卵とベビーの最新ニュース

 オヴィラプトリダエ(オヴィラプトル科)は、成長に伴い、複雑な骨格変化を示すのですが、保存状態の良い若い個体が見つかっていないこともあり、個体発生的な変化の解明は十分ではありません。
 
 今回、オヴィラプトリダエの胚骨格を含む恐竜の卵化石について報告されています。

 今回の解析から、個体発生的な変化がわかり、たとえば、幼少期、頭蓋骨は深くなっていったとされています。

 また、幼体の手足の比率から、成体と同じように2足歩行であったとされています。

 江西省にある白亜紀後期の地層(Nanxiong Formation)で発見された3つの卵化石です。

 細長い楕円形卵化石の特徴から、卵化石の系統としては、エロンガツーリチダエ(Elongatoolithidae)とされていますが、一方、胚は不確定なオヴィラプトリダエのものとされています。

 今回の解析から、オヴィラプトリダエでは、個体発生の間に、20の骨学的特徴の変化を示すことが明らかになっています。例えば、ティラノサウリダエのように、頭蓋骨は深く、つまり、背腹方向の高さが、前後長よりも大きくなります。

 オヴィラプトリダエとテリジノサウロイデア(上科)は、マニラプトラの進化においては、幅広く同じ段階を占めていたとされていますが、脊椎と叉骨下結節の、胚での骨化パターンは、2つのクレードで大きく異なっています。  

 孵化後、テリジノサウロイデアとは、成長曲線や移動モードが大きく異なり、本質的に異なる生態的地位を占めていたとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Shuo Wang, Shukang Zhang, Corwin Sullivan & Xing Xu (2016) 
  4. Elongatoolithid eggs containing oviraptorid (Theropoda, Oviraptorosauria) embryos from the Upper Cretaceous of Southern China. 
  5. BMC Evolutionary Biology (December 2016) 16:67 
  6. DOI: 10.1186/s12862-016-0633-0
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 アルゼンチンにある白亜紀の新竜脚類の営巣地で発見された卵殻構造について報告されています。

 マイクロCTスキャンを用い、初めて、卵殻を3次元的に解析しています。

 卵を暖めるために地熱を用いたようで、過酷な熱水環境に適応するために、卵殻の厚さは7mm もあるそうです。

 卵殻には、気孔という孔が開いていて、ガス交換を行っていますが、今回の解析により、孵化の間の卵殻の透過性は、以前、卵殻の侵食構造から推定された値に比較して、7倍に上昇しています。

 図は、卵殻の気孔管(pore canal) システム(E. Martín Hechenleitner et al., 2016)。

 気孔管は高密度で、そ一定の広がりと分岐、横方向の管のつながりが、複雑な気孔管システムを形成しています。

 この高密度で横方向のネットワークにより、比較的高湿度と泥状の営巣環境で孵化する中、気孔管が閉塞するリスクが軽減されるとしています。

 また、右の図で、矢印で示されているように、さまざまな深さの分岐位置で、気孔管の収縮が見られます。



Pore canal system.jpg 




  1. References:
  2.  
  3. E. Martín Hechenleitner, Gerald Grellet-Tinner, Matthew Foley, Lucas E. Fiorelli & Michael B. Thompson (2016) 
  4. Micro-CT scan reveals an unexpected high-volume and interconnected pore network in a Cretaceous Sanagasta dinosaur eggshell. 
  5. Journal of the Royal Society Interface 13: 20160008. 
  6. DOI: 10.1098/rsif.2016.0008

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 白亜紀のティタノサウリアの営巣地は、ヨーロッパとアジア、南米からしか知られていません。 

 今回、アルゼンチンにある白亜紀後期の地層(Los Llanos Formation)で見つかった営巣地が報告されています。 半乾燥古環境で、卵を埋める営巣(burrow-nesting)方式だったようです。

