哺乳類の最新ニュース

 スペインで、ジャイアントパンダの近縁種の化石が発見され、Estudios Geologicos 誌に報告されています。古代のパンダは、ヨーロッパに棲んでいたかもしれないと考えられています。

 パンダのような白黒模様があったと推測されると、ナショジオが紹介しています。

 1100万年前の地層からで、見つかっているのは、歯の化石だけ。ジャイアントパンダ類(亜科)に属する最古の種で、Agriarctos beatrix(アグリアルクトス・ベアトリクス)と命名されています。
 



イルカ化石発掘/鬼怒川

 宇都宮市を流れる鬼怒川でのイルカの化石の発掘の様子、下野新聞が伝えています。先に、クジラ化石が発見された場所です。 

 約1000万年前の地層で、歯の化石も見つかり、イルカの祖先にあたるケントリオドンではないかとされています。

 化石は来年夏にも、栃木県立博物館で展示される予定だそうです。

 
 



 鳥類以外の恐竜が絶滅するまで、哺乳類は小型で、夜間、恐竜をさけて動き回り、哺乳類が多様化するのは恐竜絶滅以降とされてきました。  

 今回、中生代の代表的な哺乳類である多丘歯類( Multituberculata)の適応放散は、白亜紀末に恐竜が絶滅する少なくとも2000万年の前には始まっていたとする論文が、Nature に報告されています。  

 歯の複雑化や体重増加などが、花を咲かせる顕花植物の進化と一致し、それらをうまく消化することが、繁栄につながったようです。また、大量絶滅後も、得れる植物の変化はほとんど無かったとされています。 ABCが紹介しています。  

 多丘歯類は、ジュラ紀中期(約1億6500万年前)に起源があり、白亜紀末の大量絶滅を生き延びた哺乳類の仲間です。  

 最初はシンプルだったその歯は、約9000万年前には、より複雑になり始めました。以前の研究では、この複雑化は昆虫食から植物食への適応シフトと考えられてきました。  
 植物の消化には時間がかかり、一般的には、ボディサイズの大型化が伴います。大きくなると、比較的代謝速度が遅くなり、ゆっくりと消化できるからです。  

 今回の研究は、41属からの48の多丘歯類の歯列を調べたもの。 その結果、歯の複雑化や属の数、体重増加が、花を咲かせる顕花植物の増加と一致するようなデータが示されています。  

 複雑な歯とすることで、恐竜や他の哺乳類が消化しにくかったそれらの顕花植物を、うまく栄養とすることができたのでしょう。  また、大量絶滅後も、得れる植物の変化はほとんど無かったとされています。  

 しかし、霊長類とげっ歯類との競争から、多丘歯類は約3500万年前には絶滅しています。



  1. References:
  2.  
  3. Gregory P. Wilson et al., 2012 Adaptive radiation of multituberculate mammals before the extinction of dinosaurs 
  4. Nature, published online 14 March 2012 
  5. doi:10.1038/nature10880



最古級のサイ化石

 長崎県松浦市の海岸で発見されたサイ化石について、福井新聞などが伝えています。約1800万年前と、国内では最古級とされています。 

 2009年に発見され、発掘調査が勧められていたもの。テレオケラス類に近いとあります。21日の日本古生物学会例会で報告される予定です。


  1. References:

  2. 宮田和周 他
  3. 長崎県松浦市鷹島の" 鷹島層" 産前期中新世サイ科化石
  4. 日本古生物学会第161 回例会 



ゾウにある6番目の"指"

 現生のゾウの前後の脚にある突起は、体重を支えるための6本目の"指"とする論文が報告されています。 NatureBBCなどが紹介しています。

 似たような指、パンダにも見られる指のような構造の"predigits"です。

 今になってわかったわけではなく、突起の存在は以前から知られていました。しかし、単なる軟骨の塊と思われ、その機能は謎だったのです。
 現生動物の構造でも、わかっていないことがあるものなんですね。

 今回、ジョン・ハチンソンらの研究で、後ろ向きについた指は、体重を支える機能があるとしています。 

 また、この指の登場は、4000万年前頃とされています。ゾウが大型化した頃です。 初期のゾウは、現生のように、つま先で歩くことはなく、足底は平だったようです。



  1. References:

  2. John R. Hutchinson et al., 2011
  3. From Flat Foot to Fat Foot: Structure, Ontogeny, Function, and Evolution of Elephant "Sixth Toes"
  4. Science 334(6063), p. 1699-1703, 2011
  5.  DOI: 10.1126/science.1211437



クジラがエジプトを歩いた頃

 エジプトにある約4100-4000万年前の地層で発見された新種の原始的なクジラ類のプロトケタス類(Protocetidae), Aegyptocetus tarfa が記載されています。

 SVP のPRESS RELEASE に頭部のスライス映像があります。

 イタリアに輸出されたライムストーンから見つかり、ほぼ完全な頭部化石などが発見されていますが、手や脚の化石は見つかっていません。

 LAELAPS でも紹介されています。ただし、トップの復元イラストは、パキスタンで発見されたMaiacetus です。

 突き出た鼻、水かきのある手足が特徴的で、体が魚に近くなっても、子供をいたわるような姿は哺乳類の雰囲気十分ですね。

 

