(2009年6月)で紹介していますが、中国で発見されたリムサウルス( Limusaurus inextricabilis )は、鳥類と同じく第2、3、4指を持つとされています。

 鳥類と一致するわけですが、逆に、この系統では、フレームシフトが起こらなかったのでしょうか。

 今回、このリムサウルスの指について、進化論の新しいコンセプト、進化奇形(evolutionary teratology)で説明した論文が報告されています。


 リムサウルスと鳥類の指の進化は別系統(2009年10月)では、第1指の消失はケラトサウリアのみにおこり、リムサウルスと、鳥類の指の進化は別系統とする報告がありました。  

 今回の進化奇形理論によると、進化の系統で見られる特徴には、発生異常(developmental anomaly)も見られ、リムサウルスの指の特徴は進化奇形とされています。  

 つまり、リムサウルスは、鳥類の指の考察には使うすべきではないとされています。 

 進化奇形により、フレームシフトはケラトサウリアの系統では起こらず、一方、ケラトサウリアとは別系統で、鳥類へとつながるテタヌラエの指では、フレームシフトにより第1、2、3指になったというのです。




  1. References:
  2.  
  3. Geoffrey Guinard (2015) 
  4. Limusaurus inextricabilis (Theropoda: Ceratosauria) gives a hand to evolutionary teratology: a complementary view on avian manual digits identities. 
  5. Zoological Journal of the Linnean Society (advance online publication) 
  6.  DOI: 10.1111/zoj.12329
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 フェデューシア (Alan Feduccia)といえば、鳥類が一部の獣脚類から進化したという説に異論を唱える鳥類学者です。

 今回、オヴィラプトロサウリアのカウディプテリクスに注目し、二次的に飛べなくなったとする新しい仮説(neoflightless)を提唱しています。

 いくつかの標本で、空力学的な飛膜前駆体( propatagium)が見つかったことがその理由のようです。  

 オヴィラプトロサウリアは、マニラプトラの系統で、アヴィアラエ(Avialae)より原始的な位置づけ。始祖鳥は飛べなくなった鳥なのか(2013年11月)でも紹介しているように、"二次的"というには、この位置より祖先の恐竜が飛行できたという証拠が必要ですね。

    
 カウディプテリクスは、現生鳥類のように、前肢に羽軸がある初列風切羽を持っており、地上走行性の獣脚類から進化したというのが、大半の古生物学者の支持する見方です。  

 一方、フェデューシアらの新しい仮説では、カウディプテリクス(よって、オヴィラプトロサウルスも)は、飛行のできた鳥類か獣脚類から進化し、二次的に飛べなくなったとしています。  

 そして、カウディプテリクスが白亜紀に存在し放散したことが、他の多くの大型の飛べない鳥が不足していた要因になったとしています。



  1. References:
  2.  
  3. Alan Feduccia & Stephen A. Czerkas (2015) 
  4. Testing the neoflightless hypothesis: propatagium reveals flying ancestry of oviraptorosaurs. 
  5. Journal of Ornithology (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1007/s10336-015-1190-9
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 ここ20年ほどで、非鳥類型恐竜における羽毛の初期進化については、解明が進んできました。現在のところ、初期の羽毛は、哺乳類の毛のようなシンプルな構造と考えられています。

 単純な構造と、多数の恐竜に存在していたことから、初期の羽毛は、飛行のためというより、体温維持のための断熱材として機能したと考えられています。

 しかし、今回、羽毛の起源として、その断熱材説に反論する論文が報告されています。

 断熱材として役立つのは、哺乳類の毛のように十分密度が高い場合だけであり、まばらだと意味が無いというのです。

 代わりに、新たに、剛毛(bristles)起源説が提唱されています。 

 ただ、単なる毛となると、祖先の系統の翼竜にもあったわけで、やはり、分岐していくところからが羽毛ではないかと思えます。そのあたりをどう解釈するかが課題ですね。



 剛毛は、現生鳥類で一般的な顔に生えた羽毛で、哺乳類の触覚型のひげのように機能したというのです。  

 これだと、低い密度でも役に立ち、羽毛の初期進化の最初の段階としては、ありえた話と考えられています。




  1. References:
  2.  
  3. W. Scott Persons IV and Philip J. Currie (2015) 
  4. Bristles before down: A new perspective on the functional origin of feathers. 
  5. Evolution (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1111/evo.12634
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 鳥類の羽毛のうち、飛行に関与する正羽(contour feather)は、中央の羽軸(rachis)と、その両側に広がる羽弁(vane)からできています。

