イクチオプテリギア・魚竜の最新ニュース

 魚竜の系統関係(2015年7月)で紹介してますが、三畳紀前期に出現した魚竜は、白亜紀後期(セノマニアン末、約9300万年前)には絶滅してしまいます。 鳥類以外の恐竜が絶滅する前ですね。

 絶滅の原因については、魚類との競争やエサの減少といった小さなイベントの影響による、魚竜の多様性の減少が原因とされていました。

 今回、白亜紀初期全体を通して、魚竜の多様性は高く、その絶滅原因は、地球規模での環境変化といった大きなイベントによるとする論文が報告されています。 Nature Asiaが紹介しています。 

 また、セノマニアン初期の衰退により多様性が低下し、これがセノマニアン末の絶滅につながったとされています。つまり、魚竜の絶滅は、2段階だったとされています。


 魚竜の絶滅については2つの仮説がありました。ひとつは、動きの速い魚類との競合です。  

 2つ目は、エサとなるベレムナイトなどの頭足類の減少です。最後の魚竜は、このエサのみに依存していると考えられていました。  


 2つの仮説に共通するのは、魚竜の多様性の乏しさですが、これは、魚竜化石記録の最近の知見に反するようです。  

 今回の研究は、系統発生学的方法により、魚竜の多様性の変化を推定し、当時の環境データと関連づけたもの。  

 その結果、白亜紀前期を通じて魚竜の多様性は高く、絶滅が近くなると、進化速度の低下という特徴があったとされています。  

 そして、その絶滅原因は、おそらく地球環境の変化によって引き起こされた、はるかに大きなイベントの一部と考えられています。    

 他の海生爬虫類や魚類との競争に敗れたわけではないようです。


 


  1. References:
  2.  
  3. Valentin Fischer, Nathalie Bardet, Roger B. J. Benson, Maxim S. Arkhangelsky & Matt Friedman (2016) 
  4. Extinction of fish-shaped marine reptiles associated with reduced evolutionary rates and global environmental volatility.
  5. Nature Communications 7, Article number: 10825 
  6. doi:10.1038/ncomms10825
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 非鳥類型恐竜から鳥類など、脊椎動物の進化においては、歯が小さくなったり、完全に消失する現象は、複数回見られます。
 一部の魚竜でも歯の消失は見られます。Shastasaurus liangae は完全に無歯で、現生のアカボウクジラ(Ziphiidae)のように、サクションフィーディングしていたのではないかとされています。

 歯の置換や完全な歯の消失プロセスについては、理解が進んでいるのですが、歯の消失を伴わない歯のサイズの減少プロセスについては、十分ではないようです。

 今回、魚竜のStenopterygius quadriscissus(ステノプテリギウス)について、歯の減少(Tooth Reduction) について考察した論文が報告されています。

 その結果、ステノプテリギウスでは、成長に伴う個体発生的な歯の減少がみられたとされています。

 幼体の時は、大きな歯があるのですが、成長すると、歯としては機能しない、歯溝から出ない小さい歯となります。

 こういった、機能的に無歯な状態への進化は、歯の負の相対成長と、成長する間、成長率を変化させることで成し遂げたとされています。

 歯の減少は、獲物の選択と摂食行動から生じた独特な選択圧によって引き起こされたのかもしれないとされています。




  1. References:
  2.  
  3. Daniel G. Dick & Erin E. Maxwell (2015) 
  4. Ontogenetic Tooth Reduction in Stenopterygius quadriscissus (Reptilia: Ichthyosauria): Negative Allometry, Changes in Growth Rate, and Early Senescence of the Dental Lamina.
  5. PLoS ONE 10(11): e0141904. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0141904
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 ウタツサウルス(Utatsusaurus hataii )といえば、三畳紀前期の、最初期のイクチオプテリギア(Ichthyopterygia、原魚竜)の一種です。まだ、魚竜とはなっていない仲間ですね。

