恐竜とは、「トリケラトプスと現生鳥類の最も新しい共通の祖先から派生する全ての子孫」と定義されます。
Dinosauria is all descendants of the most recent common ancestor of Triceratops and modern birds.
■説明
- これ以外に科学的な定義はありません。
- 恐竜を科学的に研究している古生物学(古脊椎動物学)での、恐竜(Dinosauria)というクレード(単系統のグループ)の、分岐学(cladistics)的手法による定義です。
- 分岐学では、上記のようにクレードの相互関係で定義します。"直立歩行する爬虫類"などは恐竜の一部の「説明」であって「定義」ではありません。なお、"直立歩行"は、恐竜の祖先にあたる動物群が既に獲得していました。
- また、"トリケラトプス"と"現生鳥類"という実際に観察可能な生物群で定義しています。
"・・な爬虫類"と、言葉で定義すると、では、"爬虫類"とは何なのかと延々と続くことになります。"爬虫類"はヒトが考えた概念であって、実在しません。"中生代に栄えた"とか、ヒトを基準にした"大きい"という表現もあいまいです。 - 「Dinosauria」は1842年に、大英自然史博物館(当時)の初代館長だったリチャード・オーウェンが提唱しましたが、1993年に、Padian と Mayにより分岐学的に再定義されています。
図で示すと以下のような関係になります。
分岐学による定義は、タクソンの集合包含関係(上)を示しています。
この関係を図で示すと、中央の分岐図(クラドグラム)になります。分岐図は、集合包含関係を示しているだけで、子孫?祖先関係や時間の概念はありません。
なぜなら、解析に使用しているのは派生形質(進化した解剖学的特徴)だけであって、子孫?祖先関係や時間はデータに含まれていないのです。分岐図の線の長さや角度にも意味はありません。
分岐図では、分岐点が恐竜というタクソンを表わします。
1番下の子孫?祖先関係を示す系統図がわかりやすいですね。分岐図の情報に、子孫?祖先関係を加えたもので、線はその関係を表わしています。
トリケラトプスと現生鳥類の「もっとも新しい共通の祖先」とは、分岐点に位置するXという仮想の生物群になります。そのXから派生する全ての子孫が恐竜ということになります。
化石が見つかった年代を考慮し、時間の概念を加えた系統図もあります。線の下ほど古い時代というわけです。
分岐図に、化石が発見された地層の年代など、別の情報を追加した系統図は、わかりやすいのですが、科学的裏づけが低下します。くれぐれも、分岐図と系統図を混同しないように注意してください。
以上からもわかるように、鳥類は恐竜そのものです。
■参考
- The FORMAL Definition of Dinosauria/恐竜の公式な定義
メリーランド大内のトーマス・ホルツ博士の講座テキストの一部です。 - What is a dinosaur?/恐竜とはなんだ?
英国のMike Taylorさんによる "The Dinosaur FAQ"の一部です。
2011年 1月 16日(日)