 卵殻の厚みや卵のサイズが異るタイプが見つかっていることから、少なくとも2種類の異なるティタノサウリアが、異なる営巣戦略で巣を作ったとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. E. Martín Hechenleitner, Lucas E. Fiorelli, Gerald Grellet-Tinner, Léa Leuzinger, Giorgio Basilici, Jeremías R. A. Taborda, Sergio R. de la Vega and Carlos A. Bustamante (2016) 
  4. A new Upper Cretaceous titanosaur nesting site from La Rioja (NW Argentina), with implications for titanosaur nesting strategies. 
  5. Palaeontology (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1111/pala.12234
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 中国北部、甘粛省にある白亜紀前期の地層からは多数の恐竜化石を産出します。しかし、卵化石は報告されていませんでした。

 今回、白亜紀前期の地層(Hekou Group)で発見された、卵殻構造が既存の卵化石と異なる新しいタイプの卵殻化石が報告されています。

 外側表面近くにコンパクトな層がない、分岐構造をした卵殻や、不規則な気孔管(pore canal) などが特徴です。

 その構造から、属名が、"多数の小さな分岐のある卵化石"を意味する、Polyclonoolithus yangjiagouensis と命名されています。


 この卵化石の系統として、Polyclonoolithidae が提唱され、卵タクソンの中でもかなり基盤的とされています。  

 また、 dendroolithidae や dictyoolithidae 、 faveoloolithidae の卵と同じ卵殻形成メカニズムを持っているとされています。  

 さらに、spheroolithidae とも関連があり、この卵殻の微細構造の起源を示すとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Xie Jun-Fang, Zhang Shu-Kang, Jin Xing-Sheng, Li Da-Qing & Zhou Ling-Qi (2016) 
  4. A new type of dinosaur eggs from Early Cretaceous of Gansu Province, China 
  5. Vertebrata PalAsiatica, 54(1): 1−10 PDF
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 現生のクロコダイルなどの巣は、土や草などで卵がおおわれていますが、鳥類は、オープンタイプです。

 今回、カルガリー大学の田中康平さんらが、卵殻の気孔率から、恐竜の巣のタイプを推定した論文を報告しています。

 その結果、おおわれたタイプの巣は、恐竜としては原始的とされています。

 一方、オープンタイプは、ジュラ紀後期の獣脚類、ロウリンハノサウルスより派生した非鳥類型恐竜で最初に進化し、鳥類で見られる前に、非鳥類型恐竜のマニラプトルで広まったとされています。

 なぜ、ロウリンハノサウルスで区切るのかというと、卵化石の主がはっきりしているのは、そう多くはなく、ロウリンハノサウルスはその一種なのです。

 また、オヴィラプトロサウリアやトロオドンチダエなど、基盤的なオープンタイプの巣を作る恐竜は、抱卵した最初の恐竜とされていますが、部分的に卵を土の中に埋めていました。

 卵を完全に露出させるオープンタイプは、真鳥類の間で広まったとされています。

 オープンタイプの巣とすることで、巣をおおう土など周囲の環境にとらわれることなく、巣を作ることが可能になるわけですが、これが、マニラプトラ、そして、現生鳥類の進化の成功要因の一つになったと考えられています。


 現生の主竜類の巣のタイプは、次の2つに大別されます。  

 一つは、クロコダイルや、オーストラリアなどに棲む鳥類のツカツクリに見られる、卵が完全におおわれたタイプです。  

 もう一つは、現生鳥類に見られる、卵が露出したオープンタイプです。  

 以前は、恐竜の巣のタイプは、卵の水蒸気透過性(拡散能力)を推定することによって推測されていました。水蒸気透過性が高いとおおわれた巣で、低いとオープンというわけです。    

 しかし、統計的厳密さなどから、その妥当性に疑問があるとされています。  

 今回の論文は、卵殻の気孔率から、恐竜の巣のタイプを推定したもの。  120以上の現生主竜類と、卵のタクソンを含む29の絶滅種について、卵殻気孔率と質量の関係を統計的に調べています。  

 その結果、ティタノサウリアやロウリンハノサウルスの卵殻の気孔率は高く、おおわれた巣のタイプで、オヴィラプトロサウリアやトロオドンチダエは低く、オープンイプだったのです。

