魚竜の最新ニュース

 目が大きいことで有名なオフタルモサウルス類(ophthalmosauridae)といえば、ジュラ紀後期に放散し、白亜紀にかけて栄えた魚竜とされています。

 今回、アラスカにあるジュラ紀中期の地層からは初めてとなる、オフタルモサウルス類の魚竜化石について報告されています。

 アラスカは、最古のオフタルモサウルス類の一つが見つかり、また、北半球では唯一、ジュラ紀中期のオフタルモサウルス類が記載されている場所です。

 今回の発見から、オフタルモサウルス類は急速に多様化し、ジュラ紀中期のバッジョシアン初期までには既に、幅広く分布していたと考えられています。

 
 


  1. References:
  2.  
  3. Patrick S. Druckenmiller & Erin E. Maxwell (2013) 
  4. A Middle Jurassic (Bajocian) ophthalmosaurid (Reptilia, Ichthyosauria) from the Tuxedni Formation, Alaska and the early diversification of the clade. 
  5. Geology Magazine (advance online publication) 
  6. DOI: http://dx.doi.org/10.1017/S0016756813000125



 ロシアにある白亜紀後期の地層で、魚竜の頭部化石が発見され、新種として記載されています。 基盤的なオフタルモサウリナエ(ophthalmosaurine、亜科)の位置づけです。  

 この仲間の白亜紀の化石は珍しく、大きな強膜骨窓を持つことから眼が大きいと考えられるなど、ジュラ紀のオフタモサウリナエ類の特徴を引き継いでいるそうです。

 このことから、オフタモサウリナエ類は、長い間、似たような生態学的ニッチを占めていたと考えられています。

 
 オフタモサウリナエは、ジュラ紀中期から白亜紀後期晩期にかけての、派生的な魚竜のクレードです。    

 ジュラ紀(中期から後期)のオフタモサウリナエ類は、大きな眼を持ち、深海に潜ることに特殊化したことで知られています。  

 しかし、白亜紀になると、特に頭部化石が稀なこともあり、その解剖学的特徴や進化史、生態については、ほとんどど知られていないそうです。  


 今回、ロシア西部にあるアプチアン期の地層で、頭部化石が発見されたもので、Leninia stellans と命名されています。  

 系統的には、基盤的なオフタルモサウリナエの位置づけで、眼にある大きな強膜骨窓や減少した歯列は、オフタモサウリナエ類が広く待っていたと考えられています。  

 このように、古い特徴が保たれていたことから、オフタモサウリナエ類は、長い進化の歴史を通して、似たような生態学的ニッチを占めていたようです。

 

  1. References:
  2.  
  3. Valentin Fischer, Maxim S. Arkhangelsky, Gleb N. Uspensky, Ilya M. Stenshin and Pascal Godefroit (2013) 
  4. A new Lower Cretaceous ichthyosaur from Russia reveals skull shape conservatism within Ophthalmosaurinae. 
  5. Geological Magazine (advance online publication) 
  6. DOI: http://dx.doi.org/10.1017/S0016756812000994



 貴州省にある三畳紀後期の地層で発見された魚竜の幼体化石について、報告されています。 ほぼ完全な骨格化石が見つかったもので、Guanlingsaurus liangae の幼体とされています。

 この魚竜は短い吻部や歯がないこと、そして舌骨から、プランクトンなどをサクションフィーディング(suction-feeding、吸引方式の食餌)していたと考えられていました。

 しかし、今回の標本の完全な舌骨はかなり小さく、以前は過大に推定されていたようです。

 論文では、魚竜類(ichthyopterygian)のサクションフィーディングについては、さらなる調査が必要とされています 。


 サクションフィーディングは、現生のクジラ類でみられる食餌方法です。  

 例えば、ハクジラ類では肺を利用した吸引は不可能で、かわりに舌や舌骨が発達しており、口を開けると同時に舌を急速に引っ込め、口腔内の圧力を低下させることで、エサを海水ごと吸い込みます。  

 しかし、魚竜類には、サクションフィーディングで知られたクジラ類で発達している石化した舌骨体(ossified hyoid corpus )が無いそうです。    

 これは、 その舌骨がサクションフィーディングできるほど、十分しっかりしたものではなかったと考えられています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Cheng Ji, Da-Yong Jiang, Ryosuke Motani, Wei-Cheng Hao, Zuo-Yu Sun & Tao Cai (2013) 
  4. A new juvenile specimen of Guanlingsaurus (Ichthyosauria, Shastasauridae) from the Upper Triassic of southwestern China. 
  5. Journal of Vertebrate Paleontology 33 (2):-348 
  6. DOI:10.1080/02724634.2013.723082