 さらに、羽弁は、羽軸から分岐する羽枝(barb)と、さらに分岐した羽小枝(barbule)がからみ合ってできています。そして、羽枝の形状(長さや角度)は、羽の空力性能に重要な、羽弁の非対称性や剛性に関与しています。

 今回、始祖鳥などから現生鳥類までの、非対称羽毛による飛行の進化の歴史をとおして、羽枝の形状と空力機能の関係について考察した論文が報告されています。Phenomena が紹介しています。

 その結果、以前の仮定に反して、羽毛(羽弁幅)の非対称性を決めるのは、羽枝の角度ではなくて羽枝の長さだとされています。

 また、始祖鳥やミクロラプトルなどの羽枝の形状は現生鳥類ややエナンチオルニス類とは異なり、羽枝の角度は小さいとされています。

 このことから、現生鳥類にみられる力強い飛行能力が進化したのは、非対称羽毛の起源よりずいぶん後で、以前考えられていたよりもかなり遅いと考えられています。
 

 


  1. References:
  2.  
  3. Teresa J. Feo , Daniel J. Field & Richard O. Prum (2015) 
  4. Barb geometry of asymmetrical feathers reveals a transitional morphology in the evolution of avian flight. 
  5. Proceedings of the Royal Society B (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1098/rspb.2014.2864
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 先週Scienceに、鳥類のゲノム(全遺伝子情報)解読に関する8つの論文が報告されました。鳥類45種と3種のワニ類のゲノムを解読したというもの。
 
 歯を失ったのは、約1億1600万年前など、進化の一部が解明されているですが、恐竜については、たいした知見が得られていませんね。

 徐星らの、指や呼吸器の進化や羽毛形態の初期進化、4翼飛行などについて解説も、過去の論文をまとめたレビューにすぎません。 

  その中で、系統関係が示されています。もちろん、現生鳥類以外の恐竜の系統関係は、ゲノムからではなく、化石の形態からの推定です。

 最近、鳥類と非鳥類型獣脚類の境がややこしくなってきているので、このあたり、ちょっと、おさらいをしておきましょう。

 図に示すように、鳥類へとつながるクレードは、パラベス(Paraves)、デイノニコサウリア(Deinonychosauria)、アヴィアラエ(Avialae)の順です(Xing Xu et al., 2014、改変)。





paraves.jpg

 パラベスの系統で示されているのは、エピデキシプテリクス(Epidexipteryx hui)ですね。始祖鳥より古い時代の羽毛恐竜/道虎溝 生物相(2012年2月)で紹介していますが、中国にある道虎溝生物相で発見されています。  

 デイノニコサウリアには、ミクロラプトルやアルゼンチンで発見されたウネンラギア(Unenlagia)、マダガスカルで見つかっているラホナビス(Rahonavis)などが含まれています。  

 ラホナビスは、鳥類とされることもあったのですが、非鳥類型獣脚類の位置づけです。  アヴィアラエから鳥類とすると、始祖鳥やサペオルニス(Sapeornis)、ジェホルニス(Jeholornis)、エナンティオルニス(Enantiornis)などが含まれています。  

 ラホナビスは白亜紀末に絶滅したのですが、この系統が生き延びていたら、鳥類(Avialae)は単系統でなくなり、鳥類のクレードは消滅したことでしょうね。


 


  1. References:
  2.  
  3. Xing Xu, Zhonghe Zhou, Robert Dudley, Susan Mackem, Cheng-Ming Chuong, Gregory M. Erickson, and David J. Varricchio (2014) 
  4. An integrative approach to understanding bird origins. 
  5. Science 346 (6215): 1253293 
  6. DOI: 10.1126/science.1253293
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 恐竜誕生とともに、鳥類の特徴は進化を開始(2014年10月)で紹介しているように、羽毛の進化は、化石証拠からは、鳥類が登場する以前から進化していたとされています。

 一方、分子科学的な研究も進められています。今までの分子科学的研究は、直接、羽毛形成に関するタンパク質コード遺伝子(protein-coding genes)にスポットを当ててきました。

 今回、羽毛を発現させる遺伝子そのものではなくて、それらを制御するスイッチ(高度に保存されていながら転写されていないゲノム配列、Conserved nonexonic elements, CNEEs)を探索した論文が報告されています。

