海生爬虫類の最新ニュース

 最近増えてきている骨の組織学的研究から、再び海にもどり水中生活に適応していった水棲爬虫類について考察した論文が報告されています。  

 組織学的特徴と系統関係などとは関係がなく、ほとんどの海棲爬虫類では、成長率は陸に棲む外温動物よりかなり高かったことが示唆され、内温性の傾向を示すものもいたそうです。 


  コラーゲンの網目構造や血管網といった組織学的特徴からは、成長率と基礎代謝率についての情報が得られます。  

 注目すべきことに、それらの骨組織学的特徴と、体の大きさや泳ぎ方、系統関係などとは関連がないそうです。  

 ほとんどの海棲爬虫類では、成長率は陸棲の外温動物よりかなり高かったとされ、むしろ、全く別の代謝能力が示唆されています。  

 実際、さまざまなグループは異様に高い体温を示し、内温性の傾向を示すものもいたそうです。  

 もっとも、これら化石グループについて推論するためには、現生タクサでの骨組織学的特徴と成長速度や代謝との関係の理解が必要で、そのためには、まだ多くのやるべきことがあるとされています。  
 

  1. References:
  2.  
  3. Alexandra Houssaye (2012) 
  4. Bone histology of aquatic reptiles: what does it tell us about secondary adaptation to an aquatic life? 
  5. Biological Journal of the Linnean Society (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1111/j.1095-8312.2012.02002.x



 日本で発見された白亜紀後期の海生爬虫類の分類学的、層序学的分布についてのレビュー論文が報告されています。    

 たとえば、モササウルス類の発見は、中期サントニアン以降、世界規模でモササウルス類が優位だったことを示し、太平洋北西部で比較にならないほどの構成の変化があったとしています。 

 また、Futabasaurus suzukii.などのエラスモサウルス類は、白亜紀後期の6つある階の全てから発見されており、太平洋北西部で絶えることなく存在していたとしています。  

 一方、プリオサウルス類はまれですが、チュロニアンにかけて、太平洋北部での発見の上限をあげる発見としています。


  1. References:
  2.  
  3. T. Sato, T. Konishi, R. Hirayama & M.W. Caldwell (2012) 
  4. A review of the Upper Cretaceous marine reptiles from Japan. 
  5. Cretaceous Research (advance online publication) 
  6. doi:10.1016/j.cretres.2012.03.009
  7.  



 モササウルスの化石から、蛋白質(コラーゲン)が発見されたと報告されています。

 今までは、 T.rex などの化石からの軟組織の発見が報告されていますが、今回の発見で、大型骨格が河川環境で堆積した場合だけではなく、比較的小型の骨格が浅い海という環境で堆積した場合でも保存されるとされています。

 

 ベルギーにある約7000万年前の地層で発見されたモササウルス、 Prognathodon の上腕骨化石( (IRSNB 1624 )を、電顕(SEM)やアミノ酸分析、抗体反応、シンクロトロン放射光による顕微赤外分光法(synchrotron radiation-based infrared microspectroscopy)などを用いて解析したもの。 

 複数の分析結果から、ファイバー状の骨組織から抽出された有機物は、骨組織で一般的なタイプ I コラーゲン又はその分解物ではないかとされています。

 こういう分析では、現生微生物のコンタミ(汚染)による影響が考えられますが、バク テリア由来のバイオフィルムとコラーゲン様蛋白のスペクトルと比較し、現生の微生物のコンタミによるものではないとされています。

 

 なぜ、 蛋白質が分解されずに保存されていたのかについての説明もあります。

 化石が見つかった地層(Ciply Phosphatic Chalk )の高濃度のリン酸塩と炭酸塩が骨の溶解や再沈殿を減らし、また、血管内部が速く鉱物化したことで、骨組織を微生物の分解の影響から守ったのではないかとされています。