 カナダからもウタツサウルス(2014年2月)で紹介しているように、ブリティッシュコロンビアで発見されています。

 今回、ネバダ州から、形態的によく似たウタツサウルス類似種( cf. Utatsusaurus)が報告されています。

 Prida Formationで発見された三畳紀前期のイクチオプテリギアの化石群集で見つかったもの。

 断片的で同一種とは断定できないようですが、ウタツサウルスと共有する特徴があるとされています。また、小さくて丸い後方歯がグリッピアに似た標本も見つかっています。

 今回の発見から、三畳紀初期のイクチオプテリギアが、パンタラッサの東縁に沿って南緯度の方へと勢力を拡大し、繰り返し海洋周囲へ分散していたとしています。

 



  1. References:
  2.  
  3. Neil P. Kelley, Ryosuke Motani, Patrick Embree & Michael J. Orchard (2015) 
  4. A new Lower Triassic ichthyopterygian assemblage from Fossil Hill, Nevada. 
  5. PeerJ PrePrints 3:e1803 
  6. doi: https://dx.doi.org/10.7287/peerj.preprints.1447v1
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 魚竜の系統関係(2015年7月)で示していますが、三畳紀前期に出現した魚竜は、白亜紀後期(セノマニアン末、約9300万年前)には絶滅してしまいます。

 かつて、白亜紀の魚竜は、ジュラ紀以降衰退した生き残りと考えられていましたが、最近では、白亜紀においても、魚竜の多様性を示す化石が発見されています。

 魚竜の進化や絶滅は、色々と議論されてきましたが、以前の研究は定性的な議論に集中していたとし、今回、定量的に解析した、とする論文が報告されています。

 最近開発したという定量的環境容量モデル(ecospace modelling)を使い、中生代をとおして、魚竜の食性や生態的地位の変化を高解像度で解析したというもの。

 白亜紀の発見例はあるのですが、今回のモデル解析では、早くてもジュラ紀中期には生態系が衰退傾向にあったのは明らかとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Daniel G. Dick & Erin E. Maxwell (2015) 
  4. The evolution and extinction of the ichthyosaurs from the perspective of quantitative ecospace modelling. 
  5. Biology Letters 2015 11 20150339 
  6. DOI: 10.1098/rsbl.2015.0339
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 白亜紀の魚竜は、当時の温帯地域では比較的多様でしたが、熱帯からは、ほとんど記載されていないそうです。

 今回、コロンビアにある白亜紀前期(Barremian-Aptian)の地層(Paja Formation)で発見された新種の魚竜が記載されています。

 BBCでは、外鼻孔の開口部が2つに分かれていると紹介しています。

 その変わった外鼻孔開口部の配置や細い 吻部、狭い眼窩後部領域やうすい歯列が、他のすべての魚竜と異なっているとされています。

 オフタルモサウリダエ(Ophthalmosauridae、科)で、 Muiscasaurus catheti と命名されています。

 部分的な頭蓋骨しか見つかっていないのですが、幼体で、推定体長は3メートル、成体は5メートルほどとされています。

  同層からは2例めの魚竜で、この時期、適度な多様性があったとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Erin E. Maxwell, Daniel Dick, Santiago Padilla and Mary Luz Parra (2015) 
  4. A new ophthalmosaurid ichthyosaur from the Early Cretaceous of Colombia. 
  5. PAPERS IN PALAEONTOLOGY (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1002/spp2.1030
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 イギリスで魚竜といえば、メアリー・アニングが有名ですが、彼女が化石をハンティングしていたのは、南部沿岸ドーセット州でのこと。
 今回、多くの魚竜化石を産出しながら、その記録が乏しいイギリス中央部ノッティンガムシャー州からの標本が報告されています。

 もっとも、現在では近づくことができないそうで、全て、博物館や大学に保管されていた67標本です。

 三畳紀後期からジュラ紀前期の地層で発見されたもので、中には保存状態が良く、3次元的に保存されている標本もあります。

 今回、初めてとなる、Ichthyosaurus (イクチオサウルス)属と、Temnodontosaurus(テムノドントサウルス) 属が見つかっています。  

 テムノドントサウルスといえば、ジュラ紀初期のトッププレデターだった大型魚竜で、歯がないテムノドントサウルスの新種(2012年9月)では、歯がない種類も紹介しています。
 