 その結果、13000あまりのスイッチを見出しています。そして、スイッチの86%は、恐竜が登場するかなり前の、クロコダイルと分岐するあたりの主竜類から存在していたと推定されています。

 NatioGeoでは、およそ3億5000万年前、脊椎動物が上陸したあたりで、すでに多くのスイッチを持っていたと紹介しています。




  1. References:
  2.  
  3. Craig B. Lowe, Julia A. Clarke, Allan J. Baker, David Haussler, and Scott V. Edwards (2014) 
  4. Feather development genes and associated regulatory innovation predate the origin of Dinosauria.
  5. Molecular Biology and Evolution (advance online publication) 
  6. doi:10.1093/molbev/msu309
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 小型化は、鳥類誕生の5000万年前から/鳥類へ続くステム系統(2014年8月)でも紹介しましたが、鳥類は、その全ての特徴を、始祖鳥あたりで突然出現させたわけではないとする論文が2報ありました。

 今回、それを、さらに支持する論文が報告されています。ただ、要約からは、一体何をどう調べて、こういう結論に至ったのか、詳細は不明です。ナショジオが紹介しています。

 恐竜が鳥類特有の特徴を進化させ始めたのは、約2億3000万年前とされ、これは恐竜が誕生した直後です。

 そして、約8000万年にわたって段階的に進化し、基本的な構造がまとまると、始祖鳥の出現後に、鳥類が急激に多様性を見せ始めたと考えられています。




  1. References:
  2.  
  3. Stephen L. Brusattee, Graeme T. Lloyd, Steve C. Wang & Mark A. Norell (2014) 
  4. Gradual Assembly of Avian Body Plan Culminated in Rapid Rates of Evolution across the Dinosaur-Bird Transition. 
  5. Current Biology (advance online publication) 
  6. DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.cub.2014.08.034
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 「鳥類は恐竜から進化した」なんて簡単に語られたりしますが、鳥類は、その全ての特徴を、始祖鳥あたりで突然出現させたわけではありません。

 また羽毛だけで、空を飛べるわけでもなく、非対称の羽毛に加えて、優れた心肺・運動機能や脳機能、体を軽くする含気性構造などが必要です。

 そして、その特徴の一つ一つは、かなり前から恐竜たちが進化させ、いろいろと試行錯誤していたのです。

 今回、新たな4翼羽毛恐竜が発見され、その機能について考察されています。

 どちらかと言うと、滑空に適した形態ですが、4翼は主流とはなりません。この系統での飛行実験だったのでしょうか。

 遼寧省にある白亜紀前期(約1億2500万年前)の熱河動物相からで、 Changyuraptor yangi (チャンギュラプトル・ヤンギ)と命名されています。

 ドロマエオサウリダエのミクロラプトリナエ(microraptorinae、亜科)の系統とされ、推定全長は約1.3メートルです。

 これは、ミクロラプトリナエでは最大で、ミクロラプトルの新種(2012年5月)で紹介していますが、今までの最大種は、1メートルほどでした。飛行は、比較的大きな恐竜でも可能だったと考えられています。



 尾羽の長さが約30 cmで、骨格全体の約30%もあります。これは、非鳥類型恐竜としては最長とされています。  さらに、後肢下部には、獣脚類としては最大長の大羽を備えています。  

 尾羽は、縦に長い低アスペクト比の構造で、着陸するときに、尾羽根はピッチ制御構造体として作用し、スピードを減速させるなど、重要な区割りを果たしたと推察されています。  

 始祖鳥の大羽、飛翔は外適応/"羽毛ズボン"をはいた第11標本(2014年7月)では、始祖鳥の後肢にある大羽は、最初はディスプレイ用途で、飛行は外適応とされています。


 

  1. References:
  2.  
  3. Gang Han, Luis M. Chiappe, Shu-An Ji, Michael Habib, Alan H. Turner, Anusuya Chinsamy, Xueling Liu & Lizhuo Han (2014) 
  4. A new raptorial dinosaur with exceptionally long feathering provides insights into dromaeosaurid flight performance. 
  5. Nature Communications 5, Article number: 4382 
  6. doi:10.1038/ncomms5382
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 鳥類は一部の獣脚類から進化したという説が主流ですが、異論を唱える研究者もいます。

