モササウルス類の最新ニュース

 オウムガイ類に残されたモササウルスの噛み跡について報告されています。

 白亜紀後期の北米の海では、アンモナイトはありふれた存在で、モササウルスはその補食者だったとされています。

 しかし、オウムガイは稀なこともあり、それを捕食したとする報告はないそうです。現生のオウムガイから推定すると、深海や海底に生息していたためと考えられています。

 ここでは、小型のモササウルスのエサとなったオウムガイ、Eutrephoceras dekayi の標本が示されています。
 


  1. References:
  2.  
  3. Erle G. Kauffman & Jordan K. Sawdo (2013) 
  4. Mosasaur predation on a nautiloid from the Maastrichtian Pierre Shale, Central Colorado, Western Interior Basin, United States. 
  5. Lethaia 46(2): 180-187 
  6. DOI: 10.1111/j.1502-3931.2012.00332.x



 派生したモササウリナエ(Mosasaurinae)の頭部の動性について解析した論文が報告されています。

 ここでは、カリフォルニアにある白亜期後期(マ?ストリヒチアン)の地層で発見された Plotosaurus bennisoni のホロタイプの頭部化石を用いています。

 その結果、著しい特徴として、派生したモササウリナエでは、方形骨の前後の可動性(streptostyly)が、制限されているか失われていたとされています。

 この消失は、モササウルス類では初めての報告とされています。頭部の動性が失われるという特徴は、魚食性の食餌の結果と考えられています。

 

  1. References:
  2.  
  3. Aaron R. H. LeBlanc, Michael W. Caldwell & Johan Lindgren (2013) 
  4. Aquatic adaptation, cranial kinesis, and the skull of the mosasaurine mosasaur Plotosaurus bennisoni. 
  5. Journal of Vertebrate Paleontology 33(2): 349-362 
  6. DOI:10.1080/02724634.2013.726675



 和歌山県立自然博物館では、特別展「発見!モササウルス」を開催します。2月9日から、3月31日までです。

 白亜紀後期(約7500万年前)の地層から発見された化石のクリーニング作業を実演し、最新情報や、発見から発掘、クリーニングまでのエピソードを紹介するそうです。
 



 ハンガリーにある白亜紀後期(8530万-8350万年前)の地層で発見された新種のモササウルスが記載され、Pannoniasaurus inexpectatus と命名されています。 論文は全文が読めます。

 幼体から成体まで、多数の化石が見つかっており、モササウルスとしては初めての、淡水環境からの発見で、生涯を通じて淡水に棲んでいたと考えられています。

 四肢は脚に近い形で、現生のワニのように、時々は陸に上がっていたようです。

 今回の発見から、モササウルスで毛とは考えにくく、淡水性のプレシオサウルスやイクチオサウルスもいたのではないかと、ナショジオが紹介しています。生き延びれば、ネッシーでしょうか。

 


  1. References:
  2.  
  3. László Makádi, Michael W. Caldwell, Attila Osi (2012) 
  4. The First Freshwater Mosasauroid (Upper Cretaceous, Hungary) and a New Clade of Basal Mosasauroids. 
  5. PLoS ONE 7(12): e51781. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0051781



最北の Prognathodon

 モササウルス類の Prognathodon属の北限での発見例について、ロイヤルティレル博物館の小西卓也さんが報告しています。

 カナダアルバータ州にある白亜紀後期の地層で発見された化石で、北半球では、従来より190km北での発見とされています。

 当時、北米大陸を東西に分断していた内海に棲息していたのですが、ニュージーランドからの発見と合わせて、60度以上の高緯度の極地方にもいたようです。
 
 


  1. References:
  2.  
  3. Takuya Konishi (2012) 
  4. The northernmost occurrence of Prognathodon (Squamata: Mosasauridae) from the Western Interior Seaway of North America. 
  5. Canadian Journal of Earth Sciences (advance online publication) 
  6. doi: 10.1139/e2012-038



 北海道むかわ町にある白亜紀後期(約7000万年前)の地層で発見されたモササウルス類の化石について、苫小牧新報が伝えています。新種の可能性があるそうです。

 むかわ町は苫小牧の東にある町。むかわ町立穂別博物館が2009年に発見し、頭部や頚椎、肋骨などが見つかっています。 

 3日には、調査を進めている研究者によるモササウルス国際シンポも予定され、次のの講演が予定されています。

  1.  
  2. Michael W. Caldwell(カナダ・アルバータ大学・教授)  
  3.  「The Evolution and Origin of Mosasaurs(モササウルス類の起源と進化)」
  4.  
  5. 小西卓哉(カナダ・王立ティレル古生物学博物館・博士研究員)   
  6.  「近年のモササウルス類の研究成果および穂別産新標本のこれからについて」
  7.  
  8. 櫻井和彦(穂別博物館 学芸員)   
  9.  「穂別博物館所蔵のモササウルス化石」
  10.  
  11. 西村智弘(穂別博物館 普及員)   
  12.  「穂別地域の白亜系函淵層の層序とモササウルス類の産出層準」



