さて、プルームテクトニクス理論の最終回です。地球内部のマントルの動きが、地球環境にどんな影響を及ぼしてきたのでしょうか。
そのひとつが、およそ1億年前に起きた地球規模の海洋無酸素事変とされています。
生態系や生物進化への影響
マントル活動の活性化により、火山活動が活発になり、二酸化炭素も増加し、気温 の上昇につながります。気温の上昇により海洋植物プランクトンが増え、深海では酸素が乏しくなります。また、海水の逆流は、海水準の低下と陸地の増加をもたらしま す。
このように、プルームをはじめとするマントルの活発な動きは、生態系や生物の進化に大きな影響を及ぼしてきたのです。
世界各地にある約1億年前の地層から、黒色頁岩が見つかっています。それは、植物プランクトンなどが酸化されずに堆積した岩石です。
これは、当時、地球規模の海洋無酸素事変が起きたことを物語っています。その原因として、地球内部の大変動が、表面にも影響したためではないか考えられています。
海洋無酸素事変
大量絶滅に関しては、巨大隕石衝突という地球外の影響と、火山活動の活発化という地球内部の影響の2つに大別されます。 地球規模の火山活動の活発化には、地球内部の影響がかかわっています。そして、約1億年前の海洋無酸素事変(Oceanic Anoxic Events)については、以下のように考えられています。
- マントルの巨大上昇流・ホットプルームが地表付近まで上昇した
- その結果、海面付近でマグマ活動が活発になった
- マグマ活動で、二酸化炭素などの大量の温暖化ガスが放出され、温暖化が進んだ
- 温暖化で、極地方の冷たくて重い水が沈み込むという深層循環が停止した
- 表面の酸素が深層へ供給されなくなり、酸素供給が途絶えた
以下は現代の海流大循環を示す図。出典はWikipedia。赤色が表層で青色が深層。北極地方にある、deep water formation と書かれた部分で海流が沈み込んでいます。
決して速い流れではなく、およそ2000年かけて地球を1周するそうです。
地球磁場の向きが変わる理由
マントルの対流は、地球磁場を生み出しています。磁場は、太陽風などから地球を守っているのです。
1億年前には、4000万年間も磁場が変わっていなかったそうですが、現在の地球では、数十万年単位で磁場(N極とS極)が変わります。
それは、なぜか。冷たいプレートが落ちた影響が、熱伝導でコアに伝わるのに1億年もかかり、今になって現れているというのです。
地球もやがて火星のように・・
水深8800メートル・・火星もかつては大量の水に被われていたのです。
しかし、 およそ41億年前、プレート運動によって、海水がマントルの深部に移動し、およそ 40億年前に内部の冷却でプレート運動が停止し、現在も内部に水が閉じ組められたままになっているとされています。
1回目に図示した地球内部にあるマントル遷移層には、地表にある全ての海水を取り込めるそうです。およそ10億年後には、地球もやがて火星のように不毛の地になるとという説もあります。
やがて水にあふれた地球が火星のようになるとすると、地球上の生命にとって、温 暖化とか隕石衝突よりも深刻な問題です。
ただ、話のスケールが大きすぎて、どうも ピンとこないのか、あまり話題になりませんね。
参考
- Blue Earth」(110号):海洋研究開発機構発行
- プルームテクトニクスと全地球史解読 (熊沢 峰夫、丸山 茂徳 編集、岩波書店):雑誌「科学」に発表された論文を中心に編集。