 今回、ツェルカス(Stephen A. Czerkas)とフェデューシアが、スカンソリオプテリクス(Scansoriopteryx) を再び持ちだした論文を報告しています。

 ただ、数多くの標本を考慮せず、一部の化石だけで話を展開していく恣意的な感じの報告で、まともに相手にされていないようです。

 "テトラプテリクス(tetrapteryx)"という、1915年に論文発表された4枚羽根の想像の動物も出てきますが、発表から100年近く、まだ、想像の動物のままですね。


 スカンソリオプテリクスは、2002年に遼寧省で発見され、ツェルカス自らが記載しています。現在では、アヴィアラエ(Avialae)の位置づけです。  

 始祖鳥より古い時代とする話もありますが、化石商が見つけたため、地層(年代)が不明で、エピデンドロサウルス(Epidendrosaurus)のシノニムとする説もあります。  


 論文は、スカンソリオプテリクスを、3Dデジタル顕微鏡などで再解析したもの。    

 スカンソリオプテリクスがコエルロサウリアとする解釈に対し、基本的な恐竜の特徴がなく、恐竜の祖先に由来せず、獣脚類恐竜と考えるべきではないとしています。  

 このあたり、どういうデータで、とういう科学的根拠に基づいているのか、要約だけから詳細は不明です。  

 前肢と後肢にある原始的な羽毛の印象は、"テトラプテリクス"の原始的な形態で、パラシュートやグライダーのような滑空が可能だったとしています。  

 つまり、鳥類は比鳥類型恐竜から進化したわけではなく、初期の滑空型主竜類から進化したとし、したがって、飛行の起源は樹上からの滑空が起源としています。


  1. References:
  2.  
  3. Stephen A. Czerkas & Alan Feduccia (2014) 
  4. Jurassic archosaur is a non-dinosaurian bird. 
  5. Journal of Ornithology (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1007/s10336-014-1098-9 
  7.  
  8. C. William Beebe 
  9. A tetrapteryx stage in the ancestry of birds. 
  10.  Zoologica, 2:39-52 (1915).
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鳥類の生殖機能の進化

 ワニには2つの卵巣があり、長い卵胞形成は長く、1回の産卵数は多く、卵は小さめです。そして、羽毛恐竜も、卵巣は2つでした。

 一方、鳥類は、ほぼすべてが単一の卵巣と卵管を持ち、卵胞形成は迅速です。鳥類のこの特徴、一部の獣脚類から進化したことは確かですが、化石記録の制約から、そのタイミングは明確ではありません。

 今回、鳥類の生殖機能の進化について、レビューされています。オープンアクセスです。


 最近、熱河生物相から、基盤的鳥類の Jeholornis やエナンティオニトリル類の報告があり、現生鳥類の生殖システムの進化の解明に役立つとされています。

 ただ、レビュー記事なので、特に目新しい知見はないようです。



  1. References:
  2.  
  3. Jingmai K. O'Connor, Xiaoting Zheng, Xiaoli Wang, Yan Wang, and Zhonghe Zhou (2014) 
  4. Ovarian follicles shed new light on dinosaur reproduction during the transition towards birds. 
  5. National Science Review 1 (1): 15-17 
  6. doi: 10.1093/nsr/nwt012
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 鳥類の登場は、脊椎動物の進化史上における大きなイベントの一つです。 今回、それらの鳥類の特徴は、鳥類が登場する前から速い速度で進化していたとする論文が報告されています。

 空をとぶために、前肢(翼)を大きくするよりも、体を小さくする方をより進化させ、鳥類の祖先は、いろいろな飛行モードを試していたのです。


 最近の研究では、鳥類のボディサイズと前肢の長さとの間にユニークな関係が示されていることから、論文は、コエルロサウルス類と中生代の鳥類の系統で、ボディサイズと前肢の長さの進化を調べたもの。  

 その結果、パラエイブスにおいては、ボディサイズと前肢の進化速度の関係から、前肢の長さに比較して小さなボディへと進化したとしています。  

 高い進化速度は、主にボディサイズの減少から生じ、前肢の進化においては、速度の増加はみられなかったようです。  

 ジュラ紀後期から白亜紀初期にかけて、鳥類(Aves)とデイノニコサウリア (Deinonychosauria)を含むパラエイブス(Paraves)のさまざまな系統が、いろいろな飛行モードを試していたとされています。  
 