 中国南部雲南省にある三畳紀中期の地層で発見された魚竜について報告されています。  

 関節したほぼ完全な標本で、かつて、ドイツで頭部が発見されているPhalarodon atavus(ファラロドン・アタブス)とされています。周テチス海(peri-Tethyan)に広く生息していたようです。/div>

 初期の原始的な魚竜であるミクソサウルス類(Mixosauridae))の一種で、小型で眼が大きいのが特徴です。南三陸で発見されているクダノハマギョリュウもこの仲間です。

 歯冠の形態から、軟らかいエサを好んだと考えられています。

 

  1. References:
  2.  
  3. Jun Liu, Ryosuke Motani, Da-Yong Jiang, Shi-Xue Hu, Jonathan C. Aitchison, Olivier Rieppel, Michael J. Benton, Qi-Yue Zhang & Chang-Yong Zhou (2013) 
  4. The first specimen of the Middle Triassic Phalarodon atavus (Ichthyosauria: Mixosauridae) from South China, showing postcranial anatomy and peri-Tethyan distribution. 
  5. Palaeontology (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1111/pala.12021



 魚竜の胎児が母体の外で発見されているのは、死体の内部破壊(carcass implosion)ではないかとする論文が報告されています。

 これまでは、死後に腐敗し、体壁がガスで膨張して爆発したのではないかと考えられていました。

 この論文では、死後、魚竜の体内に水が流れ込み、生じた乱流が原因ではないかと考えられています。
 

 ドイツのホルツマーデンにあるジュラ紀前期の地層からは、保存状態の良い魚竜化石が見つかります。 中でも、長年、古生物学者を悩ませてきたのは、胎児が母体の外で発見される化石です。

 その理由として、最初は底層流が、次に、母親の死後に腐敗し、体壁がガスで膨張して爆発したためと考えられてきました。  

 今回、膨張爆発説も正しくはないとされ、死体の内部破壊ではないかとされています。  

 それは、死後の魚竜の体内に突然に水が流れ込み、生じた乱流により胎児が体外に運ばれるのではないかとされています。  

 乱流は胎児の全てを運べるわけではなく、これは、胎児の骨化石の一部が、母体の体の外だけでなく、内側でも発見されていることを説明できるとしています。

 


  1. References:
  2.  
  3. A. J. van Loon (2013) 
  4. Ichthyosaur embryos outside the mother body: not due to carcass explosion but to carcass implosion. 
  5. Palaeobiodiversity and Palaeoenvironments (advance online publication) 
  6. doi: 10.1007/s12549-012-0112-6



三畳紀の巨大魚竜/ネバダ

 ネバダ州にある三畳紀中期早期(約2億4400万年前)の地層で発見された新種のイクチオサウルスが記載されています。

 体長は8.6m以上と巨大で、Thalattoarchon saurophagis と命名されています。

 "海洋生物としては地球史上初めて、自分と同サイズの生物をエサにしていた"と、ナショジオが紹介しています。

 ペルム紀末の大量絶滅の後の時代からの海洋生態系のトップに君臨する捕食者の発見から、海の生態系の回復は陸よりも早かったと考えられています。


 大きな頭部と、2つのカッティングエッジのある、唇舌方向に扁平な大きな歯を持ち、大型の捕食性食餌スタイルだったとされています。

 今回の発見は、ペルム紀末の大量絶滅のおよそ800万年後とされ、三畳紀の海洋生態系はその頃までに回復し、爬虫類の最初の侵略は400万年以内だったと考えられています。  

 また、海洋における生物的な回復は、カーニアン以前にトップの捕食者がいなかった陸の生態系よりも早かったと考えられています。

 

  1. References:
  2.  
  3. Nadia B. Fröbisch, Jörg Fröbisch, P. Martin Sander, Lars Schmitz, and Olivier Rieppel (2013) 
  4. Macropredatory ichthyosaur from the Middle Triassic and the origin of modern trophic networks. 
  5. Proceedings of the National Academy of Sciences (advance online publication) 
  6. doi: 10.1073/pnas.1216750110



 中島 保寿さんらにより、三畳紀初期の魚竜、ウタツサウルス(Utatsusaurus hataii)の骨の内物構造について考察した論文が報告されています。予稿ですが、全文が読めます。