 マニラプトラでは、オープンタイプの巣と抱卵の共進化は、覆われたタイプの巣につきものであった恐竜を地上という制限から自由にし、新たに巣を作る場所を開拓できたとされています。  

 こういった 営巣スタイルの変化は、鳥類を含むマニラプトラが進化的に成功した上で重要な役割を果たしたと考えられています。



  1. References:
  2.  
  3. Kohei Tanaka, Darla K. Zelenitsky & François Therrien (2015) 
  4. Eggshell Porosity Provides Insight on Evolution of Nesting in Dinosaurs. 
  5. PLoS ONE 10(11): e0142829 
  6. doi: 10.1371/journal.pone.0142829
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 インド中央部にある白亜紀後期の地層(Lameta Formation)といえば、多くの卵化石を産出します。

 今回、新たに発見された竜脚類の営巣地について報告されています。

 サルバーデイ( Salbardi)にある河川堆積物からなる地層で、その東にあるナーグプル(Nagpur)やジャバルプル(Jabalpur)といった既に見つかっている場所とは、離れた営巣地です。

 卵化石については、その形状やサイズ、卵殻の微細構造から、Megaloolithus 属とされています。




  1. References:
  2.  
  3. Ashok K. Srivastava & Rupesh S. Mankar (2015) 
  4. Megaloolithus dinosaur nest from the Lameta Formation of Salbardi area, districts Amravati, Maharashtra and Betul, Madhya Pradesh. 
  5. Journal of the Geological Society of India 85(4): 457-462 
  6. DOI: 10.1007/s12594-015-0237-0
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 恐竜化石が発見されている最も高緯度な場所は、北緯82-85度。そこでは、冬に太陽が昇らない期間が120日にもなるそうです。

 北極圏にも恐竜がいたことは知られていますが、当時はどのような環境だったのか、定量的な話は多くありません。

 北緯82度以北では恐竜の卵化石は見つかっておらず、渡りをしなかったとすれば、産卵や子育てはどうしていたのか、また、小動物なら穴を掘って越冬できそうですが、より大きな恐竜には越冬のための避難所は問題です。

 今回、白亜紀後期の北極圏の環境と、北緯76度で見つかっている卵化石から、北極圏での恐竜の産卵や子育てについて考察した論文が報告されています。


 木の年輪や葉の化石から、当時の気温や日照時間、植物が茂っていた期間などを推定したもの。  当時の北極圏の年間平均気温は、6-7℃で、暖かい季節の平均は、14.5 ± 3.1 ℃、冬の平均は -2 ± 3.9 ℃とされています。  

 夏の気温は頻繁に+ 10℃を下回り、冬の気温は短期間ですが、-10℃と低かったとされています。  

 春に植物が芽吹くのは、2月終わりから3月初めで、10月初めには落葉し、恐竜たちが新鮮な植物をエサとできる期間は、半年だったようです。  

 渡りをせずに、年間をとおして棲むには、卵を産み子育てする環境が必要ですが、北緯82度以北では恐竜の卵化石は発見されていません。  

 6度南(ということは、北緯76度)にあるロシア北東部の白亜紀後期(マーストリヒチアン初期)の地層(Kakanaut Formation)から、見つかっています。  

 ここでは、冬の暗闇は45日とより短く、気温は高めで(年平均 10℃、夏の平均は 19℃で、冬平均は + 3℃)、10℃以上の気温となる生育期は6.3ヶ月で新鮮な食べ物が利用可能とされています。  

 冬が来る前のすばやいインキュベーションと孵化といった戦略が示唆されています。



  1. References:
  2.  
  3. Alexei B. Herman, Robert A. Spicer & Teresa E.V. Spicer (2015) 
  4. Environmental Constraints on Terrestrial Vertebrate Behaviour and Reproduction in the High Arctic of the Late Cretaceous. 
  5. Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology (advance online publication) 
  6. doi:10.1016/j.palaeo.2015.09.041
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 15体の幼体/プロトケラトプスの巣(2011年11月)で紹介しているように、プロトケラトプスなどの巣の痕跡や非常に小さな幼体化石は見つかっています。

