地震発生のメカニズムで、大陸プレートの話が出てきます。しかし、それは地球のほんの表面の話。最近では、地球内部にあるマントルの動きが、地球表面に大きな影響を及ぼすことがわかってきています。
例えば、海洋研究開発機構が発行する雑誌、「Blue Earth」の最新号(110号)の特集、「地球内部ダイナミクスと環境大変動」では、約1億年前に起きた「海洋無酸素事変」が、マントルの影響によるものではないかと紹介されています。
なお、112号では、巨大地震のメカニズムを紹介するそうです。
海洋研究開発機構では、地球内部ダイナミクス領域(IFREE)を中心に、海底地震計や地震波トモグラフィー、スパコン「地球シミュレーター」によるシミュレーションなどを行っています。
地球内部の解明が少しずつ進んでいるのですね。
大陸は動いている
日本にも恐竜がいた、と言われますが、太古の時代には日本列島自体は存在せず、 恐竜がいた所がたまたま日本になっただけの話ですね。
私たちが普段住んでいる大地が常に動いているなんてなかなか理解しがたい話ですが、近年では衛星やGPSで精密な測定が可能になり、実際に大陸が動いているのは、"動かしがたい"事実なのです。
北米や南米大陸、オーストラリア大陸が少しづつ日本付近に向かって移動しており、2億5000万年後にはアジアを中心とした超大陸ができるそうです。
スケールの大きい話ですが、大陸の移動や集合離散は、陸上動物である恐竜をはじめとする生態系や生物の進化に大きな影響を及ぼします。
大陸移動とプレートテクトニクス理論
大陸移動説の提唱者として、ドイツのウェーゲナー(Alfred L. Wegener)が知られていますが、実際は、以前より大陸は移動しているという考えがありました。16世紀、ヨーロッパ人たちの航海により、しだいに大陸の地形が明らかになり、地図に表されることで、大西洋を隔てたアフリカ大陸の西側と、南アメリカ大陸の東側 の海岸線が似ていることがわかってきました。地図を見てもわかるように、非常に良く似た海岸線をしています。
やがて、それらは本来1つであった大陸が分裂してできたもので、大陸は移動するという考えが生まれました。
そして、20世紀初め、ドイツの気象学者ウェーゲナーが最も熱心に大陸移動説を提唱しました。
1915年、彼はその著「大陸と海洋の起源」の中で、アフリカ大陸と南アメリカ大陸はかつてパンゲアという1つの大陸だったと著したのです。
しかし、彼は地質学者ではなく、実際の証拠も乏しかったため、最初は受け入れら れなかったそうです。 その後、地層や化石の分布などで大陸の移動が実証され、マントル上に浮かぶ地殻の板(プレート)が漂う動きから大陸の動きを説明するプレートテクトニクス理論が進展しました。
プレートは厚さ100km程度
さて、地球を桃の実にたとえると、果肉にあたる地球のマントルの厚さは2900キロメートル程と いわれ、地下700Kmを境に、上部マントルと下部マントルにわけられます。
プレートテクトニクスで説明されるのは地球の表面の出来事、つまり、厚さ100km程度のプレートの動きと、せいぜい下部マントルまでの700Kmであり、地球の半径6400Kmの10分の1程度の表層です。体積にすれば、わずか 3%程度のことなのです。
ちなみにその温度は、地球内部は中心で6000℃、外殻表層(2900Km)で4000℃、上 部と下部マントルの境界で1600℃といわれています。
地球だけにある大陸地殻
下は、プレートの模式図。「Blue Earth」の110号を元に作成しています。
そもそも、陸のへこんだ部分が海というわけではなく、大陸プレートと海洋プレートを構成する岩石や厚みが異なり、海と陸のプレートは別ものなのです。

大陸地殻は、厚さ30-50kmで、平均した化学組成は軽い安山岩です。海洋地殻は、厚さ5-7kmと薄く、玄武岩などの重い岩石で出来ています。太陽系の天体で、大陸地殻が見つかっているのは地球だけでそうです。
海洋プレートは、表面を移動する間に冷えて重くなり、沈みこみます。プレート中に水が流入し、その水の影響でマントルが溶けやすくなり、マグマが出来、これが地表に上昇して火山になります。また、マグマの上昇は、大陸と、重い反大陸を生み出します。
また、水の一部は地表に戻されますが、一部はマントル遷移層まで流入し、マントルの粘性を下げて対流に影響を与えます。
プレートテクトニクス理論の限界
そのプレートテクトニクス理論ですが、以下の問題点があると指摘されています。
- プレートを動かす原動力が何か不明
プレートが動くのはマントルの大規模な対流によるが、 その原動力はいったい何か?
- 数億年にわたる長周期の大陸の変動を説明できない
なぜ、大陸が周期的に集合や離散を繰り返すのか?
これに答えるには、地球深部でのマントルのダイナミックな動きを説明する必要が あります。
それがプルームテクトニクス(plume tectonics)理論で、1994年、東工大理学部丸山茂徳教授が提唱した理論です。
そもそも、プルームとはなんなのでしょう。それらは次回説明します。
今回のシリーズは、かつてメルマガで紹介した内容に加筆しています。日本産のためか、 プルームテクトニクス理論は欧米での評価が低かったそうです。
実は、今回の雑誌でも、プルームなどは出てきますが、プルームテクトニクスという言葉はありません。新しい学問分野なのでしょうけど、学術用語が評価され、定着するには時間がかかるようです。
参考
- Blue Earth」(110号):海洋研究開発機構発行
- プルームテクトニクスと全地球史解読 (熊沢 峰夫、丸山 茂徳 編集、岩波書店):雑誌「科学」に発表された論文を中心に編集。