 その構造が示すように、ウタツサウルスは、最も基盤的な魚竜です。

 海綿状の骨の構造は、海洋環境での活発な遊泳への適応と考えられています。また、 外温性(変温性)の爬虫類というより、内温性(恒温性)だった可能性が示唆されています。

 陸から海へと戻った魚竜ですが、三畳紀初期には、海のライフスタイルに十分に適応していたとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Yasuhisa Nakajima, Alexandra Houssaye, and Hideki Endo (2012) 
  4. Osteohistology of Utatsusaurus hataii (Reptilia: Ichthyopterygia): Implications for early ichthyosaur biology. 
  5. Acta Palaeontologica Polonica (in press) 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.4202/app.2012.0045



 フランスにあるジュラ紀前期の地層で発見された新種の魚竜が報告されています。

 ジュラ紀初期のトッププレデターだった大型の Temnodontosaurus (テムノドントサウルス)属ですが、この種は歯がなく柔らかい獲物を食べていたようです。

 ほぼ完全な化石が見つかっており、T. azerguensis と命名されています。薄くて長くおそらく歯のない吻部と、小さくなった方骨を持つのが特長とされています。


 これらのことから、大型でジュラ紀初期の海ではトップに君臨するプレデターとされていた他のテムノドントサウルスとは、食性の好みは異なっていたようです。  

 プレデターの頂点でもあり、また柔らかい獲物も採る種がいたということから、テムノドントサウルス類は、魚竜の中でも最も生態学的に異なる属とさています。  

 また、同じ地層から見つかっているアンモナイト化石から、他のテムノドントサウルスよりは若い年代とされ、 トアルシアン期の海洋無酸素事件(Toarcian Oceanic Anoxic Event)以降に登場したと考えられています。

 

  1. References:
  2.  
  3. JEREMY E. MARTIN, VALENTIN FISCHER, PEGGY VINCENT & GUILLAUME SUAN (2012) 
  4. A longirostrine Temnodontosaurus (Ichthyosauria) with comments on Early Jurassic ichthyosaur niche partitioning and disparity. 
  5. Palaeontology 55 (5): 995-1005 
  6. DOI: 10.1111/j.1475-4983.2012.01159.x



魚竜のほぼ完全な幼体化石

 オーストラリアにある白亜紀前期(約1億1000万年前)の地層で、ほぼ完全な魚竜の幼体化石が発見されたそうです。ABC News が伝えています。 

 昨年クイーンズランドの南西部で発見されたもの。その99%が残されており、オーストラリアで発見された魚竜の幼体化石としては最も完全とされています。

 



 魚竜の進化において、ジュラ紀前期から中期にかけて大きな変化がありました。 

 ジュラ紀前期の魚竜は、中期(アーレニアン晩期)に登場した眼の大きなオフタルモサウルス類に完全にとってかわられ、ジュラ紀中期(1億7600万年前-1億6500万年前 )は、オフタルモサウルス類の時代とされています。

 今回、ジュラ紀中期の地層で発見された、オフタルモサウルス類ではない、ステノプテリギウス属の新種の魚竜化石が報告されています。
 
 ジュラ紀前期に多様で豊富だったステノプテリギウス属ですが、北半球のジュラ紀中期の地層からは初めての発見とされています。

 
 ジュラ紀は、前期晩期のトアルシアンから、中期のアーレニアン、バソニアンと区分されています。  

 今回は、ドイツ南西部にある地層(Opalinuston Formation、初期アーレニアン)で、一部関節した化石が見つかったもの。  

 頭部や前ヒレから、ステノプテリギウス属の新種とされ、Stenopterygius aaleniensis と命名されています。  

 ジュラ紀前期のステノプテリギウス属は多様で豊富に見つかっていますが、北半球のジュラ紀中期の地層からは初めての報告で、また、アーレニアンからは初めての発見とされています。  

 サイズや形態における多くの点で前期のステノプテリギウス属の魚竜に類似しており、トアルシアン末に起きたと考えられている主な環境の変化はより後で、その変化は劇的ではなかったとされています。  

 また、アーレニアンとバソニアンの間に、北半球ではオフタルモサウルス類はいなかったとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Erin E. Maxwell, Marta S. Fernández & Rainer R. Schoch (2012) 
  4. First Diagnostic Marine Reptile Remains from the Aalenian (Middle Jurassic): A New Ichthyosaur from Southwestern Germany. 
  5. PLoS ONE 7(8): e41692. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0041692



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