  1. References:
  2.  
  3. Mark N. Puttick, Gavin H. Thomas and Michael J. Benton (2014) 
  4. High rates of evolution preceded the origin of birds. 
  5. Evolution (advance online article) 
  6. DOI: 10.1111/evo.12363
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現生鳥類の起源は白亜紀中頃

 現生鳥類(Aves の系統のクラウングループ)の起源を推定した論文が報告されています。

 系統関係のトポロジーや枝の長さ、ノードの年代を同時に推定する"総合証拠"分岐年代決定法("total-evidence" divergence dating method )という手法を用い、O'Connor & Zhou (2012). の中生代の鳥類のデータセットに適応しています。

 その結果として、現生鳥類の白亜紀中頃(9480万年-1億1590万年前)の起源を強く支持し、最も最近の分子的な推定と一致するとされています。

 
 もっとも、白亜紀中頃となるのは、分析に古第三紀のペンギン類、Waimanu Lithornis のような新鳥類(neornithine)が含まれる場合で、現生鳥類と Vegavis だけからの場合は、鳥類の起源は、古第三紀になねるとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Lee MSY, Cau A, Naish D, Dyke GJ 2014 
  4. Morphological clocks in palaeontology, and a mid-Cretaceous origin of crown Aves. 
  5. Syst Biol 
  6. doi: 10.1093/sysbio/syt110
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 鳥類の前肢には、指が3本しかありません。これは、鳥類の肢の特徴の1つであり、恐竜から引き継がれたものと考えられています。

 しかし、前肢に3本の指が形成されるメカニズムについてはまだ十分には解明されていません。 

 今回、東北大の田村教授らは、ニワトリ前肢における発生過程の研究から、3本指が形成されるメカニズムについて考察した論文を報告しています。

 鳥類の指は、恐竜と同じ第1、2、3指(2011年2月)で紹介しましたが、器官形成学の観点から、鳥と恐竜の指の研究をされています。

 
 結論として、前肢芽の前側でみられる発生過程の変化が、指形成領域の縮小と前肢の指の数の減少につながると考えられています。

 発生学の用語で難しい表現もあるのですが、指の位置関係を含めて、今後の研究に期待したいですね。



  1. References:
  2.  
  3. Naoki Nomura, Hitoshi Yokoyama & Koji Tamura (2014) 
  4. Altered developmental events in the anterior region of the chick forelimb give rise to avian-specific digit loss. 
  5. Developmental Dynamics (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1002/dvdy.24117
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始祖鳥の叉骨と飛行の進化

 始祖鳥と叉骨と飛行の起源。始祖鳥へのこだわりは、一昔前の議論のような気もしますが、今日はそんな論文です。

 始祖鳥が短い叉骨を持つことから、胸筋は小さくて短い筋繊維で、力強くは羽ばたけず、滑空していたとされています。

 で、鳥類の飛行の起源は、木からの滑空であり、地上走行ではないとの結論。

 シャオティンギアと鳥類の起源(2011年7月)や始祖鳥より基盤的な鳥類(avialae)/遼寧省(2013年5月)などで紹介しているように、始祖鳥の最古の鳥類としての位置は揺らいでいます。

 また、始祖鳥は飛べなくなった鳥なのか(2013年11月)でも紹介したように、二次的に飛べなくなった可能性もあります。

 なので、今どき、始祖鳥だけから、鳥類の飛行の起源を語るのは、どうかなとは思いますね。

 
 論文では、羽状の胸筋の頭部部分は、小さくて短い筋繊維で、力強い羽ばたくために十分大きかった根拠はなく、この小さい筋肉は、空中で翼を水平に保っていたとしています。  

 こういった胸のシステムから、力強く羽ばたいて飛行するというより、滑空に特化したことを示唆するとしています。 

 


  1. References:
  2.  
  3. Walter J. Bock (2013) 
  4. The furcula and the evolution of avian flight. 
  5. Paleontological Journal 47(11): 1236-1244 
  6. DOI: 10.1134/S0031030113110038
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 始祖鳥は飛べたのか、飛べなかったのか。飛ぶ鳥への系統の先祖なのか、それとも、二次的に飛べなくなった鳥なのか。