  しかし、今まで、プロトケラトプスをはじめ、プシッタコサウルスやバガケラトプスといったネネオケラトプシアのものとされる卵化石は見つかっていないそうです。

 今回、微細構造からネオケラトプシアのものとされていた卵化石について再調査した論文が報告されています。  モンゴルにある白亜紀後期の地層で発見された胚の残る卵化石です。

 高分解能X線CTでによる再解析で、後肢より十分長い前肢が見つかり、その他の特徴から、ネオケラトプシアではなくて、鳥類のエナンティオルニスの卵化石ではないかとされています。

 結局、ネオケラトプシアの卵化石は、見つかっていないということになります。



  1. References:
  2.  
  3. David J. Varricchio , Amy M. Balanoff & Mark A. Norell (2015) 
  4. Reidentification of Avian Embryonic Remains from the Cretaceous of Mongolia. 
  5. PLoS ONE 10(6): e0128458 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0128458
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 "タンバリュウ"などで有名な丹波市にある白亜紀前期(アルビアン、約1億1000万年前)の篠山層群で、多数の卵殻化石が発見され、そのうち1種が卵化石との新種として記載されています。

 最古の、鳥類の特徴を持つ卵殻化石/福井(2014年7月)で、鳥類の特徴を持つ新種の卵殻化石が記載されていますが、鳥類以外の恐竜の卵化石の新種記載は初めてです。

 ひとはくで紹介されています。クリーニング完了後、追加の論文を投稿予定だそうです。日本の新種恐竜にも追加しています。これで、8種目となりましたね。

 丸ごとの卵化石や巣が見つかったわけではありませんが、付近には営巣地があったのか、新種を含め5種類も見つかるとは、多様な恐竜たちが産卵していたのですね。

 新種は、恐竜の卵化石としては世界最小クラスとされ、新属新種の、Nipponoolithus ramosus (ニッポノウーリサス・ラモーサス)と命名されています。

 卵殻は、その表面の模様や断面構造などの特徴から、その種類や系統関係が調べられています。

 今回の学名の意味が、ギリシャ語で「枝分かれした日本の卵の石」を意味するように、その表面の模様に大きな特徴があったようです。

 獣脚類とされていますが、今後、世界各地で、似たような卵化石と、関連した胚や骨格化石が見つかれば、この卵を産んだ主がより明確になっていくことでしょう。


 新種以外の残りは、日本初となる獣脚類(Elongatoolithus 属、 Prismatoolithus 属、Prismatoolithidae の科レベル、属腫不明)と、鳥脚類(Spheroolithus 属、ハドロサウロイデア)とされています。

 Elongatoolithus については、獣脚類の胚化石/江西省(2014年9月)では、オヴィラプトロサウルスの卵ではないかとされています。  

 全ての卵殻は比較的薄く、獣脚類については、世界最小クラスの卵範囲 (28-135 g) に含まれるとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Kohei Tanaka, Darla K. Zelenitsky, Haruo Saegusa, Tadahiro Ikeda, Christopher L. DeBuhr, François Therrien, 2015 
  4. Dinosaur eggshell assemblage from Japan reveals unknown diversity of small theropods 
  5. Cretaceous Research, Available online 29 June 2015 
  6. doi:10.1016/j.cretres.2015.06.002
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獣脚類の営巣跡/モンタナ

 モンタナにある白亜紀後期の地層(Two Medicine Formation)で発見された獣脚類の営巣跡が報告されています。 

 卵化石については、Continuoolithus canadensis ではないかとされ、体積は194立方センチ 質量は 205g とされています。

 すべての卵殻の平均水蒸気透過率は、同様な質量の鳥類の卵殻の値の3.9倍を超え、孵化の間は、植物などで埋められていたと考えられています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Frankie D. Jackson, Rebecca J. Schaff, David J. Varricchio, and James G. Schmitt (2015) 
  4. A theropod nesting trace with eggs from the Upper Cretaceous (Campanian) Two Medicine Formation of Montana. 
  5. PALAIOS 30(5): 362-372
  6. doi: http://dx.doi.org/10.2110/palo.2014.052
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 オープンな巣を作る鳥類は、環境や場所に合わせて、卵殻に色素で色をつけて、卵を外敵からカモフラージュします。