  1. References:
  2.  
  3. Dean R. Lomax & Benjamin J.A. Gibson (2015) 
  4. The first definitive occurrence of Ichthyosaurus and Temnodontosaurus (Reptilia: Ichthyosauria) in Nottinghamshire, England and a review of ichthyosaur specimens from the county. 
  5. Proceedings of the Geologists' Association (advance online publication) 
  6. doi:10.1016/j.pgeola.2015.05.006
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魚竜の系統関係

 三畳紀前期に出現した魚竜は、鳥類以外の恐竜が絶滅する前の白亜紀後期(セノマニアン末、約9300万年前)には絶滅してしまいます。

 今回、先に紹介した論文から、魚竜の系統関係、特に魚竜のクレードについて簡単に説明します。

 図は、系統関係に時間軸を当てはめたもの(Ryan D. Marek, et al., 2015)。

 ちなみに、魚竜の系統は、イクチオプリギア(Ichthyopterygia、原魚竜)の、イクチオサウリア(Ichthyosauria)です。

 三畳紀中期から始まっており、三畳紀前期のイクチオプテリギアであるウタツサウルス(Utatsusaurus hataii )は含まれていません。


  Ichthyosauria-Time-calibrated.jpg

 図で、一番原始的な魚竜は、スイスで発見されたMikadocephalus gracilirostris です。

 また、図で、もっとも基盤的なクレードは、P(Parvipelvia)です。"わずかな骨盤"という意味で、海に進出したものの、骨盤の痕跡は残っていたようです。  

 やがて、N(Neoichthyosauria、新イクチオサウリア)となり、E(Eurhinosauria、真リノサウリア)やT(Thunnosauria)に分岐しています。 

 さらに進化すると、B(Baracromia)や O(Ophthalmosauridae、オフタルモサウルス科)となります。  そして、ジュラ紀前期晩期(トアルシアン、約1億8000万年前)を過ぎると、ほとんどが、O(Ophthalmosauridae)となります。  

 しかし、すべてではなく、Malawania のように、別系統も残っています。  

 白亜紀の魚竜は、かつては、ジュラ紀以降衰退した生き残りと考えられていましたが、最近では、ジュラ紀末から白亜紀初期にかけて、魚竜の多様性を示す化石が発見されています。



  1. References:
  2.  
  3. Ryan D. Marek, Benjamin C. Moon, Matt Williams and Michael J. Benton (2015) 
  4. The skull and endocranium of a Lower Jurassic ichthyosaur based on digital reconstructions. 
  5. Palaeontology (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1111/pala.12174
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 1811年にメアリー・アニングが初めて完全な魚竜化石を見つけてから、今年で200年あまり。魚竜については、いろいろと解明されてきましたが、脳については未知でした。

 今回、英国にあるジュラ紀前期( Toarcian、約1億8000万年前)の地層で発見された頭部化石から、その脳構造について報告されています。

 3次元的に保存されており、脳函や口蓋、後頭部が残され、魚竜としては初めての頭部のデジタルエンドキャスト(雄型復元モデル)が作成されています。

 今まで、その大きな眼から優れた視覚は考えられていましたが、面白いのは、脳の視覚をつかさる部分だけではなく、嗅覚部分も大きく発達していること。

 嗅覚は、光の届かない深くて暗い海で役立ったようですが、軟組織であり、魚竜の嗅覚器の構造などは不明です。なお、元々陸上動物であり、魚類と違って、嗅覚器は呼吸器の一部です。

 ちなみに、海生哺乳類では一般的に嗅覚は退化する傾向があり、ハクジラでは、神経などの嗅覚構造はほぼ消失しているそうです。


 系統的には、Thunnosauria (ツンノサウリア)の基盤的な位置づけで、Hauffiopteryx typicus に似てはいますが、異なるとされています。  