 以前から、色々と議論のあるところですが、Nature News が、SVP年会の生物学者の発表を紹介しています。

 始祖鳥は、かなり前から保存状態の良い見つかっていることもあって、特にヨーロツパでは重要視されているようです。  

 しかし、早くから見つかっているといって、鳥への進化の歴史の中で、始祖鳥が、特に重要な位置にいるわけではありませんね。


 発表は、四肢の比率といった骨格や羽毛の特徴が、現生の飛べない鳥に非常に類似し、二次的に飛べなくなったのではないかとの内容です。  

 トーマス・ホルツ博士は、最初の鳥類様の恐竜の誕生から1000万年は経過しているので、、二次的に飛べなくなった鳥かもしれないと話しています。  

 しかし、最初の鳥類様の恐竜が飛行できた証拠はないので、"二次的"とはいえないとの意見もあります。
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最古の鳥類化石に疑問の声

 先日ニュースになった中国産の最古の鳥類とされる Aurornis xui (アウロルニス・シュイ)の化石ですが、その年代について疑問視する論文が報告されています。

 購入された化石で、年代はジュラ紀後期ではなくて、白亜紀前期ではないかというのです。

 もっとも、系統解析に時間の概念はないので、発掘された地層の年代が違っても、その位置づけは変わりません。 

 しかし、化石自体の信憑性が疑われるような話ですね。



  1. References:
  2.  
  3. Michael Balter (2013) 
  4. Authenticity of China's Fabulous Fossils Gets New Scrutiny. 
  5. Science 340 (6137): 1153-1154 
  6. DOI: 10.1126/science.340.6137.1153
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 始祖鳥と羽毛恐竜の翼の羽毛配列は現生鳥類と異なり、羽軸の弱い羽根が多層に重なることで強い翼を作っていたとする論文が報告されています。

 ただ、層状に重なるということは、1枚の板に近くなるわけで、飛行能力も限られていたとされています。 単層からなる現生鳥類では、上昇時には羽根間を広げるといった巧みな技ができるのですが、始祖鳥では無理だったようです。

 エール大は、最初は保温のために進化した羽毛は、やがてデイスプレイとして機能し、始祖鳥と羽毛恐竜程度の羽根では、飛行というより、滑空したのではないかと伝えています。 
 

 現生鳥類(Neornithes)の翼は、短い覆羽で覆われた非対称の翼羽の単層からなっています。従来から、始祖鳥と白亜紀の羽毛恐竜も、同じような羽毛配列を持つと考えられていました。  

 論文では、始祖鳥(Archaeopteryx lithographica)と、小型の羽毛恐竜、アンキオルニス(Anchiornis huxleyi)について再評価しています。  

 始祖鳥の場合、長い背部と腹部の覆羽で包まれており、アンキオルニスも同様の配列ですが、短くて細い対称な風切羽を持つことから、より原始的とされています。  

 それゆえ、両種は、翼の進化における初期の実験段階のようだとされています。そして、この原始的な配列は、機能的に重要な意味を持つとされています。  

 つまり、両種は、細い羽軸のゆえ羽根自体は弱いのですが、層状に重なることで、強い翼を作っていたと考えられています。  

 さらに、この重なりで、羽根の先端が溝状になるのを防いだり、上昇時の抵抗(効力)を減らすため羽根がばらばらになったりするのを防いでいたようです。  

 それだけに、初期の鳥類は、翼機能が劣り、飛行能力も限られていたとされています。


  1. References:
  2.  
  3. Nicholas R. Longrich, Jakob Vinther, Qingjin Meng, Quangguo Li & Anthony P. Russell (2012) 
  4. Primitive Wing Feather Arrangement in Archaeopteryx lithographica and Anchiornis huxleyi. 
  5. Current Biology (advance online publication) 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.1016/j.cub.2012.09.052
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鳥類が多様化した経緯

 現生鳥類は約1万種いるそうですが、これらすべての鳥類が多様化した進化的な経緯について、空間的(地理的)、時間的に解析した論文が報告されています。

 その結果、過去5000万年の間に多様化スピードが加速したとされています。鳥類が現れたのはジュラ紀ですが、やはり、翼竜や小型恐竜の絶滅が影響しているのでしょうか。
 
 また、地理的には、赤道付近の多様性がより高く、アフリカや東南アジア、オーストラリアでは多様化速度が特に低いとされています。

 


  1. References:
  2.  
  3. W. Jetz, G. H. Thomas, J. B. Joy, K. Hartmann, A. O. Mooers, 2012 
  4. The global diversity of birds in space and time 
  5. Nature 491, 444-448 (15 November 2012) 
  6. doi:10.1038/nature11631
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