 現生鳥類の卵殻に含まれる基本的な色素は、テトラピロール顔料である赤色系のプロトポルフィリンと緑色系のビリベルジンの2種類です。

 いずれも赤血球のヘモグロビンの代謝物で、これらを組み合わせて発色させています。

 卵殻色素は、広い範囲の鳥類種の巣のタイプと関連していることから、卵殻の色は鳥類の系統で基盤的で、その起源は、非鳥類型恐竜にさかのぼるのではないかと考えられています。

 つまり、卵殻の色素を探索することで、恐竜の営巣行動を探ることができるというわけです。

 今回、6600万年前のオヴィラプトロサウリダエの卵(Macroolithus yaotunensis)の殻に含まれる色素を、液体クロマトグラフと質量スペクトルを使って調べた論文が報告されています。

 これらの卵は、おそらく、Heyuannia huangi (ヘユアンニア・フアンギ)のものとされていす。

 その結果、現生鳥類と同じく、プロトポルフィリンとビリベルジンが検出されています。白亜紀末の化石でも、有機化合物が保存されるのですね。

 図は、主竜類の巣のタイプと卵の色や形状の関係(Jasmina Wiemann et al., 2015)。ヘユアンニアは最も基盤的な位置での卵殻色素の発見で、卵に色がついています。


Heyuannia_egg.jpg
 卵殻の気孔率などから、少なくとも部分的にオープンな巣に産卵され、青緑がかった色でカムフラージュされていたと考えられています。  

 青緑色から、エミューのように、オスが世話に深く関与したのではないかとされています。 オスが卵を温めヒナの世話をするエミューの卵の色は確かに濃緑色ですが、卵の色だけで、行動を決めるのは問題がありそうですね。  

 なお、恐竜の子育て:卵を抱くオスがいた?(科博)で、トロオドン類の例が紹介されています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Jasmina Wiemann, Tzu-Ruei Yang, Philipp N. N Sander, Marion Schneider, Marianne Engeser, Stephanie Kath-Schorr, Christa E Müller & P. Martin Sander (2015) The blue-green eggs of dinosaurs: 
  4. How fossil metabolites provide insights into the evolution of bird reproduction. 
  5. PeerJ PrePrints 3:e1323 
  6. doi: https://dx.doi.org/10.7287/peerj.preprints.1080v1
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 組織学の教科書では、脊椎動物の骨格はほぼ完全に骨と軟骨で作られていると書かれているそうですが、これは誤りで、実際は、骨と軟骨の中間的な組織が存在します。

 最もよく知られているのが軟骨様骨(Chondroid bone)で、哺乳類や鳥類、ワニに存在することが報告され、頭蓋骨の急速な成長と頭蓋顔面縫合などの発達に関与しています。

 今回、非鳥類型恐竜で初めて、ハドロサウリダエの胚とヒナから、軟骨様骨の存在を確認したとする論文が報告されています。
 胚の上角骨の骨梁内で散らばって見つかるなど、5箇所から大量に見つかっており、頭部の急速な成長に重要な役割を果たしていたと考えられています。

 また、ヒパクロサウルスの前頭骨の縫合境界でも見つかっており、これは哺乳類や鳥類で報告されているように、縫合成長に関与していたことを示唆しているとされています。

 軟骨様骨は、哺乳類や鳥類、ワニに存在することが報告されていることと、今回の発見で、これらの共通祖先から継承したのではないかとされています。

 


  1. References:
  2.  
  3. Alida M. Bailleul, Catherine Nyssen-Behets, Benoît Lengelé, Brian K. Hall & John R. Horner (2015) 
  4. Chondroid bone in dinosaur embryos and nestlings (Ornithischia: Hadrosauridae): Insights into the growth of the skull and the evolution of skeletal tissues. 
  5. Comptes Rendus Palevol (advance online publication) 
  6. doi:10.1016/j.crpv.2014.12.004
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 ヨーロッパで見つかる恐竜の卵化石の属である Cairanoolithus(カイラノオリトゥス)属について、レビューされています。