 運動機能に関与する小脳や視覚に関与する視葉は拡張しており、これは、神経解剖学的に、素早く動くことができ、大きな目で獲物をとらえることができる視覚的な捕食者だったとされています。  

 また、嗅覚領域も大きく、魚竜の嗅覚は、今まで考えられていたよりも重要だったと考えられています。  


  1. References:
  2.  
  3. Ryan D. Marek, Benjamin C. Moon, Matt Williams and Michael J. Benton (2015) 
  4. The skull and endocranium of a Lower Jurassic ichthyosaur based on digital reconstructions. 
  5. Palaeontology (advance online publication)   全文(pdf
  6. DOI: 10.1111/pala.12174
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 現在の海底では、沈降したクジラの死骸を中心に鯨骨生物群集という特殊な生態系が形成されているところがあります。

 一方、中生代の大型海生爬虫類などの死骸も、ネクトン(遊泳生物)からなるネクトンホールコミュニティ(nekton-fall communities)を形成します。

 今回、ドイツにあるジュラ紀前期の地層での魚竜の死骸落下によるコミュニティについて報告されています。

 当時の海の底生生態系を構成するのに実質的な役割を果たしており、以前考えられていたよりも重要であるとされています。

 生態学的に、現在の鯨骨生物群集に似てますが、化学合成群集の有無という点で、大きく異なるとされています。

 化学合成群集とは、メタンや硫化水素といった化学物質からエネルギーを生み出せる化学合成細菌が存在する生態系です。


 


  1. References:
  2.  
  3. Daniel G. Dick (2015) 
  4. An ichthyosaur carcass-fall community from the Posidonia Shale (Toarcian) of Germany. 
  5. PALAIOS 30(5): 353-361 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.2110/palo.2014.095pg(s) 353-361  
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 魚竜化石については、様々な研究がなされていますが、当然ながら、個々の論文は、地質学的な時代や場所がバラバラです。  
 種の豊かさや希少性を考える時、実際そうだったのか、それともサンプリングバイアスの結果なのか、理解しておくことは重要です。

 今回、年代のはっきりした102種、351標本について、骨格の完全性と堆積環境、サンプリングバイアスなどとの関係について調査した論文が報告されています。

 このような研究は、海洋領域の脊椎動物では初めてとされています。

 結果の1例として、骨格の完全性と海水準との間には強い負の相関があり、最も完全な標本は、地球規模で低海面だった時代から産出するとされています。

 
 骨格化石の完全性には、地理的な変化があって、よく研究された北半球産の化石は、南半球産よりもはるかに高い品質とされています。  

 また、中型魚竜は、小型や大型よりも有意に完全で、小さい標本の不完全性は予想通りですが、大きな標本が比較的不完全だったのは、驚きとされています。  

 完全性は、堆積環境相で大きく変化し、きめ細かい砕屑性堆積物( siliciclastic sediments)だと最も完全な標本とされています。  

 これらの知見は、白亜紀前期のような保存能が低い環境相について、なぜ魚竜の多様性記録が低いのかを説明することができるとされています。    

 さらに、意外にも、骨格の完全性と海水準との間に強い負の相関を見出しています。最も完全な標本は、地球規模での低海面の時代であり、逆に、海水面が高かった時は保存状態がよくないようでです。



  1. References:
  2.  
  3. Terri J. Cleary, Benjamin C. Moon, Alexander M. Dunhill and Michael J. Benton (2015) 
  4. The fossil record of ichthyosaurs, completeness metrics and sampling biases. 
  5. Palaeontology (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1111/pala.12158
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 英国にあるジュラ紀前期の地層で発見され、30年以上も博物館に保管されていた化石から、イクチオサウルス属の新種が記載されています。