 和歌山県有田川町にある白亜紀後期(約7500万年前)の地層から、モササウルス類の前肢など約70点の化石が見つかったと発表されています。

 2006年に後肢も見つかっており、同一個体の両肢がそろうのは世界的にも稀とされています。

 和歌山県立自然博物館が紹介しています。21日から同博物館で展示されます。

 日本のモササウルス化石の発見例は、40例ほどだそうですが、今回の場所からは、下あごや肋骨なども見つかっており、全体の復元ができそうです。




mosasaurus_1.jpg およそ9000万年前に陸生爬虫類から進化したモササウルス、どのように尾びれを進化させ海での泳ぎに対応したのか報告されています。 Fox News が紹介しています。

 ちなみにタイトルのランドラバー(Landlubbers)とは、海に慣れない水夫とか陸者という意味で、レビヤタン(leviathans)とは、巨大な海獣の意味。

 

 モササウルスの先祖は、現生のウミイグアナのような半海棲爬虫類から、約9000万年前に登場したとされています。

 当時の海にもサメがいましたが、すぐに巨大化したようです。およそ2700万年で、海に適応していったとされています。

 

 論文では、4属のモササウルス類(mosasaurine)の尾の形状などを比較しています。 

 右図は、Dallasaurus から、Clidastes、Mosasaurus、Plotosaurus の4属の系統関係。

 分岐図にある番号は、形状の変化(下図で説明)を示しています(Johan Lindgren, 2011,一部改変)。

 

 下の図は、それらの尾の形状。

 進化するに従い、尾椎の先端が幅広くなり、尾びれ(軟組織)も2又型になっていきます。

 このあたりの外観の変化は、魚竜に似ていますね。

 

 

 

 

mosasaurus_2.jpg 

 

  1. References:
  2.  
  3. Johan Lindgren, Michael J. Polcyn, and Bruce A. Young, 2011
  4. Landlubbers to leviathans: evolution of swimming in mosasaurine mosasaurs
  5. Paleobiology, 37: 445-469, 2011



 モササウルスの化石から、蛋白質(コラーゲン)が発見されたと報告されています。

 今までは、 T.rex などの化石からの軟組織の発見が報告されていますが、今回の発見で、大型骨格が河川環境で堆積した場合だけではなく、比較的小型の骨格が浅い海という環境で堆積した場合でも保存されるとされています。

 

 ベルギーにある約7000万年前の地層で発見されたモササウルス、 Prognathodon の上腕骨化石( (IRSNB 1624 )を、電顕(SEM)やアミノ酸分析、抗体反応、シンクロトロン放射光による顕微赤外分光法(synchrotron radiation-based infrared microspectroscopy)などを用いて解析したもの。 

 複数の分析結果から、ファイバー状の骨組織から抽出された有機物は、骨組織で一般的なタイプ I コラーゲン又はその分解物ではないかとされています。

 こういう分析では、現生微生物のコンタミ(汚染)による影響が考えられますが、バク テリア由来のバイオフィルムとコラーゲン様蛋白のスペクトルと比較し、現生の微生物のコンタミによるものではないとされています。

 

 なぜ、 蛋白質が分解されずに保存されていたのかについての説明もあります。

 化石が見つかった地層(Ciply Phosphatic Chalk )の高濃度のリン酸塩と炭酸塩が骨の溶解や再沈殿を減らし、また、血管内部が速く鉱物化したことで、骨組織を微生物の分解の影響から守ったのではないかとされています。

 とすると、同じ堆積環境だった化石から、もっと多くの軟組織が見つかってもいいと思いますが・・・。

 

  

  1. References:
  2. Lindgren J, Uvdal P, Engdahl A, Lee AH, Alwmark C, et al. (2011)
  3. Microspectroscopic Evidence of Cretaceous Bone Proteins.
  4. PLoS ONE 6(4): e19445.
  5. doi:10.1371/journal.pone.0019445  



 約8500万年前のモササウルス類の一種、プラテカルプスが既に速く泳ぐのに適した体に進化していたとする論文が報告されています。全文が読めます。時事通信が伝えています。

 地上性の爬虫類から進化したモササウルス類で、従来はヘビのように体をくねらせて泳いでいたと考えられていました。今回の復元の三日月形の尾びれは、後期の魚竜のようです。

 流線型の体と、三日月型の尾びれは、モササウルス類の中で最も進化したプロトサウルス類よりも2000万年早く、プラテカルプスで既に完成していたとされています。

 もっとも、骨がない軟組織の尾びれの上側部分は未発見です。

 

  1. Convergent Evolution in Aquatic Tetrapods: Insights from an Exceptional Fossil Mosasaur
  2. Johan Lindgren, Michael W. Caldwell, Takuya Konishi, Luis M. Chiappe
  3. PLoS ONE 5(8): e11998, 2010



カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

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