 この属の卵化石については、さまざまな恐竜の営巣地/スペイン(2012年6月)で紹介していますが、フランス以外にスペインでも見つかっています。

 今回、卵化石の系統として新たにCairanoolithidaeが提唱され、カイラノオリトゥスが含まれるとされています。  また、カイラノオリトゥスは鳥脚類の卵化石のタクソンの姉妹群とされ、最も基盤的な鳥脚類の卵タイプと考えられています。

 胚や骨化石は残されていないのですが、微細構造の特徴などに基づいて、カイラノオリトゥス属の卵化石は、ノドサウリダエのものではないかとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Albert G. Sellés & Àngel Galobart (2015) 
  4. Reassessing the endemic European Upper Cretaceous dinosaur egg Cairanoolithus
  5. Historical Biology (advance online publication) 
  6. DOI:10.1080/08912963.2014.998666
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 小型のオビラプトロサウルスが、巣で卵を温めている復元イラストはよく見かけます。

 しかし、体重が4トンもあるような大型種は、どうだったのでしょうか。最大の卵は直径40センチにもなるようで、上にのると潰れそうです。

 また、オビラプトロサウルスの卵殻の水蒸気透過率は高く、現生のクロコダイルのように、土や植物などで覆って孵化させたという説もあります。 

 今回、オビラプトロサウルスの卵殻と体のサイズ、巣の形態や孵化姿勢などについて解析した発表があります。

 先にドイツで開催されたSVP年会での、カルガリー大の田中康平さんらの報告です。Sciencemag が紹介しています。

 その結果、大型小型問わずいずれも、現生鳥類のようにオープンな巣で、大型種でも自ら温めていたようです。大型種は、卵を潰さないように、巣の真ん中に体を置くスペースを作っていたと考えられています。

 
 中国江西省と河南省にある白亜紀の地層で発見されたオビラプトロサウルスの大型種と小型 種の卵化石について、卵殻の気孔率や強度を調べ、現生種と比較し、巣や孵化形態を考察したもの。  

 大型種は、Macroelongatoolithus(卵質量2960-6590 g) で、小型 種は、ElongatoolithusMacroolithus(200-840 g)で、それぞれの成体の体重は、60 kgと 4000 kgと推定されています。  

 今回の結果から、以前の解析より卵殻は多孔質ではなく、ボディサイズにかかわらず、オープンな巣で孵化させたとされています。  いずれも、卵は円形状に産卵され、卵の長軸は巣の中心に向かい放射状に広がった形です。  

 小型種は、円形状に産んだ卵の真ん中に座って温めていたと考えられています。中央のスペースはわずかで、パック状にかたまった卵が体重の一部を支えていたようです。  

 一方、大型卵の卵殻は、大型種の体重には十分に耐えられなかったとされています。  大型種は、大きな円形状の巣の中央に大きな開口部をあけ、そこに、自分の体重のほとんどを載せていたようです。




  1. References:
  2.  
  3. NEST TYPE AND INCUBATION BEHAVIOR IN OVIRAPTOROSAURS IN RELATION TO BODY SIZE. 
  4. TANAKA, Kohei; ZELENITSKY, Darla; LÜ, Junchang; YI, Laiping; PU, Hanyong; CHANG; XU, Li; LI, Hua. 
  5. SVP ABSTRACTS 2014
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獣脚類の胚化石/江西省