 種小名は、メアリー・アニングにちなみ、 Ichthyosaurus anningae と命名されています。BBC が動画とともに紹介しています。

 ホロタイプは少なくとも亜成体で、この時期としては、最も完全な Ichthyosaurus の化石とされています。

 特徴の一つとして、上腕骨に比べて非常に大腿骨は小さく、上腕骨/大腿骨比は1.7以上とされています。 

 また、上腕骨の形態は性的二型を示すようですが、層序情報が不足しているために確認されていないそうです。




  1. References:
  2.  
  3. Dean R. Lomax & Judy A. Massare (2015) 
  4. A new species of Ichthyosaurus from the Lower Jurassic of West Dorset, England, U.K. 
  5. Journal of Vertebrate Paleontology (advance online publication) 
  6. DOI:10.1080/02724634.2014.903260
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 初めての、魚竜へつながる中間体化石/新種のイクチオサウルス形類(2014年11月)の発見により、魚竜の系統は、イクチオサウルス形類(ichthyosauriform) イクチオプテリギア(Ichthyopterygia、原魚竜)、魚竜となります。

 その中で、Chaohusaurus (チャオフサウルス)といえば、三畳紀初期の基盤的なイクチオプテリギア(Ichthyopterygia、原魚竜)です。

 その一種、C. chaoxianensis(チャオフサウルス・チャオキシアネンシス)は、幼体のみの標本しか知られていなかったため、C. geishanensis(チャオフサウルス・ゲイシャネンシス)の未成熟な形態と考えられていました。

 今回、中国安徽省で発見された新しい標本を解析した結果、両者は識別でき、C. chaoxianensis は有効種とする論文が報告されています。

 なお、チャオフサウルスについては、海生爬虫類の胎生の起源は陸上(2014年2月)で紹介しています。



  1. References:
  2.  
  3. Ryosuke Motani, Da-Yong Jiang, Andrea Tintori, Olivier Rieppel, Guan-Bao Chen & Hailu You Status of Chaohusaurus chaoxianensis (Chen, 1985) 
  4. Journal of Vertebrate Paleontology (advance online publication) 
  5. DOI:10.1080/02724634.2014.892011
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 スコットランドでは、中生代の脊椎動物化石は稀で、特に海生爬虫類は珍しいそうです。

 今回、スカイ島にあるジュラ紀前期-中期(約1億7000万年前)の地層で、1959年から発見されていた魚竜化石が、新種として記載されています。

 なお、同じスカイ島から、足跡化石は以前から見つかっており、獣脚類の足跡化石発見/スコットランド(2002年8月)や、子育てをした足跡/スカイ島(2005年6月)で紹介しています。

 上の関連リンクですが、BBCは、2002年のリンクでも有効で、データベースとして価値があります。1年ほどで、あとかたもなく消えてしまう日本のニュースサイトも見習って欲しいですね。


 基盤的なネオイクチオサウリア(neoichthyosauria、新魚竜類)で、Dearcmhara shawcrossi と命名されています。

 今回の発見から、ジュラ紀前期から中期のヨーロッパでは、オフタルモサウリアの系統ではないネオイクチオサウリアが支配し、後に、オフタルモサウリアにおき代わったとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Stephen L. Brusatte, Mark T. Young, Thomas J. Challands, Neil D. L. Clark, Valentin Fischer, Nicholas C. Fraser, Jeff J. Liston, Colin C. J. MacFadyen, Dugald A. Ross, Stig Walsh, and Mark Wilkinson (2015) 
  4. Ichthyosaurs from the Jurassic of Skye, Scotland. 
  5. Scottish Journal of Geology (advance online publication) 
  6. doi:10.1144/sjg2014-018
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 アラスカ初のオフタルモサウルス類(2013年5月)で、ジュラ紀中期の魚竜化石について紹介しました。

 今回、アラスカ北部にある三畳紀後期(Norian)の地層から発見された魚竜化石について報告されています。

 最大級で完全であり、消化管の内容物が残されているため、貴重とされています。



  1. References:
  2.  
  3. Patrick S. Druckenmiller, Neil Kelley, Michael T. Whalen, Christopher Mcroberts & Joseph G. Carter (2014) 
  4. An Upper Triassic (Norian) ichthyosaur (Reptilia, Ichthyopterygia) from northern Alaska and dietary insight based on gut contents. 
  5. Journal of Vertebrate Paleontology 34(6): 1460-1465 
  6. DOI:10.1080/02724634.2014.866573
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 イクチオプテリギア(Ichthyopterygia、原魚竜)は、三畳紀前期に、陸上から海へと進出した海生爬虫類です。