 とすると、同じ堆積環境だった化石から、もっと多くの軟組織が見つかってもいいと思いますが・・・。

 

  

  1. References:
  2. Lindgren J, Uvdal P, Engdahl A, Lee AH, Alwmark C, et al. (2011)
  3. Microspectroscopic Evidence of Cretaceous Bone Proteins.
  4. PLoS ONE 6(4): e19445.
  5. doi:10.1371/journal.pone.0019445  



 およそ1億2000万年前の魚竜化石に残された傷痕について報告されています。

 論文自体は1月にオンライン版が公開されていました。スウェーデンのウプサラ大のプレスリリースにより、ナショジオなどが伝えています。

 実物はもっとはっきりしているのでしょうが、論文の映像にある傷痕はそれほどクリアではありません。

 

 化石は、1970年から、オーストラリア南部の白亜紀前期((lower Aptian-lower Albian)のBulldog Shale の複数の場所で発見されたもの。

 オーストラリアで発見された白亜紀前期の魚竜としては唯一の種で、プラティプテリギウス類(Platypterygius )のPlatypterygius australis とされています。

 当時あったゴンドワナ大陸の浅い内海に生息していたようです。

 

 下あご化石標本(SAM P14508)から、成体とされ推定体長は5-6メートルです。傷には治癒の兆候があったそうですから、生きている時についた痕です。

 幅の狭い傷の解析から、大型の捕食動物(プリオサウルス類のクロノサウルス)に襲われた傷ではないとしています。

 小型のエラスモサウルスなどがたまたま噛みついたのか、食べ物や縄張り等をめぐっての仲間同士の争いの傷だったのではないかとされています。

 多くのニュースは、仲間同士の争いと伝えていますが、傷痕以外に証拠はありません。

 

 

  1. References:
  2. Maria Zammit and Benjamin P. Kear, 2011
  3. Healed bite marks on a Cretaceous ichthyosaur
  4. Acta Palaeontologica Polonica in press available online 27 Jan 2011
  5. doi:10.4202/app.2010.0117  



 昨年カンザス州で開催された第2回モササウルスミーティングをまとめた紀要、 The Proceedings of the Second Mosasaur Meeting (2008)が発行されたたそうです。

 全部で172ページで、最初の2論文で2種の新種(Selmasaurus johnsoni Prognathodon kianda )が記載されています。

 なお3回目のミーティングは、2010年にパリで開催の予定です。




 オランダ、マーストリヒト近くの上部白亜系の地層で新種のモササウルス(Prognathodon属)の新種、Prognathodon saturator が発見され、以下の論文に報告されています。Mosasaurinae の分岐図もあります。

 海に進出したモササウルスも白亜紀後期にはずいぶん大きくなったようで、この種も1.4メートルほどの頑丈な頭部と大きなアゴを持ち、モササウルスの中で最もがっしりしているそうです。

 推定体長は10?14メートルで、最大級のモササウルスの一つとされています。骨にはサメに噛まれたような跡が残っています。

 

 A large new mosaaur from the Upper Cretaceaous of Netherlands
 Netherlands Journal of Geosciences/Geologie en Mijinbouw 81(1):1-8(2002) PDFファイルです。

 

 ■モササウルスはヘビ類と姉妹グループ
 モササウルス(Mosasauroidea)は、トカゲやヘビ類が属するLepidosauromorpha(鱗竜形類)の仲間。その中のPythonomorphaというグループに属するのですが、これは、ヘビ類が属するOphidiaと姉妹グループです。

 ちなみにモササウルスの"モサ"は"猛者"・・・ではなくて、最初に発見されたオランダのモウサ川(the Meuse River)にちなんだもの。
 モササウルスについては、THE MOSASAUR MUSEUM(Oceansofkansas)が参考になります。Prognathodonでは、Prognathodon属の顔つきを比較しています。




カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

2013年3月

          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

アーカイブ


カテゴリ  ▼(広げる)▲(たたむ)