 恐竜の卵化石は各地で発見されていますが、胚を伴っているのは、およそ20例ほどだそうです。

 今回、中国江西省にある白亜紀後期の地層(Nanxiong Formation)で発見された獣脚類の胚化石が報告されています。

 平均長17センチ、平均幅6.2センチの楕円形の11個の卵化石が見つかっており、これは、30-35個からなる全体の3分の1ほどと考えられています。

 CTスキャンで、卵化石の内部には、大たい骨と脛骨らしき骨が確認されています。

 ただ、保存状態のためか、はっきりとした全身骨格が残されているわけではありません。

 その特徴から、Elongatoolithus sp.(Elongatoolithus 属の一種)とされ、オヴィラプトロサウルスの卵ではないかとされています。



  1. References:
  2.  
  3. SHAO Zhan-fu, FAN Shao-hui, JIA Song-hai, TANAKA Kohei & Lü Jun-chang (2014) 
  4. Intact theropod dinosaur eggs with embryonic remains from the Late Cretaceous of southern China. 
  5. Geological Bulletin of China 33(07):941-948.
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 スペインにある白亜紀前期の地層(Tremp Formation)で発見された卵殻化石について報告されています。

 ミクロ構造の特徴(球晶卵殻ユニット、厚さ、装飾、細孔系)は、卵化石の、Megaloolithus 属と一致するとされています。

 特に、南米で見つかっている Megaloolithus patagonicus と多くの特徴を共有するとされています。

 卵殻の分岐分析の結果、 今回の卵殻は、他のMegaloolithus とは異なるクレードを形成し、また、megaloolithids(竜脚類)と、spheroolithids(ハドロサウルス)は多系統になるとしています。

 今回の卵殻は、ティタノサウルスの卵化石とされ、これは、近くで見つかっているティタノサウルスの骨格と一致するとされています。

 一方、他のMegaloolithus 属の卵殻は、ハドロサウルスのものと考えられています。この骨格も、豊富に見つかるそうです。




  1. References:
  2.  
  3. Ana M. Bravo & Rodrigo Gaete (2014) 
  4. Titanosaur eggshells from the Tremp Formation (Upper Cretaceous, Southern Pyrenees, Spain). 
  5. Historical Biology (advance online publication) 
  6. DOI:10.1080/08912963.2014.934231
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ブラジル初の鳥類の卵化石

 いわゆる非鳥類型恐竜の卵化石は、多く見つかっているブラジルですが、鳥類の卵化石についても、ここ30年間の間に、いくつか発見されているそうです。

 今回、ブラジルで初めて発見された鳥類の卵化石について、組織構造を走査電顕などで分析した論文が報告されています。

 その結果、アルゼンチンにある白亜紀後期の地層で見つかっているエナンティオルニス(enantiornithines)に非常に類似しており、基盤的な鳥胸類 (Ornithothoraces)の卵化石ではないかとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Júlio Cesar. de A. Marsola, Gerald Grellet-Tinner, Felipe C. Montefeltro, Juliana M. Sayão, Annie Schmaltz Hsiou & Max C. Langer (2014) 
  4. The first fossil avian egg from Brazil. 
  5. Alcheringa (advance online publication) 
  6. DOI:10.1080/03115518.2014.926449
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竜脚類の卵が小さいわけ

 竜脚類のような大型恐竜の卵の大きさや産卵数は、その体の大きさに比べて、小さめです。

 この理由を、インキュへーション(抱卵)時間から説明した論文が報告されています。卵が小さく、また、分散している方が、捕食されるリスクが低かったという理由です。

 現生の鳥類やワニの相対成長関係を用いて、産卵から孵化まで、65-82日間だったと推定されています。 

 捕食されるリスクが、孵化までの長さに応じて変化するとすれば、卵が小さいほうが、また、少ない産卵数で卵が分散していたほうが、捕食リスクが小さいとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Graeme D. Ruxton , Geoffrey F. Birchard , and D. Charles Deeming (2014) 
  4. Incubation time as an important influence on egg production and distribution into clutches for sauropod dinosaurs. 
  5. Paleobiology 40(3):323-330. 2014 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.1666/13028
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 福井県勝山にある白亜紀前期(upper Barremian) の北谷層で発見されていた卵殻化石が新種記載され、Plagioolithus fukuiensis と命名されています。

 3月に、世界最古の鳥類の卵化石と、ニュースになりました。しかし、論文では、鳥類の卵化石と断定されているわけではなく、鳥類(bird)に属することを示唆する、とあります。