 しかし、イクチオプテリギアへとつながる、その中間体の化石は今まで見つかっていませんでした。

 今回、藻谷さんらにより、中国南部にある三畳紀前期(約2億4800万年前)の地層で発見された基盤的なイクチオサウルス形類(ichthyosauriform)が記載されています。

 UCDAVIS(カリフォルニア大デービス校)で、復元イラストともに紹介されています。

 後の魚竜より小型で、限定的に地上を移動するための大きなヒレを持ち、水陸両生だったと考えられています。また、祖先である地上性双弓類の特性を保持しており、吻部と体幹は短めです。

 骨は、魚竜より緻密で、海にチャレンジした当初は、体が重かったようです。

 サクションフィーダーではないかとされていますが、ナショジオによると、近くで獲物の化石が見つかっていないことから、軟体動物を吸引して食べていた、という間接的な理由です。

 学名は、Cartorhynchus lenticarpus と命名されています。  

 系統的には、Hupehsuchia とイクチオサウルス形類は姉妹群とし、合わせてイクチオサウルス型類( Ichthyosauromorpha)としています。  

 基盤的なイクチオサウルス型類は中国南部のみから知られており、このことから、このクレードは、三畳紀前期、高温多湿な熱帯群島だったこの領域が起源と考えられています。

 図は、双弓類でのイクチオプテリギアの系統関係(Ryosuke Motani et al., 2015)。a は水生への適応を除外した場合。 b は含む場合。
  Cartorhynchus_a.jpg


Cartorhynchus_b.jpg




  1. References:
  2.  
  3. Ryosuke Motani, Da-Yong Jiang, Guan-Bao Chen, Andrea Tintori, Olivier Rieppel, Cheng Ji & Jian-Dong Huang (2014) 
  4. A basal ichthyosauriform with a short snout from the Lower Triassic of China. 
  5. Nature (advance online publication) 
  6. doi:10.1038/nature13866
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 三畳紀の大量絶滅イベントは、海洋生物にも多大な影響を与え、魚竜においても、大部分が絶滅しました。  しかし、貧弱な化石記録のため、十分には解明されていたかったようです。

 今回、フランスにある三畳紀後期(レーティアン)の地域について解析した論文が報告されています。

 三畳期末、シャスタサウリダエ(shastasauridae、シャスイタサウルス科) の系統の絶滅と、ネオイクチオサウリア( neoichthyosauria)の突然の放散の両方が、短時間に起きたことを示すとされています。




  1. References:
  2.  
  3. Valentin Fischer, Henri Cappetta, Peggy Vincent, Géraldine Garcia, Stijn Goolaerts, Jeremy E. Martin, Daniel Roggero & Xavier Valentin (2014) 
  4. Ichthyosaurs from the French Rhaetian indicate a severe turnover across the Triassic-Jurassic boundary. 
  5. Naturwissenschaften (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1007/s00114-014-1242-7
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 ロシアにあるジュラ紀後期の地層で発見された Undorosaurus 属の新種の魚竜化石が報告されています。 オープンアクセスです。 

 不完全な前肢化石が見つかったもの。U. trautscholdi と命名されています。

 系統解析の結果、UndorosaurusParaophthalmosaurus は、オフタリモサウリダエ(Ophthalmosaurinae、オフタルモサウルス亜科)の系統とされています。




  1. References:
  2.  
  3. M.S. Arkhangelsky and N.G. Zverkov (2014) 
  4. On a new ichthyosaur of the genus Undorosaurus
  5. Proceedings of the Zoological Institute 318 (3): 187-196 (pdf)
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 ジュラ紀に比較的温暖で浅い海であったノルウェーの北極圏にあるスバールバル諸島からは、魚竜やクビナガリュウ、アンモナイトなどの化石を多数産出します。

