富山の化石の最近のトピックス

新属新種の群れる恐竜足跡(1997年8月)
 '97年8月19日午後1時より、旧大山町で発見された足跡化石が「新属新種の群れる恐竜足跡で、(トヤマサウリプス・マスイアエ)と命名された」との論文に関する発表記者会見がありました。 

 参加者は、論文著者(4名)の東京学芸大松川助教授(当時)、富山大学藤井名誉教授、古生物研究会の葉室会長(当時)と私、それと中川副会長(当時)でした。

819_1.gif

 報道機関からの参加者は14社30名あまりでした。
 最初に中川副会長の挨拶のあと、松川助教授から論文内容の詳細な説明がありました。




 雑誌名:Cretaceous Research Vol.18(4), August, 1997, p603-619

 アカデミックプレス(英)社の国際的専門誌
 

 松川さんによるとこの雑誌を選んだのは世界中の専門家などに日本の恐竜について知ってもらいたいためとのこと。  


 以下は、Cretaceous ResearchのAbstractで紹介されている要約です。


First trackway evidence of gregarious dinosaurs from the Lower Cretaceous Tetori Group of eastern Toyama prefecture, central Japan

Masaki Matsukawa, Toshikazu Hamuro, Teruo Mizukami, Shoji Fujii

 Early Cretaceous slender-toed bipedal dinosaur tracks are reported from the eastern part of the Tetori area, central Japan. They are small, bipedal and tridactyl impressions assigned to Toyamasauripus masuiae ichnogen. and ichnosp. nov. based on biometric analysis. Thirty-three individuals of Toyamasauripus masuiae show the highest density of footprints of any dinosaur track-sites in Japan.
 This is also the first trackway evidence of gregarious dinosaurs reported from Japan. Toyamasauripus masuiae appears to represent a small bipedal dinosaur track-maker that was relatively abundant. As no bones are known from the track-bearing beds, the footprints add much to our knowledge of dinosaur faunas at this time.

                   Copyright 1997 Academic Press Limited


詳細については論文を参照してください。

  1.  
  2. 1.日本で最初の群れる小型恐竜足跡      
  3.  33頭の足跡が認められ、少なくとも3つの方向へ歩いたことを示し、北西方向にほぼ平行(1m間隔)で歩行した4頭の歩行跡も見られる。      
  4.  これらは群れで行動したと解釈され、日本では最初である。 
  5.  ロストワールドのコンピーのような群れだったのかも・・。   
  6.  
  7. 2.戦後初の新属新種の足跡化石群     
  8.  世界中ですでに報告されている文献などから検討すると、 
  9.       
  10. 1)指の角度、左右対称であること、足跡の密度やけづめ(第1指)が無いことなどが鳥の足跡とは異なる。      
  11. 2)細長い3本の指や真ん中の指の付け根が内側に向いている点は小型獣脚類やコエルロサウルスと類似する。      
  12. 3)内側の踵にくぼみがあるなどコエルロサウルスと類似する。      
  13. 4)ストライドと足跡の長さの比や明確な爪痕や「肉し」(パッド)が無いことなど草食のヒプシロフォドン類に類似する。      

  14.  以上より、ヒプシロフォドンか小型獣脚類の仲間の新属新種とした。  

  15. 学名:Toyamasaurips masuiae  
  16.  Toyamasaurips:富山県に由来、「saurips」は足跡につけられる学名の語尾。masuiae:葉室麻吹(ますい)に由来。実は、松川さんとのきっかけをつくった当時会長の奥さん。
  17.  正式な命名規約にのっとったのは樺太で発見された「ニッポノサウルス サハリネンシス」以来初めて。

 

819_2.gif

 生物統計学など内容がちょっと難しかったのか同じ質問が繰り返されたり、終了後も質疑応答が続いていました。 

  

2011年 1月 2日(日)
富山の恐竜足跡化石:露頭の発見から調査まで
 富山市(旧大山町)で発見された紀の足跡化石についてまとめています。 旧サイトにあった内容を一部修正しています。 

 以下の2部構成です。
  1.  
  2. 露頭の発見から調査まで(1994年4月-) 
  3. 新属新種の群れる恐竜足跡(1997年8月) 



露頭の発見から調査まで(1994年4月-)

 私が最初にこの露頭を発見したのは、'94年4月。当時は、この面の上に別の地層がありました。
 小型の連続歩行が葉室俊和さんによって見いだされたのは、'95年7月です。 その後、県の恐竜足跡化石調査委員会の調査により、足跡の数が一気に増えました。 

  以下は最終報告の概要です。 

 時代は、白亜紀前期(1億2000-3000万年前)の赤岩亜層群の可能性が高く、 足跡の数は、竜脚類、獣脚類、鳥脚類、鳥あわせて302個で、面積、数ともに国内最大とか。 
 県及び大山町で保護調査費が予算化され、足跡保存に向けて一歩前進しました。 最初に露頭が見いだされてから、実に3年目の春ですね。


 以下は、発見された露頭の全体映像です。

 約20m×20mで、400平方mの斜面です。 黄色い枠内に、小型の足跡などが多く見られます。 赤い部分には、次に示している連続した足跡群があります。
 現在はシートで保護されています。


 

view_1.jpg

 次は、発見された連続歩行の足跡化石の一歩です。

 既に学会や新聞等で発表された、左から右への連続歩行ではなくて、 その右側にある下から上への連続歩行(9歩、一部欠落)の一部です。 

 連続歩行の足跡としては、特徴がよくわかる足跡化石で、指の地面の周囲が、足の圧力によってくぼみ、ひび割れしているのがわかります。

 発見直後の映像で、表面には何の処理もされていない状態です。

 

fp.jpgのサムネール画像

 

 次は、2-3歩の連続歩行足跡です。スケールは10cmです。


 

fp_d01.jpg



2011年 1月 1日(土)