 "bird"という表現に示されるように、卵化石としての「鳥類」が定義されているわけではなく、また、骨格化石から定義された鳥類( Avialae)と、明確に関連付けられてはいません。

 骨格化石でさえ鳥類と非鳥類型恐竜の区別が曖昧な時代でもあり、厳密には、論文に示されるように鳥類( Avialae)の卵化石と断定はできず、鳥類の特徴を持つ卵殻化石、ですね。

 
 卵殻は、0.44ミリと薄く、表面は滑らかで、分岐せず狭い細孔で、気孔が一定の幅で存在し、また、3層構造などの特徴がみられるそうです。  

 これらの特徴から、鳥類(bird)に属することを示唆するとされています。  

 このような三層の卵殻構造は、今回の卵殻と現生や絶滅鳥類、非鳥類型獣脚類でみられ、 バレミアン後期、またはそれ以前に登場した獣脚類でプレシオモルフィック(plesiomorphic)、つまり共有されていた原始形質ではないかとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Takuya Imai & Yoichi Azuma (2014) 
  4. The oldest known avian eggshell, Plagioolithus fukuiensis, from the Lower Cretaceous (upper Barremian) Kitadani Formation, Fukui, Japan. 
  5. Historical Biology (advance online publication) 
  6. DOI:10.1080/08912963.2014.934232
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 現生鳥類の卵黄には、ひも状のカラザ(chalazae、卵帯)がついています。そのおかげで、卵黄を中央に維持することができ、卵は回転に耐えることができます。
  
 それにより、樹上や岩礁など、多様な環境で巣を作ることが可能になるのです。

 では、中生代の鳥類や非鳥類型獣脚類の卵には、カラザがあったのでしょうか。 カラザは蛋白質なので化石としては残りませんが、そのあたりを考察した論文が報告されています。

 論文は、ゴビ砂漠で発見された基盤的な絶滅鳥類、エナンティオルニス(Enantiornithes )の卵化石を、新種として記載したもの。

 砂などの堆積物に埋もれて上向きの卵の配置であることから、非鳥類型獣脚類のように、これらのエナンティオルニスの卵にはカラザがなかったとされています。

 したがって、巣づくりの環境にはそれなりに制限があったようです。 


 1991年にゴビ砂漠にある白亜紀後期の地層(Barun Goyot and Djadokhta Formations)で発見され、Gobioolithus major とされていたもの。  

 70mm?32mmと大きくて細長く、微細構造も異なり、新種として記載され、Styloolithus sabathi と命名されています。 卵化石に伴って産出した一部の骨化石から、エナンティオルニスとされています。  

 今回の発見から、中生代の真鳥形類(ornithuromorph)以外の卵のサイズは、非鳥類型獣脚類からは著しく増加していたのですが、まだ、新鳥類(Neornithes)の卵ほどではなかったとされています。  

 また、卵は、トロオドン類のように、堆積物に埋もれて、上向きに密に配置された形状で見つかっています。  

 堆積物で上向きに保持する必要があったことから、非鳥類型獣脚類のように、これらの鳥類の卵にはカラザがなかったとされています。これは、エナンティオルニスを含む基盤的鳥類に共通とみられています。  

 なお、カラザを持つことは、卵が回転に耐えられることで、新鳥類にとって2つのメリットがあるとされています。  

 ひとつは、樹上や岩礁、洞窟や穴など、堆積物の無い多様な巣環境が可能となることで、もうひとつは、インキュベーション中に巣環境が乱れても、卵の配置を調整できることとされています。  

 新鳥類は、巣の形成に堆積物がいらない唯一の中生代の恐竜のクレードとされ、これが、白亜紀末の絶滅イベントからの生存に重要な役割を果たしたとされています。



  1. References:
  2.  
  3. David J. Varricchio and Daniel E. Barta (2014) 
  4. Revisiting Sabath's "Larger Avian Eggs" from the Gobi Cretaceous. 
  5. Acta Palaeontologica Polonica (in press) 
  6. doi:http://dx.doi.org/10.4202/app.00085.2014
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