 今回、最大の島、スピッツベルゲン島のジュラ紀後期の地層( Agardhfjellet Formation)で発見された魚竜化石が記載されています。

 全長は3-4メートルほど、Janusaurus lundi (ヤヌサウルス・イウンディ)と命名されています。

 論文では、魚竜の系統、オフタルモサウリダエ(Ophthalmosauridae、科)は、オフタモサウリナエ(Ophthalmosaurinae、亜科)とプラチプテリギイナエ(Platypterygiinae、亜科)の2系統とされ、ヤヌサウルスは、オフタルモサウリナエ(Ophthalmosaurinae)の位置づけです。  
 そのオフタルモサウリナエの中で、スバールバルで発見され、いずれも2012年に記載された Cryopterygius kristiansenaePalvennia hoybergeti、そして、もうひとつ別の標本(PMO 222.667 )と、4種が多分岐群になっています。  

 スバールバルのオフタルモサウリダエには、まだ記載されていない標本が多くあるとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Aubrey Jane Roberts, Patrick Scott Druckenmiller, Glenn-Peter Saetre & Jørn Harald Hurum (2014) 
  4. A New Upper Jurassic Ophthalmosaurid Ichthyosaur from the Slottsmøya Member, Agardhfjellet Formation of Central Spitsbergen. 
  5. PLoS ONE 9(8): e103152. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0103152
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 プレシオサウルス類で大量にみつかった胃石についての報告があります。  胃石は、河川由来であり、また、浮力調節に使ったとする仮説に疑問を呈しています。

 もちろん、奥歯などがなくて、貝などは飲み込んだと思われるプレシオサウルス、胃石は消化の助けになったようですね。


 南極半島のセイモア島にある白亜紀後期(マーストリヒシアン後期)の地層で発見された派生的なエラスモサウルス類(Elasmosauridae) の Aristonectes 属とされるプレシオサウルス類で発見されたもの。 

  胃石のクラスターは、793個からなり、そのうち、259個はこわれているそうです。  平均長径は21ミリ。また、平均最大球形度(同じ体積の球との表面積比)は0.71で、このことから、胃石は、河川由来とされています。  

 また、この胃石は、個々に飲み込まれたのではないとされています。  

 結局、今回の胃石は、浮力制御のために使用したとする仮説に不利な証拠を提供しているとの結論です。



  1. References:
  2.  
  3. José Patricio O'Gorman, Eduardo Bernardo Olivero, Sergio Santillana, Michael J. Everhart & Marcelo Reguero (2014)
  4. Gastroliths associated with an Aristonectes specimen (Plesiosauria, Elasmosauridae), López de Bertodano Formation (upper Maastrichtian) Seymour Island (Is. Marambio), Antarctic Peninsula. 
  5. Cretaceous Research 50: 228-237 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.1016/j.cretres.2014.03.011
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魚竜の墓場/チリ

 チリ南部にある白亜紀前期の地層で発見された大量の魚竜化石について報告されています。

 その密度や種類から、白亜紀前期の海洋爬虫類の「化石ラガシュテッテン(Fossil Lagerstätten、特別に保存状態の良い標本がみつかる場所)」とされています。

 幼体から成体の46の関節した標本が見つかっており、オフタルモサウルス類(Ophthalmosauridae)の4種とされています。軟組織や胚、アンモナイトやベレムナイト、貝や魚類、植物化石も見つかっているそうです。

 これだけ大量の関節した魚竜化石が見つかることから、海底谷で濁流に飲み込まれ酸素欠乏になるといった大量死イベントがあったと考えられています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Wolfgang Stinnesbeck, Eberhard Frey, Luis Rivas, Judith Pardo Pérez, Marcelo Leppe Cartes, Christian Salazar Soto and Patricio Zambrano Lobos (2014) 
  4. A Lower Cretaceous ichthyosaur graveyard in deep marine slope channel deposits at Torres del Paine National Park, southern Chile. 
  5. Geological Society of America Bulletin (advance online publication) 
  6. doi: 10.1130/B30964.1
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2016年5月

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