  1. References:
  2.  
  3. Bianucci, G., & Gingerich, P. (2011).
  4. Aegyptocetus tarfa, n. gen. et sp. (Mammalia, Cetacea), from the middle Eocene of Egypt: clinorhynchy, olfaction, and hearing in a protocetid whale
  5. Journal of Vertebrate Paleontology, 31 (6), p.1173-1188
  6. DOI: 10.1080/02724634.2011.607985



 南極にある4950万年前(始新世)の地層で、最古の原クジラ類の化石が発見され、第11回国際南極地学シンポジウム(ISAES 2011)で報告されています。

 その年代から、クジラが水生環境に適応したのは、わすが400万年だったと、ナショジオが紹介しています。

 

 La Meseta Formation から、長さ60センチの顎化石が発見されたもの。

 原始的な原クジラ類(archaeoceti) とされ、バシロサウルス類(basilosaurid) の特徴があるそうですが、詳細な比較はされていません。

 バシロサウルスは、体が長く、まだ遠泳能力は無くて浅い海に暮らしていたとされています。

 

 従来、5300万年前のクジラに似た半水生哺乳類が海に適応進化するには、1500万年を要したと考えられてきたのですが、今回の4950万年前の地層からの発見で、400万年と一気に早くなっています。

 当時の南極あたりは今よりも温暖で、すばやく海に適応していったようです。

 

 現生のクジラには、塩分濃度の濃い海水に適応するため、腎臓が数百-数千個もあるそうです。 

 体の外見だけでなく内部の仕組みまで進化させるには、ずいぶんかかりそうですが、400万年とはすばやい進化ですね。

 

  1. References:
  2.  
  3. Marcelo Reguero et al., 2011
  4. Vertebrates from the Basal Horizons (Ypresian To Lutetian) of the Cucullaea I Allomember, La Meseta Formation, Seymour (Marambio) Island, Antarctica
  5. ISAES 2011 abstract, p.534



後ろ脚のあるイルカ

 2006年に和歌山県沖で発見された世界で初めてとなる腹びれを持つイルカに、後ろ脚の痕跡があることがわかったそうです。読売が伝えています。

 29日からフロリダで開催されるの国際海産哺乳類学会(The Society for Marine Mammalogy)で発表されます。

 バンドウイルカの雌で、太地町立くじらの博物館で飼育されています。腹びれをX線で調べたところ、指と太もも、すね、甲に相当する部分が見つかったそうです。

 指の形状は、約3000万年前のクジラに「先祖返り」した状態とされています。

 「先祖返り」とは、先祖の持っていた形質が出現することですが、恐竜が持っていた歯とか長い尾がある鳥が見つかれば面白いですね。

 




 パタゴニアにある白亜紀後期早期の地層から発見された、サーベルのような歯を持つ哺乳類化石が報告されています。

 ルイビル大(University of Louisville)に復元イラストがあります。 食虫動物だったようですが、肉食系としても不思議ではありませんね。ただし、大きさはリスほどと小型です。

 この時期の南米からの哺乳類化石は初めてで、白亜紀のゴンドワナ大陸からの哺乳類の頭部としては2例目とされています。

 恐竜化石を多産するパタゴニアですが、哺乳類は珍しいのですね。

 

 アルゼンチンで発見された新種のドリオレステス類(Dryolestoids)で、三畳紀後期(約2億2000万年前)に登場した、現生の有袋類および有胎盤類につながる原始的な絶滅哺乳類です。 

 Cronopio dentiacutus と命名され、大きい目に長く突き出た鼻、そしてサーベルのように特大の犬歯が特徴です。 

 

 

 References:

  1.  
  2. Guillermo W. Rougier et al., 2011
  3. Highly specialized mammalian skulls from the Late Cretaceous of South America
  4. Nature, 479, p.98-102
  5. doi:10.1038/nature10591



最古の真獣類、ジュラマイア

 中国遼寧省にあるジュラ紀の地層で、最古の真獣類とされる化石が発見され、記載されています。ナショジオなどが伝えています。

 約1億6000万年前と、従来より3500万年早い時代からの発見です。学名は、Juramaia sinensis(ジュラマイア・シネンシス)で、"中国のジュラ紀の母"の意味。

 体長は12センチほどと小型で、例によってネズミのような復元図です。

 木登りに適した前肢を持ち、恐竜などがやってこない森林の樹上部に生息していたのではないかとされています。  

 約2億2500万年前に誕生した哺乳類は、少なくとも1億6000万年前に、真獣類と、後の有袋類へとつながる後獣類に分岐したことになり、これはDNA 解析の結果と一致するそうです。

 

  1. References:
  2.  
  3. Zhe-Xi Luo, Chong-Xi Yuan, Qing-Jin Meng & Qiang Ji (2011)
  4. Jurassic eutherian mammal and divergence of marsupials and placentals.
  5. Nature 476, 442-445
  6. doi:10.1038/nature10291



カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

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